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フェルナンドという海賊
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ソル帝国のハマムのスタイルを取り入れたという蒸し風呂で、ゴリゴリ垢すりをされ、いい匂いのする洗髪液で髪を整えられ、香油を塗られながらの全身にマッサージ。
ジョセフィーナはうっとりなる。
ミシェルにもらった日焼け止めで保護されていた肌だが、潮風でややカサついていた。それがすべすべになる。
イスハーク皇子のハレムに入れば毎日こうなのかしら……。
気持ちが傾きかけ、慌てて打ち消した。
故郷の温泉の方がわたくしは好きだわ! それに、わたくしは王妃として国を支えるヴェントゥス家の娘なのです!
ハレムなんて奥さんが何人もいるのよ! それに比べたら王太子の妃の方がなんぼも──。
──可愛げのない役立たずが!
王太子の言葉を思い出し、ハレムの方がマシなのではないかと思えてしまった。
つるっつるに身を清めてもらうと、現地の使用人たちに、典型的なレガリアのドレスを着せられた。
胸はまだ楽なのだが、久々のコルセットとパニエとシュミーズ……。うっとおしいと感じた自分に驚いてしまう。
「髪が短いですね、お嬢様。どうするアルか?」
「こんな見事な金髪のウィッグは無いアルよ!」
「滅亡前のフランキー王国みたいに、頭に船の模型乗せたいあるネ!」
「だっさ! センスゼロあるね、あんた」
「あたし、宝物庫からダイアのフェロニエール持ってくるアル!」
使用人たちは訛りはあるが、植民地時代が長いためか、公用語はペラペラだった。ただ大変かしましい。
けっきょく髪はどうあっても結えないので、垂らしたまま前髪を分け、金鎖のヘッドドレスを巻かれた。ちょうどダイヤが額の真ん中にぶら下がるようになっている。
前髪すらずっとスカーフの中に押し込めていたので、目の上に何かあるのはけっこう邪魔なのだが、きゃっきゃ楽しそうな彼女たちを立てて黙っていた。
そう言えば以前の自分は、こうやってなんでもやってもらっていたのだわ。世話してくれていた侍女たちの顔を思い出し、ホームシックに陥りそうになる。
身支度を整えて衣装部屋の外に出ると、見覚えのある貴公子が立っていた。
細かい刺繍の上着、少し短めのベスト、そして上着と揃いの生地のピッタリした半ズボンに白の絹靴下。エセ眼帯は外している。
伸びかけの後ろ髪をシルクのリボンで結んだ船長が、王太子に似た顔で王太子のような服をまとっているのだ……。
なのに、がっちりした体格と、現地人よりも浅黒い日焼けした肌のせいか、雰囲気はまるで違う。
そんな彼はしばらくジョセフィーナを見て固まっていたが、やがて膝をつき、手を差し伸べてくる。
えっ、ちょっと船長! 似合うけど似合いませんわっ!
どうしてか分からないが、胸がざわつき、心臓がバクバクした。正直に言うと、王太子に似ているくせに、かっこいいと思ってしまったのだ。
「船長はカルドナ侯の令息──貴族だったのですわね」
「お互いな」
熱のこもった目で見てくる船長に、ジョセフィーナは落ち着かなくなる。あの盥で泡ぶくウッフン事件の時のような視線だった。
困ったことに船長にその目をされると、自分がなぜか草食動物になった気分になるのだ。
そわそわと目を逸らすジョセフィーナだが、それでもその大きくて無骨な手を取った。
赤道が近いのに、北西風が吹くおかげで適度な気候のミハス島だ。
南の大陸のプランテーションで栽培されたサトウキビは、このミハス島から西の国々にいきわたる物が多い。中継貿易地点として、この辺りの海域は大昔から異教徒や海賊に狙われてきた。
ミハス島の王は保護目的で、自らレガリア海軍を受け入れたのである。
レガリアに占領される前は、西の今は無きルナ教の国であったり、南の蛮族であったり、ソル帝国であったりと、植民地であることの方が長かったようだが、元の文化もそのまま残してある。
幾何学的なモザイク模様のタイルが張られた街並みはソル帝国風でありながら、南国風の派手な色彩を用いられている。そこにレガリア風が取り入れられ、さらに異文化の融合した魅力的な都市になっていた。
そんなミハス島の砦の内側に広がる街の中には、総督府があった。
敷地内にはさまざまな軍施設が集まり、その建物の外観もまたレガリアにはない、開放的な雰囲気を持っている。
ジョセフィーナは、総督府でのフェルナンド凱旋を祝う小ぶりな宴にお呼ばれしたのだ。
とりあえずカルドナ侯が本国に探りを入れてくれるようで、それまで客人として保護してもらえることになった。
もちろん、国内の動向を見たうえで、教会に引き渡される可能性もあるが……。ジョセフィーナには、他の方法が思いつかなかったのだ。
だって……ポンコツの──認めたくないが──自分が、レガリア本国まで一人で引き返すのは無理だわ。
誰かしらに助けを請わないと、レガリア本国に戻るどころか、野垂れ死に確定だと思う。たどり着けたとしても、平民が会うことなどめったにないグランデに、渡りを付ける方法だって分からないもの。
ジョセフィーナは、己の保身すら他人の手に委ねなければならない非力な自分に、減滅していた。
総督府の長い回廊を歩きながら、船長は着飾ったジョセフィーナに話しかける。
「カルドナ侯爵は養父だ。子がいない。俺の出自もなかなか複雑でさ」
彼も着飾っているが、いつもの軽い口調である。
「本当なら、殺されるところだったらしいよ」
船長の言葉に、ドクンと心臓が脈打つ。
「船長、もしかしてレガリア王家の──」
「フェルナンドと」
「え?」
「名前で呼んで」
顔面が熱くなった。甘く微笑まれておねだりされ、彼と乳繰り合った船長室を思い出してしまったのだ。
思わず顔を覆うジョセフィーナである。
「どうしたの?」
「あ……いえ」
どうしよう、これって、まずいのではないの? いいえ、勘違いよ。だって王太子殿下そっくりなのだもの。
チラッと隣を歩く船長をもう一度見上げた。首をかしげて見下ろしてくる、眼帯の無い日焼けした顔。パトリシオ殿下じゃないんだもの。しかたないじゃない。
かっこいいと思ってしまうのは、仕方ないじゃない。
「変なやつだな」
変わらぬ口調でクスッと笑われた。
ジョセフィーナは唇を噛んだ。ダメ、勘違いよ。好きになっちゃダメ。そんな不埒な想い、心から捨て去るの。
だってわたくしは王妃となり、レガリア王家を支える使命があるのだから。ジョセフィーナは必死にそう言い聞かせた。
「船長の元々の生まれは、もしかしてレガリアの──」
「フェルナンドだっての」
船長は立ち止まって、真顔でジョセフィーナを覗き込んだ。
「せ、船──ふぇ……」
「恥ずかしいの?」
迫って来られて壁際に追い詰められ、悲鳴をあげそうになる。
「船長、船長! ──フェルナンド、やめるでやんす!」
キスするように顔を近づけてくるものだから、ついには名前を呼び捨て、しかもうっかり船乗りの言葉になってしまった。
船長はぶはっと吹き出して大笑いしている。
豪快な笑い方はやはり王太子ではない。でも……他人の空似ではない気がする。
ダメなんですのよ、ジョセフィーナ。彼を好きになってはダメ。
「人の気も知らないで──」
言いかけたところで、むちゅっと結局キスされてしまった。
本当に……人の気持ちも知らないで。困った人。途方にくれるジョセフィーナだった。
ジョセフィーナはうっとりなる。
ミシェルにもらった日焼け止めで保護されていた肌だが、潮風でややカサついていた。それがすべすべになる。
イスハーク皇子のハレムに入れば毎日こうなのかしら……。
気持ちが傾きかけ、慌てて打ち消した。
故郷の温泉の方がわたくしは好きだわ! それに、わたくしは王妃として国を支えるヴェントゥス家の娘なのです!
ハレムなんて奥さんが何人もいるのよ! それに比べたら王太子の妃の方がなんぼも──。
──可愛げのない役立たずが!
王太子の言葉を思い出し、ハレムの方がマシなのではないかと思えてしまった。
つるっつるに身を清めてもらうと、現地の使用人たちに、典型的なレガリアのドレスを着せられた。
胸はまだ楽なのだが、久々のコルセットとパニエとシュミーズ……。うっとおしいと感じた自分に驚いてしまう。
「髪が短いですね、お嬢様。どうするアルか?」
「こんな見事な金髪のウィッグは無いアルよ!」
「滅亡前のフランキー王国みたいに、頭に船の模型乗せたいあるネ!」
「だっさ! センスゼロあるね、あんた」
「あたし、宝物庫からダイアのフェロニエール持ってくるアル!」
使用人たちは訛りはあるが、植民地時代が長いためか、公用語はペラペラだった。ただ大変かしましい。
けっきょく髪はどうあっても結えないので、垂らしたまま前髪を分け、金鎖のヘッドドレスを巻かれた。ちょうどダイヤが額の真ん中にぶら下がるようになっている。
前髪すらずっとスカーフの中に押し込めていたので、目の上に何かあるのはけっこう邪魔なのだが、きゃっきゃ楽しそうな彼女たちを立てて黙っていた。
そう言えば以前の自分は、こうやってなんでもやってもらっていたのだわ。世話してくれていた侍女たちの顔を思い出し、ホームシックに陥りそうになる。
身支度を整えて衣装部屋の外に出ると、見覚えのある貴公子が立っていた。
細かい刺繍の上着、少し短めのベスト、そして上着と揃いの生地のピッタリした半ズボンに白の絹靴下。エセ眼帯は外している。
伸びかけの後ろ髪をシルクのリボンで結んだ船長が、王太子に似た顔で王太子のような服をまとっているのだ……。
なのに、がっちりした体格と、現地人よりも浅黒い日焼けした肌のせいか、雰囲気はまるで違う。
そんな彼はしばらくジョセフィーナを見て固まっていたが、やがて膝をつき、手を差し伸べてくる。
えっ、ちょっと船長! 似合うけど似合いませんわっ!
どうしてか分からないが、胸がざわつき、心臓がバクバクした。正直に言うと、王太子に似ているくせに、かっこいいと思ってしまったのだ。
「船長はカルドナ侯の令息──貴族だったのですわね」
「お互いな」
熱のこもった目で見てくる船長に、ジョセフィーナは落ち着かなくなる。あの盥で泡ぶくウッフン事件の時のような視線だった。
困ったことに船長にその目をされると、自分がなぜか草食動物になった気分になるのだ。
そわそわと目を逸らすジョセフィーナだが、それでもその大きくて無骨な手を取った。
赤道が近いのに、北西風が吹くおかげで適度な気候のミハス島だ。
南の大陸のプランテーションで栽培されたサトウキビは、このミハス島から西の国々にいきわたる物が多い。中継貿易地点として、この辺りの海域は大昔から異教徒や海賊に狙われてきた。
ミハス島の王は保護目的で、自らレガリア海軍を受け入れたのである。
レガリアに占領される前は、西の今は無きルナ教の国であったり、南の蛮族であったり、ソル帝国であったりと、植民地であることの方が長かったようだが、元の文化もそのまま残してある。
幾何学的なモザイク模様のタイルが張られた街並みはソル帝国風でありながら、南国風の派手な色彩を用いられている。そこにレガリア風が取り入れられ、さらに異文化の融合した魅力的な都市になっていた。
そんなミハス島の砦の内側に広がる街の中には、総督府があった。
敷地内にはさまざまな軍施設が集まり、その建物の外観もまたレガリアにはない、開放的な雰囲気を持っている。
ジョセフィーナは、総督府でのフェルナンド凱旋を祝う小ぶりな宴にお呼ばれしたのだ。
とりあえずカルドナ侯が本国に探りを入れてくれるようで、それまで客人として保護してもらえることになった。
もちろん、国内の動向を見たうえで、教会に引き渡される可能性もあるが……。ジョセフィーナには、他の方法が思いつかなかったのだ。
だって……ポンコツの──認めたくないが──自分が、レガリア本国まで一人で引き返すのは無理だわ。
誰かしらに助けを請わないと、レガリア本国に戻るどころか、野垂れ死に確定だと思う。たどり着けたとしても、平民が会うことなどめったにないグランデに、渡りを付ける方法だって分からないもの。
ジョセフィーナは、己の保身すら他人の手に委ねなければならない非力な自分に、減滅していた。
総督府の長い回廊を歩きながら、船長は着飾ったジョセフィーナに話しかける。
「カルドナ侯爵は養父だ。子がいない。俺の出自もなかなか複雑でさ」
彼も着飾っているが、いつもの軽い口調である。
「本当なら、殺されるところだったらしいよ」
船長の言葉に、ドクンと心臓が脈打つ。
「船長、もしかしてレガリア王家の──」
「フェルナンドと」
「え?」
「名前で呼んで」
顔面が熱くなった。甘く微笑まれておねだりされ、彼と乳繰り合った船長室を思い出してしまったのだ。
思わず顔を覆うジョセフィーナである。
「どうしたの?」
「あ……いえ」
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「フェルナンドだっての」
船長は立ち止まって、真顔でジョセフィーナを覗き込んだ。
「せ、船──ふぇ……」
「恥ずかしいの?」
迫って来られて壁際に追い詰められ、悲鳴をあげそうになる。
「船長、船長! ──フェルナンド、やめるでやんす!」
キスするように顔を近づけてくるものだから、ついには名前を呼び捨て、しかもうっかり船乗りの言葉になってしまった。
船長はぶはっと吹き出して大笑いしている。
豪快な笑い方はやはり王太子ではない。でも……他人の空似ではない気がする。
ダメなんですのよ、ジョセフィーナ。彼を好きになってはダメ。
「人の気も知らないで──」
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