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アリスは肉弁当さ!(ユベール視点)

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「はは……」

 俺は力が抜けて椅子に座り込んだ。

「なんだそりゃ」
「驚いた?」

 アリスがニヤニヤしながら俺を覗き込む。

「わたしね、誰かの愛に依存するのは嫌なの。でもフィルができて、そっちの欲求には余裕ができたんだ」

 寝室の方に目をやるアリス。蕩けそうな表情は、俺の母を思い出させた。

「私にはあの子が居る」
「……うん」
「貴方を好きなのか、分からなくなったって言ったけどね、それはあの時、誰の愛でもいいから欲しかったのかなって……迷ったからなの。私だけを見つめて、そばに居てくれる人ならね」

 アリスが真剣に話してる。だから俺は手を出さない。

 うるせー! グダグダ言ってんな! アリスは俺が好きなんだよ! と抱きしめたいのを堪える。

「離れて、だからこそ確信したよ。フィルが居るのに、わたし、あんたが好き。忘れられなかったんだ」

 俺はエンダアアアアイヤッホォオオオ!! と叫びそうになった。

「俺もだ」
「それは関係ないわ」

 ふぁっ!?

「私が、あんたを好きなのが重要なの。私がユベール君を選ぶのよ」

 結婚するまでは、やらない。

 アリスはお手軽娼婦じゃない。繊細なお嬢さんだ。

 ここに来る時、そう誓った。

 なのに、俺の財布が。いや、股間が、言うことを聞いてくれない。

「ユベール君、窮屈そうね」

 アリスが優越感たっぷりに、俺の股間を見下ろしてくる。

 くっそー……。

 何もかもお見通しなんだろ?

 アリス、お前の手で外に出して解放して欲しい。ズボンを突き破りそうなんだ。

 これを引っ込めてくれ。

 なんなら、踏まれてもいいくらい。アリスになら、踏まれてもいいかな。

 やばい、溜まりすぎて嗜好がおかしくなってきている。

 何年も、自己処理しかしてないから。

 アリスじゃないと、ダメだったから。

「キスしたい」

 キスだけなら、いいんじゃない? そうとも、肉欲じゃない。純粋に、愛情を確かめ合うだけさ。

「籍入れて妻にするまで抱かない。でもキスだけ!」

 アリスは寝室を気にしてから、肩を竦めた。

「いいわ」

 俺の膝に座った。

「……これ、邪魔」

 お尻を動かして、座りやすいようにもぞもぞ位置を直そうとしている。

 柔らかいスカートの生地だけでは、下にペチコートを穿いていても分かるんだ。

 ふんわりぷりんっとした、お尻の感触が。

「擦り付けるな」
「え? 何が?」

 無邪気そうに、きょとーん顔で見上げてくる。計算してやってやがる。アリス節は健在だ。

 クイッとシャツを引っ張られた。

「キス、するんでしょ?」
「……うん」

 俺は堪らず、彼女の唇を食んでいた。

 最初は、瑞々しいふっくらした唇の表面を楽しむ。軽いバードキッス。でもすぐに、それだけじゃ我慢できなくなってきた。

 膣に似た温かい口内に、俺の舌を潜り込ませたくなってしまったんだ。

 ちょっとだけ……。

 唇を割って、舌をねじ込む。

「ん……」

 アリスの舌を見つけ絡めとった。甘い。アリスは肉便器なんかじゃない、美味しそうな肉弁当なんだ。

 無言で貪っていると、アリスがまた腰をもぞもぞ動かした。

 やめろ、布が間にあっても尻の割れ目に入るぞ。俺の股間は今、ビンビンドゥンドゥンだからな。

 スリッと大きく尻を動かされ、俺は思わず唇を離し喉を仰け反らせ、低い声で喘いでいた。

「くっ……勘弁してくれ、アリス。キスだけじゃ我慢できなくなる」

 しかしアリスはモゾモゾをやめない。

 見ると、下着を脱いでいた。俺は目を見開く。

「何やってんだよ」

 アリスはあざとく首を傾げた。濡れた唇を舐めて言う。

は、結婚するまでやらない、なんて宣言してないわ」

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