【R18】腹ペコ魔女は神父さまを堕落させたい~ハロウィンパーティ(サバト)に招いて美味しくいただいちゃいます~

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神父さまの正体

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 絵麻が気づくと、ふかふかの布団に寝かされていた。皮膚がヒリヒリする。八畳ほどの洋室。その扉の外から怒鳴り声が聞こえる。

「獣医じゃねぇっ、ヒールの能力者を寄こせって言ってるの! え? 出払ってる? ざっけんなよ、後で覚えとけ拓斗ゴラ!」

 ずいぶん乱暴な言葉遣いだ。でもこの声は──。

 カタッと部屋の扉が開いた。起き上がっていた絵麻を見て、救急箱を抱えた私服姿の神父は固まった。

「あ、人間に戻ったんだね。火傷みたいになってたけど、診せて」

 腕を差し出すと、彼は目を見開いた。

「え、治したの?」
「あれくらいどうってことないです」

 神父はホッと息をつき、救急箱を置いた。

「やっぱ、君があの仮面の魔女だったんだね」

 眼鏡の無い顔を触って、あ、と絵麻は呟く。猫型から人型に意識せずに戻ったので、身に着けているものが復元できなかったのだ。青ざめてシーツの下を見下ろした。全裸だ。服の復元もできてない。

「あ、ちょっと待ってください、洋服復元しますから」
「……謎の能力……いいよ、ほら」

 ベッド脇の椅子にかけてある、パジャマの上着を肩からかけてきた。やっだ、彼シャツってやつじゃない? 絵麻は赤くなる。ふわっと神父の匂いが香ったからだ。

「臭い? 洗ったばっかりだけどな」
「あ、大丈夫です神父様のいい匂い好き。すーはーすーはー」

 ただ、ムラムラしてくるのだ。一度彼の味を覚えてしまったので、再び食事をしたくなっている。でも何十年も我慢できたのに、なんでかしら。

 潤んだ目で神父を見ると、彼はゴクッと喉を鳴らした。

「なんで、俺をサバトに誘ったの?」

 絵麻は身をすくめる。そうだった、本当はそのことを謝りたかったのだ。でもあれが──あの淫乱が自分だったって言いたくなくて……。

「ごめんなさい、聖職者を誘惑だなんて私──でも、神父様、貴方しかどうしても嫌で」

 申し訳なさそうに目を伏せる絵麻。

「教会はもう、クビになってるだろうなって……」

 女たらしの拓斗なんてどうなんだよ、と神父が呟いた。絵麻が首を傾げる。

「俺は、元から神父じゃないんだ。ただのアルバイトでさ」
「えっ、じゃあ、貞潔じゃなくても大丈夫だったんですね、神父様!」

 絵麻の顔が輝いた。神父が眩しそうに目を眇めた。

「アルフレッドだ。アルって呼んで」

 優しく言われて、絵麻はぶんぶん頷いた。

「私、絵麻です。それほど古い魔女じゃないんです。いわゆるゆとり魔女」

 お互い名前も知らずに性交してしまったわけだ。さらにお互いの本当の姿も知らなかった。

 特にアルフレッドは、絵麻にまだ黙っていることがある。

「教会もバカチン当局も関係無い機関なんだけど、俺、とある伝統的な秘密結社の悪魔祓い師なんだ。それでね、魔女って、一応祓わなきゃダメな対象なんだ」
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