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第2章

領主の屋敷

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「おはよーございますっ。はいっっ。
私は今~領主の屋敷の近くに来ていまーす。胸元には、にゃんこちゃん。そしてサフィニアちゃんも一緒でーす。バラッカに寝起きドッキリを仕掛けたいと思いまーす。」


「ナディアさん、そんな何もないとこで誰に喋ってるんですか!」

「なんとな~く、よ。」

「ま、いいですけど。そんなことより、屋敷に突撃するつもりですか?」

「え、そうよ。1番手っ取り早いじゃない?」

「相手は黒魔術使いなんですよ!私だって黒魔術と対峙したことなんて無いんですからどうなるかわからないのに。正直、イオンさんも一緒に来て欲しかったんですよ。あのエクス○リバーの力があれば邪悪な魔術に対抗出来そうですし。」

「なんとかなるわよ~。そんなことより、キャラ変わってるわよ、サフィニアちゃん。てへっ、て言ってみな?ほれ、ほれ。」

「こんな時にキャラ作ってる余裕無いですよ!」


もぞもぞとナディアさんの胸元が動く。

「ぷはー!もう出るぞ!我輩このままじゃ駄目になる…。」

アルフォンソが自力で脱出した。

「温かくて良かったのにな…。」

え。なんか言いました?

そんなことより、ここ、領主の屋敷の近くにある林の中。早朝ということもあって、
屋敷の中に人の動く気配はない。
隠蔽の魔術を掛けてはいるものの、黒魔術がどんなものか明確になっていない為、油断は出来ない。

「そこの小屋の中に屋敷に繋がる通路があるのだが…。」

アルフォンソがぼそっと呟いた。
そんな大事なこと早く言ってよ。

「じゃ、そこから行きましょー!」

ナディアさんはさっさと行ってしまった。
元傭兵のナディアさんには隠密行動は向いてないよなぁ。


小屋…の中には、あれ?黒い猫がいる。
ナディアさんに もふもふされて、仰向けになって気持ち良さそうだ。
アルフォンソ…は、後ろにいるし。
誰?

恐る恐る近付いていくアルフォンソ。
鼻をくんくんってさせている。

「おまえ、バラッカか?」

撫でられている猫は視線だけこちらに向け

「そうだにゃんっ。」

にゃん  だって…。猫を満喫しておる。

「えー、あんたがあのバカなの?!」

「バカってなんだ!失礼だにゃん。」

私とアルフォンソは視線だけで言葉を交わす。(バカだろ、バカ。)

「バカじゃない、乗っ取りしようとして仲間だと思ってた魔術師に猫にされたんでしょう?」

「なっ、なんでそれを?!」

あー。うまく利用されちゃったんだな。
でも、アルフォンソといい、こいつといい何故始末しないで猫にしたんだろう。

とにかく、1度撤収しよう。

「ナディアさん、こいつ連れて帰りましょ。」

「わかったわ。じゃ、よいしょっ。」

「にゃあああああああ!?!?」


今度はバラッカを猫を駄目にするおっ○いに突っ込んで小屋を後にした。






   
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