6 / 80
第1章
アバウト過ぎる家族
しおりを挟む
僕、カミュ。14才。
細かいことは気にしない父さんと
美人で大雑把な母さん
(そしてアフロディーテ)、
努力家でちょっと抜けてる兄さん
(プリンス)と、
可愛くて天然な姉さんがいる。
だいたい、アバウトな家族なので
ここできちんと家族について
解説しようと思う。
え?いらない?
あ、そう。じゃやめとくね。
みんなもアバウトなんだね。
うん。いいと思うよ。
「なん、だと?」
と、どこかで聞いたようなセリフで
僕をガン見した兄さん。
金髪のイケメンに似合うセリフだよね!
「この前ね、爺ちゃんが言ってたの。
千里眼の能力にはね、隠された能力があるんだって。」
「それって…。もしかして、イオンの勇者の力より凄いやつ?」
急にキラキラした目で
僕の手を握る兄さん。
「凄いっちゃー凄いと、思う。」
「ね、カミュ、その隠された凄い能力ってやつを兄さんに教えてくんない?」
「えー、どうしようかなぁ。」
グッと手に力が入る。
「イテッ。痛いよ兄さん。放してよ。
ちゃんと教えるから~。」
「では、兄さん。その耳の穴かっぽじって聞いてください。」
「はい!」
兄さん、素直~。
「兄さんの千里眼という能力は、古来からテングーの力と言われています。
そのテングーの力は、主に、
神足、天耳、天眼の
3つの力だとされています。
兄さんの先読みは、天眼の力なのね。
未来予知とも言うんだ。
で、神足というのは
瞬間的に遠いところに移動できる力、
天耳というのは
遠いところの音も聞き分けられる力なの。
で、爺ちゃんが言うには、『己の欲を捨て修行に励めば、残り2つの力も開花するだろう』ってことなんだよねぇ。」
あれ、兄さん、瞬きしてないよ!?
「兄さん!ね、兄さん!」
「はっっ!」
「聞いてた?」
無言で頷く兄さん。
「と、言うことはだな、俺はもっと修行しなきゃいけないってことか。」
「そーゆーことー!」
「そうと分かればこんなとこで飲んでる場合じゃないな。ちょっと行ってくるよ。」
と言って、
バビューンと音がするくらいの速さで
出て行ってしまった。
かすかに、ひゃっはー!!という声が聞こえたような気がした。
兄さん、案外脳筋なのかな。
見た目プリンスなのに。
それより、
同僚の人達、放っておいていいの?
2人で盛り上がってるからいいか。
カウンターの中で母さんが笑ってる。
「カミュちゃん、グッジョブ!!」
てへ。褒められちゃった。
さてと、兄さんが元気になったところで
次は姉さんだな。
姉さんは、ドラゴン倒した日に
真っ青な顔で帰って来た。
どうやら、真っ二つにしたドラゴンの断面がグロ過ぎたらしく、気持ち悪くなっちゃったんだって。
その日はそのままベッドに潜り込んでしまったから、大まかな話は
ハイテンションな母さんが、身振り手振りで教えてくれた。
2人にケガが無くて良かった。
僕はその後すぐに眠ってしまったけど、
父さんと兄さんは
ドラゴンの後片付けや、辺境伯様への報告などで帰って来たのは明け方だった。
朝になっても姉さんは部屋から出て来なかった。いつもなら元気に早起きして
辺境伯様のお屋敷に仕事に行くのに。
まだ気持ち悪いのかな。
部屋のドアをノックしたけど返事がない。
「姉さん、起きてる?大丈夫?」
声を掛けてみると
くぐもった声で何かもにゃもにゃと
返事が返ってきた。
ドアを開けてみると
ベッドの上に膝を抱えて座っていた。
「姉さん…。」
目の下に凄い隈が出来ている。
気持ち悪くて眠れなかったのかな。
「カミュぅぅぅ。」
めそめそと泣き始めた。
側に行き、背中を撫でる。
「あのね、あのね…」
しゃくり上げながら捨てられた子犬のような顔で僕を見る。
「エクスチャリバーが
煩くて眠れなかったの!!」
はいぃ?
「一晩中喋ってるのよ、
エクスチャリバー。
口から生まれてきたのか!ってくらい、
ベラベラとどうでもいい話をするの!」
エクスチャリバー?
チャリバーって?
え、喋んの?
「で、そのエクスチャリバーは?」
「庭に埋めてきた。」
「えぇぇぇぇぇぇ!!!」
細かいことは気にしない父さんと
美人で大雑把な母さん
(そしてアフロディーテ)、
努力家でちょっと抜けてる兄さん
(プリンス)と、
可愛くて天然な姉さんがいる。
だいたい、アバウトな家族なので
ここできちんと家族について
解説しようと思う。
え?いらない?
あ、そう。じゃやめとくね。
みんなもアバウトなんだね。
うん。いいと思うよ。
「なん、だと?」
と、どこかで聞いたようなセリフで
僕をガン見した兄さん。
金髪のイケメンに似合うセリフだよね!
「この前ね、爺ちゃんが言ってたの。
千里眼の能力にはね、隠された能力があるんだって。」
「それって…。もしかして、イオンの勇者の力より凄いやつ?」
急にキラキラした目で
僕の手を握る兄さん。
「凄いっちゃー凄いと、思う。」
「ね、カミュ、その隠された凄い能力ってやつを兄さんに教えてくんない?」
「えー、どうしようかなぁ。」
グッと手に力が入る。
「イテッ。痛いよ兄さん。放してよ。
ちゃんと教えるから~。」
「では、兄さん。その耳の穴かっぽじって聞いてください。」
「はい!」
兄さん、素直~。
「兄さんの千里眼という能力は、古来からテングーの力と言われています。
そのテングーの力は、主に、
神足、天耳、天眼の
3つの力だとされています。
兄さんの先読みは、天眼の力なのね。
未来予知とも言うんだ。
で、神足というのは
瞬間的に遠いところに移動できる力、
天耳というのは
遠いところの音も聞き分けられる力なの。
で、爺ちゃんが言うには、『己の欲を捨て修行に励めば、残り2つの力も開花するだろう』ってことなんだよねぇ。」
あれ、兄さん、瞬きしてないよ!?
「兄さん!ね、兄さん!」
「はっっ!」
「聞いてた?」
無言で頷く兄さん。
「と、言うことはだな、俺はもっと修行しなきゃいけないってことか。」
「そーゆーことー!」
「そうと分かればこんなとこで飲んでる場合じゃないな。ちょっと行ってくるよ。」
と言って、
バビューンと音がするくらいの速さで
出て行ってしまった。
かすかに、ひゃっはー!!という声が聞こえたような気がした。
兄さん、案外脳筋なのかな。
見た目プリンスなのに。
それより、
同僚の人達、放っておいていいの?
2人で盛り上がってるからいいか。
カウンターの中で母さんが笑ってる。
「カミュちゃん、グッジョブ!!」
てへ。褒められちゃった。
さてと、兄さんが元気になったところで
次は姉さんだな。
姉さんは、ドラゴン倒した日に
真っ青な顔で帰って来た。
どうやら、真っ二つにしたドラゴンの断面がグロ過ぎたらしく、気持ち悪くなっちゃったんだって。
その日はそのままベッドに潜り込んでしまったから、大まかな話は
ハイテンションな母さんが、身振り手振りで教えてくれた。
2人にケガが無くて良かった。
僕はその後すぐに眠ってしまったけど、
父さんと兄さんは
ドラゴンの後片付けや、辺境伯様への報告などで帰って来たのは明け方だった。
朝になっても姉さんは部屋から出て来なかった。いつもなら元気に早起きして
辺境伯様のお屋敷に仕事に行くのに。
まだ気持ち悪いのかな。
部屋のドアをノックしたけど返事がない。
「姉さん、起きてる?大丈夫?」
声を掛けてみると
くぐもった声で何かもにゃもにゃと
返事が返ってきた。
ドアを開けてみると
ベッドの上に膝を抱えて座っていた。
「姉さん…。」
目の下に凄い隈が出来ている。
気持ち悪くて眠れなかったのかな。
「カミュぅぅぅ。」
めそめそと泣き始めた。
側に行き、背中を撫でる。
「あのね、あのね…」
しゃくり上げながら捨てられた子犬のような顔で僕を見る。
「エクスチャリバーが
煩くて眠れなかったの!!」
はいぃ?
「一晩中喋ってるのよ、
エクスチャリバー。
口から生まれてきたのか!ってくらい、
ベラベラとどうでもいい話をするの!」
エクスチャリバー?
チャリバーって?
え、喋んの?
「で、そのエクスチャリバーは?」
「庭に埋めてきた。」
「えぇぇぇぇぇぇ!!!」
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
わたしを捨てた騎士様の末路
夜桜
恋愛
令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。
ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。
※連載
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる