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第七章
待つだっちゃ!
しおりを挟む「YOU、何また犯されそうになってるっちゃか!」
唐突に、場面が変わった。気づくと私は、炬燵の部屋に立っていたのだ。
「……よ、吉田さん?」
「ベスだっちゃ!」
あ、懐かしいな、このやり取り。
また転生前の記憶がグググッと強くなった。確かにそれを認識した。だけど、それでも小説がどう進んだかは忘れていない。
「やっぱラスボス、聖王だったじゃん!?」
吉田エリザベスは頭を掻きながら照れる。
「ね」
ね、じゃねーわ! このままじゃ今度こそあのサイコパスに犯されちゃうよ!?
「それはね、YOUが悪いだっちゃ」
なんでよ!?
「YOU、物語の中に入ると、どうやっても恋愛そっちのけになってるっちゃ」
「だって、色恋の前に生存問題じゃん!? それにテオフィルが私のことを好きになるのはもう絶望的だよ? 大魔王の力も見せちゃったし」
魔王と勇者。一度離れてしまえば、接点なんて戦う時しかない。宿敵と恋に落ちるには、何か他のきっかけがないとダメだったんだ。
「無ければ作るっちゃ! それがヒロインだっちゃ!」
パン咥えてぶつかっていけとか言うわけ!? 魔王だよ私!
「まあ確かに、三人称にしても制御不能だったベスも悪いっちゃYO? 聖女が途中から不自然なほど性格が悪くなったのは、このベスの焦りだっちゃ」
不自然だめだろ。
「でもいい感じにテオフィルの心は、聖女から離れたっちゃ。YOU、今なら勇者と魔王の恋物語を作れるチャンスだっちゃ!」
「でも吉田さん、ラスボスの聖王をどうするんですか、あの人なんなんですか!?」
吉田エリザベスはまた照れたように頭を掻く。
「ノープランノーライフ」
意味わかんないYO!?
「と、とにかく回避だっちゃ!」
そういうと、なんと彼女、こたつの中に潜り込んでしまった。
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