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その頃本国では
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「陛下が帰国する前に、結婚式だと?」
パトリシオは戸惑ってセシリアの顔を見上げた。ギシギシとベッドのスプリングが軋む。
「はい。けっきょくグランデの脅しに屈したわたくしの父は、公爵位も領地も辞退してしまいました。殿下からせっかく賜ったというのに!」
べたべた国璽を押した「ヴェントゥス公爵領はパルマ子爵家へ譲るぞ!」と殴り書きされた爵位証明書を見せて追い出そうとしたのに、ナタリオめがビリッビリに破いたのだ。
さらに寝込んでいたナタリオの母親がゾンビさながらにベッドから起き上がり、セシリアの父パルマ子爵に対して血族全員呪ってやる! と宣ったとか。
「だったら妹のお前も呪われるじゃないか」と喚く兄を蹴りだしたヴェントゥス公爵夫人もムカつく、とセシリアは歯軋りした。
ギシギシギシギシというベッドの軋み音にすら苛ついているようだった。
「どこが病弱よ、自分の兄を呪うなど、まさに魔女の家系ですわよね! あのガキとババァ、王太子殿下の命令を無視だなんて、吊るして生皮を剥がして、目玉をくり抜いてやればいいのですわっ」
「……君の叔母と従弟じゃないか」
ちょっとドン引きしながら言うパトリシオ。
「だって酷いと思いますでしょ!?」
「あ……ああ」
ジョセフィーナが死んだという報告から、まだ立ち直れていないパトリシオは、無気力さに拍車がかかり、やたらいろいろなことがめんどくさくて、強引なセシリアの言いなりになってしまう。
「殿下だけではございません、教皇聖下の命令だって軽んじているということです。魔女を生み出したヴェントゥス家など、断絶させるべきなのです。いいえ、汚らわしい血の繋がりのある者は皆殺しですわ!」
「そうすると、君も殺されないか?」
セシリアはパトリシオの話など聞いていない。何かに取り憑かれたように、パトリシオに裸で跨りながら腰を振り続ける。
そして唾を飛ばしながら叫んだ。
「とにかく! グランデを見返すために、結婚を強行するのですわ!」
パトリシオは、寝そべったまま小さなオッパイが揺れるのを眺める。生ぬるい快楽が断続的にやってきて、なんかもう、別にどうでもいいかな、と思ってしまう。
存外、真実の愛とはつまらないものだ。
こうやって他の女とまぐわっているところを、あのプライドの高いジョセフィーナに見せつけてやりたかったのに。
だけど、もう死んじゃったんだよな……。
「それに殿下は、わたくしと結婚するしかありませんわ!」
やっと射精を促され、ほっと息をついたパトリシオに、セシリアは意気揚々と言った。
「わたくし、殿下の子を妊娠しているのですから!」
それを聞いて、パトリシオの思考が停止した。
パトリシオは戸惑ってセシリアの顔を見上げた。ギシギシとベッドのスプリングが軋む。
「はい。けっきょくグランデの脅しに屈したわたくしの父は、公爵位も領地も辞退してしまいました。殿下からせっかく賜ったというのに!」
べたべた国璽を押した「ヴェントゥス公爵領はパルマ子爵家へ譲るぞ!」と殴り書きされた爵位証明書を見せて追い出そうとしたのに、ナタリオめがビリッビリに破いたのだ。
さらに寝込んでいたナタリオの母親がゾンビさながらにベッドから起き上がり、セシリアの父パルマ子爵に対して血族全員呪ってやる! と宣ったとか。
「だったら妹のお前も呪われるじゃないか」と喚く兄を蹴りだしたヴェントゥス公爵夫人もムカつく、とセシリアは歯軋りした。
ギシギシギシギシというベッドの軋み音にすら苛ついているようだった。
「どこが病弱よ、自分の兄を呪うなど、まさに魔女の家系ですわよね! あのガキとババァ、王太子殿下の命令を無視だなんて、吊るして生皮を剥がして、目玉をくり抜いてやればいいのですわっ」
「……君の叔母と従弟じゃないか」
ちょっとドン引きしながら言うパトリシオ。
「だって酷いと思いますでしょ!?」
「あ……ああ」
ジョセフィーナが死んだという報告から、まだ立ち直れていないパトリシオは、無気力さに拍車がかかり、やたらいろいろなことがめんどくさくて、強引なセシリアの言いなりになってしまう。
「殿下だけではございません、教皇聖下の命令だって軽んじているということです。魔女を生み出したヴェントゥス家など、断絶させるべきなのです。いいえ、汚らわしい血の繋がりのある者は皆殺しですわ!」
「そうすると、君も殺されないか?」
セシリアはパトリシオの話など聞いていない。何かに取り憑かれたように、パトリシオに裸で跨りながら腰を振り続ける。
そして唾を飛ばしながら叫んだ。
「とにかく! グランデを見返すために、結婚を強行するのですわ!」
パトリシオは、寝そべったまま小さなオッパイが揺れるのを眺める。生ぬるい快楽が断続的にやってきて、なんかもう、別にどうでもいいかな、と思ってしまう。
存外、真実の愛とはつまらないものだ。
こうやって他の女とまぐわっているところを、あのプライドの高いジョセフィーナに見せつけてやりたかったのに。
だけど、もう死んじゃったんだよな……。
「それに殿下は、わたくしと結婚するしかありませんわ!」
やっと射精を促され、ほっと息をついたパトリシオに、セシリアは意気揚々と言った。
「わたくし、殿下の子を妊娠しているのですから!」
それを聞いて、パトリシオの思考が停止した。
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