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何かがおかしい……

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「レディースエーンジェントルメェエエン」

 バーテンダーがマイクを持って叫ぶ。

「魔女の宴にようこそ、今宵はゆっくり楽しんでくれたまえ」

 思わず立ち上がろうとしたとき、立ち眩みがした。目の前のサングリアを見て、アルフレッドはもしかしてと身構える。うかつだった。逆ドラッグレイプも有り得そうなのに。

「どこへ行くの?」

 金髪の女がいつの間にか背後に立っていた。黒のスリットが入ったドレスが、ダイナマイトな体にまとわりついている。

「あ、連れがなかなか戻ってこないので、ちょっと外に」

 逃げなきゃ、と思った。あの子が心配であるが、そもそもあの子に誘われたのだ。仲間かもしれないし。

「お座りくださいな」

 女は口元に笑みを浮かべ、ぐぐっと体重を支えて立ち上がろうとするアルフレッドの肩を押さえた。

「宴はこれからですよ?」

 店の照明が暗くなった。あちこちで男女が抱き合い、口づけをかわし始めた。

 それはエスカレートし、その場で服を脱がせ、裸で絡み合いだしたではないか。

 これは、乱交パーティではないのか……。アルフレッドは額を押さえつつ、逃げる隙がないかとキョロキョロする。

 すると若い男性が、真ん中のテーブルに横になった。

「さあ、レディたち。僕は逃げも隠れもしないよ」

 ねっとりした声。ふと、アルフレッドのチンコレーダーが反応した。

(あいつは、悪魔だ)

 それもなかなか強いインキュバス。

 残念だが、アルフレッドには男性悪魔を祓うことはできない。拓斗から「ケツに刺しても祓えない?」と聞かれたが、自分が絶対イヤだったので、無理なものは無理である。

 横になってズボンをずり降ろし、腰をくねらせて誘うインキュバスに群がる女たち。

「ねぇ、予約の順番でしょ?」
「理人~、私からよね?」
「早く挿入してほしい~」

 なんと破廉恥な! 自ら堕落するなんて、と自分は聖職者でもないくせに腹をたてるアルフレッド。

 次々と上に乗り、腰を振って絶頂を迎える女たちを見て、アルフレッドはやっと気づいた。

 これは、サバトだ。

 性行為を見学している女性たちの口から、ラテン語の呪文が流れるように出てくる。

「さあ、次は貴方の番よ、いらっしゃい」

 近くに居た女が、アルフレッドの手を引く。

「いやだ」

 みんなの前でエッチするなんて、無理、そんな趣味は無い。しかも複数とやるなんて……。

 あれ、なかチンコがむずむずしてきたぞ。

「楽しそう、って思ってるんでしょ?」

 バカな、貞潔を貫く司祭がそんなものを楽しみにするわけがない……。あ、俺は司祭でも貞潔でも、ついでに正式なエクソシストでもなかったわ、とアルフレッドは思った。

「え、じゃあちょっとだけ──」

 あっさり堕落しそうになったその時、怒りの声があがった。

「彼から手を放しなさいよ!」

 派手な仮面にネコミミ。ツヤツヤした光沢のボンテージスーツの女性が近づいてきた。赤毛をかきあげ、ツンッと顎を上げてこちらを睨みつける。

 少し幼い感じの小悪魔系だ。顔は半分隠れているが、なかなかタイプである。

「彼は複数は望まないわ」

 いや、経験的にやってみてもいいかなーって……アルフレッドが言いかけた時、金髪の方の女が言った。

「だったら、貴方たち二人で中央のテーブルでおヤりなさい。みんなにエロスを分けるぐらいしなさいな」
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