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キャプテンフェルナンド1
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扉を開けると、船長がいた。
廊下のランプに照らされ、連日会えなかったフェルナンドが目の前に現れたので、ジョセフィーナはついに幻が見えるようになったのかしらと思った。
「明日、早朝の出航が決まったから──お前は見送れないと思って。寝起き悪いから。だから挨拶に来た」
遅くにごめんな、と詫びる彼の服装はまだ日中の青い軍服のままで、尋常ならぬ多忙さであったことが推測できた。
ちょっとだけ、ほっとしたジョセフィーナである。ぜんぜん会いに来てくれなかったから、他の女性とイチャイチャしているのではないかと、疑っていたからだ。
──ですから! 駄目なのですわ、こんなことを思ったら。
陸地には綺麗な女性がたくさんいる。こんな髪の短い女に興味を持ったのは、船には他に女がいなかったからだ。それに、保護目的で船長室に囲っていただけなのだし……。
心を明け渡してはダメですわよ!
「こちらこそ、お世話になって──」
口を開いた途端、ポロッと涙がこぼれ落ちた。フェルナンドが目を丸くした。
ジョセフィーナは慌てて頬をガウンの袖で拭う。しかし、どうやっても無駄だった。次から次にこぼれ落ちて、まともに話せない。
「わたくし──あの……」
止まらない。最後に話せる機会なのに、どうして止まらないの? 涙腺ぶっ壊れたの?
グイッと肩を押され客室に押し込められた。扉を閉める音の後、顎を持ち上げられ口づけされる。
歯がカチッとぶつかる程、激しかった。
久々のフェルナンドの唇の感触に、ジョセフィーナはうっとりとなる。ああ……これ好き。柔らかい舌が乱暴に口の中を蹂躙し、涙とともに唾液も滴り落ちた。
まただ……。
乱暴なのに、彼の舌から麻薬を注入されたような甘みが広がってくる。麻薬などやったことはないけれど、きっとこんな感じ。五感全てを支配し、第六感までに快楽が行き渡る。
理性をダメにする。
どうして?
「ふ……っん」
口蓋を舐めまわし、内側の粘膜をまさぐり、舌を絡め取る。フェルナンドは満足するまで、ジョセフィーナの口を解放してくれなかった。
※
フェルナンドは、ようやく酸欠ぎみの公爵令嬢に気づき、唇を離した。
「お前が悪い」
言い訳がましく言ってから、髪に鼻を埋め、芳醇な甘い匂いを吸い込む。
「抱きたい」
希望を遠慮なく口にしていた。
「挿れさせろよ」
「ダメ……です」
「知ってる」
苦笑いして、ブレないジョセフィーナの首筋を軽く噛んでやった。可愛いらしい小さな悲鳴が上がる。ざまぁみろ小娘。
彼女は、どこもかしこもいい匂いだった。フェルナンドにとっての、マタタビなのだろう。
ズキズキ脈打つこめかみを意識しながら、両膝をすくいあげるようにして彼女を持ち上げた。
お姫様抱っこでベッドに運び、そっとシーツの上に横たえる。
「ダメですよ?」
「知ってる」
囁き声に、囁き返す。
ガウンを剥がし、ナイトドレスの襟のリボンを解き、大きく襟ぐりを開いた。胸の谷間に顔を埋める。ここは特に、甘い匂いが強まる。
さらに薄いコットン生地をシュミーズごと下げると、片方の乳房がむき出しになった。
布に擦れ、空気に触れ、たちまち立ち上がる敏感な尖りを唇で挟むと、まるで急所を握ったかのような、勝ち誇った気分になる。
事実、ジョセフィーナは固まって、乳首からくる刺激に備えていた。
ふっ……と笑みがこぼれる。
その息が掛かったのだろう、ますます固く尖ってきたので、歯で甘噛みし、舌でチロチロ舐めてやった。
ジョセフィーナの腰が跳ねた。相変わらず弱いのだ、乳首が。
片方だけじゃ不公平だよな、とフェルナンドはもう片方の膨らみも曝け出す。室内のシャンデリアの明かりに照らされた、まろやかな白い丘が眩しい。
なぜ、その先端だけ木苺のような色なのか。まだ何もしてないのに。
そこはわなわなと、期待で震えているように見える。摘んだ。
「んくっ」
可愛い声を出すためのスイッチなのを、フェルナンドは知っていた。レバーのように上下し、さらに捻ってやる。
きゃんっ、と子犬みたいに喘ぐジョセフィーナは、公爵令嬢よりもペットが似合う気がする。
無論、フェルナンド専用のペットだが。
両方の乳首スイッチを押したり引っ張ったりしているうちに、ふわっと甘い香りが強まった気がした。
蛇口から出てきてしまったのだろう。みだらな蜜が。
膝裏を掴みあげ、持ち上げてみた。下着は流行の小さな三角形のやつだ。しかもなんの意味があるのか分からぬ総レース。誰が用意した? 現地の奔放な、かしまし召使いたちか? ナイスでやんすな。
シャンデリアの明かりでもはっきり見えてしまった。レースの中心がベチョベチョにシミを作っている。
「くっそ可愛いな」
だがこれではさぞ冷たいだろう。風邪をひいたら大変だ。
指をかけて、なんの防御にもなっていない布地を脱がせる。
「いやらしい汁でずっしりだ。絞れそうだよジョセフィーナ」
からかうつもりで言ったのに、自分の耳に届いた声は、低く掠れて余裕のまるでないものだった。
……だせぇ。
廊下のランプに照らされ、連日会えなかったフェルナンドが目の前に現れたので、ジョセフィーナはついに幻が見えるようになったのかしらと思った。
「明日、早朝の出航が決まったから──お前は見送れないと思って。寝起き悪いから。だから挨拶に来た」
遅くにごめんな、と詫びる彼の服装はまだ日中の青い軍服のままで、尋常ならぬ多忙さであったことが推測できた。
ちょっとだけ、ほっとしたジョセフィーナである。ぜんぜん会いに来てくれなかったから、他の女性とイチャイチャしているのではないかと、疑っていたからだ。
──ですから! 駄目なのですわ、こんなことを思ったら。
陸地には綺麗な女性がたくさんいる。こんな髪の短い女に興味を持ったのは、船には他に女がいなかったからだ。それに、保護目的で船長室に囲っていただけなのだし……。
心を明け渡してはダメですわよ!
「こちらこそ、お世話になって──」
口を開いた途端、ポロッと涙がこぼれ落ちた。フェルナンドが目を丸くした。
ジョセフィーナは慌てて頬をガウンの袖で拭う。しかし、どうやっても無駄だった。次から次にこぼれ落ちて、まともに話せない。
「わたくし──あの……」
止まらない。最後に話せる機会なのに、どうして止まらないの? 涙腺ぶっ壊れたの?
グイッと肩を押され客室に押し込められた。扉を閉める音の後、顎を持ち上げられ口づけされる。
歯がカチッとぶつかる程、激しかった。
久々のフェルナンドの唇の感触に、ジョセフィーナはうっとりとなる。ああ……これ好き。柔らかい舌が乱暴に口の中を蹂躙し、涙とともに唾液も滴り落ちた。
まただ……。
乱暴なのに、彼の舌から麻薬を注入されたような甘みが広がってくる。麻薬などやったことはないけれど、きっとこんな感じ。五感全てを支配し、第六感までに快楽が行き渡る。
理性をダメにする。
どうして?
「ふ……っん」
口蓋を舐めまわし、内側の粘膜をまさぐり、舌を絡め取る。フェルナンドは満足するまで、ジョセフィーナの口を解放してくれなかった。
※
フェルナンドは、ようやく酸欠ぎみの公爵令嬢に気づき、唇を離した。
「お前が悪い」
言い訳がましく言ってから、髪に鼻を埋め、芳醇な甘い匂いを吸い込む。
「抱きたい」
希望を遠慮なく口にしていた。
「挿れさせろよ」
「ダメ……です」
「知ってる」
苦笑いして、ブレないジョセフィーナの首筋を軽く噛んでやった。可愛いらしい小さな悲鳴が上がる。ざまぁみろ小娘。
彼女は、どこもかしこもいい匂いだった。フェルナンドにとっての、マタタビなのだろう。
ズキズキ脈打つこめかみを意識しながら、両膝をすくいあげるようにして彼女を持ち上げた。
お姫様抱っこでベッドに運び、そっとシーツの上に横たえる。
「ダメですよ?」
「知ってる」
囁き声に、囁き返す。
ガウンを剥がし、ナイトドレスの襟のリボンを解き、大きく襟ぐりを開いた。胸の谷間に顔を埋める。ここは特に、甘い匂いが強まる。
さらに薄いコットン生地をシュミーズごと下げると、片方の乳房がむき出しになった。
布に擦れ、空気に触れ、たちまち立ち上がる敏感な尖りを唇で挟むと、まるで急所を握ったかのような、勝ち誇った気分になる。
事実、ジョセフィーナは固まって、乳首からくる刺激に備えていた。
ふっ……と笑みがこぼれる。
その息が掛かったのだろう、ますます固く尖ってきたので、歯で甘噛みし、舌でチロチロ舐めてやった。
ジョセフィーナの腰が跳ねた。相変わらず弱いのだ、乳首が。
片方だけじゃ不公平だよな、とフェルナンドはもう片方の膨らみも曝け出す。室内のシャンデリアの明かりに照らされた、まろやかな白い丘が眩しい。
なぜ、その先端だけ木苺のような色なのか。まだ何もしてないのに。
そこはわなわなと、期待で震えているように見える。摘んだ。
「んくっ」
可愛い声を出すためのスイッチなのを、フェルナンドは知っていた。レバーのように上下し、さらに捻ってやる。
きゃんっ、と子犬みたいに喘ぐジョセフィーナは、公爵令嬢よりもペットが似合う気がする。
無論、フェルナンド専用のペットだが。
両方の乳首スイッチを押したり引っ張ったりしているうちに、ふわっと甘い香りが強まった気がした。
蛇口から出てきてしまったのだろう。みだらな蜜が。
膝裏を掴みあげ、持ち上げてみた。下着は流行の小さな三角形のやつだ。しかもなんの意味があるのか分からぬ総レース。誰が用意した? 現地の奔放な、かしまし召使いたちか? ナイスでやんすな。
シャンデリアの明かりでもはっきり見えてしまった。レースの中心がベチョベチョにシミを作っている。
「くっそ可愛いな」
だがこれではさぞ冷たいだろう。風邪をひいたら大変だ。
指をかけて、なんの防御にもなっていない布地を脱がせる。
「いやらしい汁でずっしりだ。絞れそうだよジョセフィーナ」
からかうつもりで言ったのに、自分の耳に届いた声は、低く掠れて余裕のまるでないものだった。
……だせぇ。
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