上 下
74 / 80
第2章

ろろちゃん救出!

しおりを挟む
「だって、私は勇者だもの。」


そう言うと、私はマーリンの意識だけを刈り取った。肩に担ぎ上げ、畔に下ろす。

「まうちゃん、くるる、ちょっとこいつを見ててね。」

大きくなった2匹に見張りを頼み、急いで湖底に向かう。チャリバーの力なのか、水の中でも苦しくない。

(相棒!あそこ!)

湖底に横たわっている青い竜。

「おろろーん。イオンさん…。助けに来てくれたのですかぁ?」

青い竜が薄目を開けてこっちを見る。

「大丈夫?どこか痛いとこは?」

「首に何か刺さってますぅ。」

そこには、何か細いものが刺さっていた。
魔法で消滅させる。

「おろろーん。ありがとう。体に戻って、ちょっと体を解そうと泳いでいたんです。久しぶりなので疲れちゃって…お昼寝していらこんなことになっていて、驚きましたぁ。」

そりゃ、びっくりするよね。

「さぁ、一緒に行こう?」

「おろろーん。」

「あ、そうだ。あなたの名前、ろろちゃんでどうかな?」

「ろろちゃん?可愛い名前ですぅ。嬉しい~。」

青い竜…ろろちゃんは、ひゅーっと小さなサイズになって私と一緒に浮上した。




「まうちゃーん!くるる!」

手を降りながら湖から上がる。そこには、
リュートさんとカミュが小さくなったドラゴン2匹と待っていた。

「姉さん!!良かった~無事で。」


「ただいま!」

そう言うと、いきなりリュートさんに抱き締められる。

「おかえり。」

「うんっ。」

リュートさんの腕の中は温かくてほっとする。最近レポートに掛かりきりだったからこういうのは久しぶりだなぁ。なんだか恋人同士みたい…。あ、恋人同士だった。



ふと、見回すとマーリンがいない。

「あの、リュートさん?マーリンが居ないんですけど…。」


「サフィニアさんとナディアさんが連れてったよ。今頃締め上げてるんじゃないかな?」

締め上げてるのかぁ。
ちょっと想像したら身震いがした。

「おろろーん。」

「あ、そうだ。今日から青い竜さん…ろろちゃんは家族になりました!」

まうちゃんとくるるが、ろろちゃんに飛び付き頬擦りをしてる。

「ろろちゃんて名前になったんだね!」

「おいら達もうひとりぼっちじゃないんだ!」

「おろろーん。嬉しいですぅ。」

カミュも一緒になって、ぴょんぴょん跳ねている。

「イオンさん、戻りましょうか。みんなで。」


その後、ジャニスさんに事情を話して翌日みんなで宴をすることになった。
宴、楽しみだなぁ。

そして、拠点の一軒家に戻ると、そこには
ぐったりした黒い猫を囲む母さんとサフィニアさん、アルフォンソ、バラッカが仁王立ちしていた。


「ただいま!」

「おかえり~。ひゃっはー!」

顔だけこっちを向いた母さんがにっこりする。

「母さん、今日から青い竜の ろろちゃんも家族になったよ。」

「おろろーん。お世話になりますぅ。」

ろろちゃんは可愛く頭を下げた。

「あらー嬉しいわねぇ。宜しくね、ろろちゃん。」

そう言うと、またくるっと頭を戻した。

「ね、これ、あいつなの?どうなってんの?」

カミュが小さな声でサフィニアさんに聞く。

「もう、粗方吐かせたよー。猫に戻っちゃったから簡単だったよ。てへ。」

この短時間でもう吐かせたんか!

「青い竜の魔力を吸いとろうとしたんだよ、こいつ。てへ。」

「そうなんだよ!首に楔を打ち付けてたんだよ!!もう、最低だよね!ね、参考までに聞くけどどんな手を使って吐かせたの?」

「「……………。」」

アルフォンソ、バラッカは目が泳いでいる。

「てへ。ほら、あれだよ。猫をダメにするやつ。」

コロンバインは両手で顔を覆い真っ赤になっている。

あちゃー、母さん…。


「「ぶはっ!」」


リュートさんと私は顔を見合わせて吹き出した。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

処理中です...