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終章
アッサールの暴走&読者は神様だっちゃ
しおりを挟むアッサールは気を失った大魔王を見て首を傾げた。
今のは、ほんの小手調べだ。まだまだこれからなのに。
「大魔王、大魔王さま、起きてください」
耳元でささやき、艶やかな黒髪を撫でる。髪の毛一本一本すら、力に満ち、美しく輝いている。
身体中、アッサールの唾液や体液、噛み跡やキスマークだらけなのに、なお美しいまま……いや、ますます美しさを増したように見えた。
彼女は、生きた宝石だ。自分にとっては、極上のマタタビ。舐めてしゃぶって噛み砕いて、この身体の中に取り込みたい。
「大魔王さま」
長いまつ毛が震え、大魔王が目覚めると、この部下は子供のように顔を輝かせた。
基本、無表情か不機嫌な顔しかしない彼の無垢なほどの笑顔に、大魔王は目を見開いた。
「やだ、可愛い」
アッサールは挿入したまま、大魔王の細い腰に手を回し、抱え上げた。彼の分身は完全に復活していた。
大魔王がそれに気づいた時にはもう遅かった。
座位で己の体重がかかり、例のボコボコに貫かれ、あられもない悲鳴をあげる。
「あっさぁるぅ、イったっばかりなのに深いぃいいいっ」
ポロポロ涙を流しながら腕の中でもがく。
大魔王ゴルゴンドロン・ジョーともあろう方が、いち部下の自分に抱え込まれ、よがり、もがいているのが、アッサールには心地よかった。
彼女を好きにできている。まるで自分だけのモノのようだと、アッサールは思った。
「奥に届いてるの、分かりますか?」
「ひぃぃっ、揺らさないで、ボコボコが擦れるの~」
「痛い?」
「ううん、気持ち良すぎて──」
アッサールは細身の大魔王など簡単に持ち上げられた。
抱え上げ、ずんっとアッサールのアッサールに降ろすと、そのたびに蕩けそうな嬌声を上げるのだ。大魔王ゴルゴンドロン・ジョーともあろうお方が。
「お願いっ、休憩して! 気持ち良すぎるの──どうにかなっちゃうのっ」
随喜の涙を流す大魔王は息も絶え絶えで、アッサールは困ってしまう。休ませてあげたいけれど、そうすると次はもっと酷くしてしまいそうだ。
彼女への想いを溜め込み過ぎた。勇者を好きだなんて戯言を言う大魔王に遠慮するとは、自分はとんでもないバカだったのだ。
「最初からこうしていればよかった」
どろりとした感情を見せたくなかった。信頼された部下でいたかった。嫌われたくなかった。
「あんっあんっあんっあんっ……あっさーるお願っ……ひっ」
舌を噛むほど上下させ、大魔王を翻弄したあと、再び体内に放出する。
「抜いて、お腹が破裂しちゃう」
え、抜く? この大魔王ゴルゴンドロン・ジョーの中にピッタリ納まっているアッサールJr.を抜くだと? できるのか、そんなこと。
そもそもこの側近であるアッサールのアッサールJr.は、大魔王の膣壁にずっと包まれているべき代物なのだ。外に出したら枯れて死んでしまう。
「できません」
「一瞬、一瞬でいいからぁああぁ」
「無理です」
「──あっひゅ……くっ、アッサール命令よぉおお!」
アッサールは意を決して大魔王をひょいと持ち上げ、刺さっていたものを抜いた。まだガチンガチンである。チンだけに。
ドバドバと出てくるアッサールの白濁を悲しげに眺め、ブランとぶら下げた大魔王をベッドに優しく横たえた。
「アッサール、すこし、休みましょう?」
はぁはぁ息をついているしどけない姿が、どれだけ誘っているか気づいていないのだ、この大魔王ゴルゴンドロン・ジョーは。
アッサールは無言で大魔王をうつ伏せにした。
「え……まさか」
腰を掴み、持ち上げる。怯えて振り返る大魔王に無情に告げた。
「雌豹のポーズも似合います」
四つん這いで逃げようとした大魔王の腰をがっちりつかんだ。丸い、完璧な尻の奥に、己の猛り狂ったものを容赦無く挿入する。
手の平を叩くような快活な音が、部屋中にこだました。大魔王が歌う嬌声を盛り上げる合いの手ように。声が枯れ、ハスキーになってしまっているが、それも愛おしい。
「声出し過ぎなんですよ」
腰を打ち付けながら、アッサールはふふっと笑う。
「だって……あんっ……気持ちいい……ひゃん……気持ちいいよぉぉぉ」
「くっ……煽らないで」
射精を堪えるアッサール。
「完全に声が出なくなる前に、約束してください」
「あぅぅ…うう」
たぷんたぷん揺れる乳房を掴み、挿入したまま上半身を起きあがらせた。後ろから見る大魔王の二つの肉の塊は、よけいエロティックだ。アッサールが掴んだ指の間から飛び出る乳首が、赤く尖っているのが可愛すぎる。
「貴女は私だけのものだ。私を愛してください」
大魔王は返事ができない。頭に来たアッサールは、乳首を摘まんで引っ張った。そしてずんっと奥まで貫く。
「やっぁあああっ!!」
「言ってください」
ずんっと腰を突き上げる。何度も。結合部から愛液が飛び散り、ビシャンビシャンとすごい音を響かせる。
「私だけを愛していると」
大魔王がついに怒って振り返った。
あ、こりゃあ消し炭に焼かれるかな? 大魔王の力をもってすれば、自分など一瞬で消される。アッサールはそれも素敵だ、と思いながら期待を込めて大魔王の美しい顔を見つめた。
「ばかっ!」
涙目でアッサールをなじる。
「愛しているに決まってるでしょ」
「そうじゃない、魔物たち皆を愛するのとは違った意味で──」
「だから、ばかっ! あなたのこと男として特別に好きなの! 私は貴方のものだし、貴方も私のもの! 浮気は許さないからねっふぐっ!」
アッサールは彼女の唇を貪っていた。口内に舌を這わせ、いっそ吸い込むか、この中に吸い込まれたいと思った。
「嘘じゃないんですね」
膣がきゅうと引き絞られる。これが返事だ。
アッサールはまた腰を打ち付けながら、挿入したまま生きていけないかな、と真剣に考えた。
「あんっ……あんっあんっ……アッサール、お願いっ休憩をあんっ」
永遠に続くラブエッチ。
大魔王の「絶倫いやぁああああああ」という絶叫とともに、いいかげん濡れ場に飽きた神々は、覗くのを止めた。
※ ※ ※ ※
もじもじしながら、エリザベス吉田八世は、ベッドの上のテオフィルを見つめた。
なんでこの人は全裸なんだっちゃ? 全裸で手を広げて「来て」ポーズをとっている。
「癒してくれ、アレクシア」
うぅうううやばい。据え膳食わぬは女も恥だと思うのだが、何せこの吉田エリザベス八世は処女である。
真性処女。
体はビッチ、中身は処女、名探偵股関節脱臼だ。そう、運動不足がたたって、健康のためにいきなり十キロ歩いたら股関節脱臼したことのある、引きこもりの吉ベスとは彼女のことだ。
「このベスが、勇者とにゃんにゃん?」
引きこもり喪女にはハードル高すぎないか?
吉田エリザベス八世はじりじりとベッドから後ずさる。勇者テオフィルには、アレクシアが恥ずかしがっているようにしか見えないだろう。
頭上からは神々の声が聞こえてくるようだ。
「とっとと犯れよ!」
「念願の転生じゃぞ!」
なんということだろうか。
彼らは約束した。この最後を小説にして、吉田エリザベスの代わりにWebに投稿してやると。
つまり、自分のつたないエッチが全国の読者の皆様の前にさらされるのだ。
なんの公開プレイなんだっちゃ! 絶対ごめんだっちゃ!
辺りを見渡しながら吉田エリザベル八世は、読者に噛みつく。
「おまいら、人の濡れ場を覗き見て恥ずかしくないだっちゃか!?」
妄想とは言え、人様の濡れ場を今まで書いてきて『読者は神様だっちゃ、ベスの妄想したエロスをどんどん読んで、ブクマ、評価、感想宜しくだっちゃ』と宣伝した自分のことなど、すっかり忘れている。
「アレクシア?」
テオフィルに優しく呼ばれ、吉田エリザベス八世はさらに追い詰められる。まさか自分が当事者になるとは!
「戻ってきてくれて嬉しい、俺のアレクシア」
なんてキザな奴だっちゃ!
自分の妄想キャラがかっこ良すぎて、いたたまれない。
「早く、俺の上に乗って」
喪女にいきなり騎乗位要求するなだっちゃ!
「さあ、アレクシア」
吉田エリザベス八世は、ついに真っ赤になって叫んだ。
「ベスだっちゃぁあああ」
完
ご愛読ありがとうございましただっちゃ。
(YOU、覗きは許さないだっちゃ)
完
ご愛読ありがとうございました。
応援ありがとうございます!
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みんなの感想(4件)
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退会済ユーザのコメントです
わ~い❤がんばります! 励みになります、ありがと~!!
( ;ᯅ; )
お気に入りに登録しました~
うぇ乁( ˙ω˙ )厂ーい!!
ありがとうございます! 天使や、天使がおるんや!
読んでいたWeb小説がなぜか投げやりなバッドエンドに――うん、これは辛い
これだけでも転生していいよね
感想ありがとうございます❤ ほんとですよ、やり直せや作者、って思いますよ!(←ハッピーエンド至上主義)七回くらいやり直したっていいんすよ!