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第2ステージ RPGとお茶会と
RPGとお茶会と①
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レンカは、あきらめたように肩で息をついた。
「──わかりました。でもその前に、秘薬のエリクシルをいただけますか」
「エリクシル? あれは体力回復の薬じゃ。何をする?」
「わたしも消滅は怖いので、少しでも備えておきたいんです。ああ、あと金のりんごもね。そういう口上で連れて来られたんですから、それくらいはいいでしょ?」
司教はしばらく考えていたが、合図をすると騎士のひとりが青いガラス壜と金のりんごをトレイに乗せて持って来た。
「どちらも体力増幅の希少な課金アイテムじゃからな。大事に使」
司教が言い終わる前にレンカは壜とりんごををつかみ取り、風呂上りのコーヒー牛乳のようにエリクシルを一気にあおった。
飲み干すやいなや、壜口を持ち壁で叩き割る。
「な……おまっ……!」
「そのまま! 動いたら女王をみじん切りにします!」
手づかみにしたしらたきにガラス片をつきつけ、じりじりと後退る。
自分には目的があるのだ、こんなところで消えるわけにはいかない。
(この場面、確か似たシチュエーションが──)
すぐに浮かんだのは、スピネルルート第五章。
組織を裏切ってレンカを助けたスピネルが、仲間のアサシンたちから城の尖塔へ追いつめられるシーンだ。
ふたりは、小さな窓から城を取り巻く外海へ飛び込んで逃げた。
(海──確かこのお城も海に面していたはず!)
レンカはしらたきを高く放り上げると、騎士たちがそちらに群がったすきにホールを飛び出した。
「じょ、女王ぉおおお──おのれ逃がすなァ!」
集団に埋もれた司教冠の悲痛な声を後に、レンカは空中回廊を走った。エリクシルのおかげか、体力がマックスにみなぎっている。
居館棟へわたり、食糧貯蔵庫、厨房を次々に抜ける。先で通路は二つに分岐したが迷っているひまはない。ぐずぐずしていたら騎士たちに追いつかれてしまう。即断で風を感じるほうへ進み、上へと続く暗い階段を駆け上がる。
風は海から吹いて来るもの、心なしか潮の香りもする。
だが着いた先のバルコニーで、窓から身を乗り出したレンカは息を呑んだ。
眼下は北の外郭、玉砂利を敷いたただの地面には魚が干してあった。
潮の香りの正体は魚の開き、海は反対側に面していたのだ。
「そんな……」
これまでならヒーローが助けに来る頃だが、ここではそんな展開も期待できそうにない。そうこうしているうちに、階段を踏み鳴らす集団の足音が近づいて来る。
捕まってLPを搾取されるのだけはごめんだ。自分のゲームにもどることもできなくなるかもしれない。
レンカは窓枠に足をかけ、張り出し櫓へつながる軒先に降り立った。
しかしもともと歩くための通路ではない。かろうじて立てるだけの足場を、石壁に貼りつきながらそろそろと進む。が、
「いたぞ、外だ!」
「あっ!」
窓から銃剣を向けられレンカは足を踏みはずし、まっ逆さまに落ちて行った。
耳たぶに強い風圧を感じる。さすがはオープンワールド、風の音もリアル。
(……風? いいえ、これは羽ばたき!)
大きな飛翔音と濃い影が上空を覆った。太い鳥類の趾が、落下するレンカの腰をがっしりとつかむ。
(飛竜!)
このゲームへ入ったとき、空を飛んでいたモンスターだ。あのときはファンタジーの世界観の一つとして感動したが、実際間近で見ると恐ろしい。
すでに銃弾も届かない距離まで城は小さくなり、地上ははるか。その高さに目を瞑り、恐怖を回避するためにレンカは妄想を開始した。
(実はこのドラゴン、擬人化したらイケメンでわたしを助けるために──)
「……」
却下だ、まったくリアリティがない。高糖度のシナリオが染みついた乙女脳を、今さらながらどうにかしたい。
現実を見なければ。バグを見つけるのが当初の目的である。
レンカは自分を律し目を開けた。
足もとに広がるのは、岩礁でくつろぐ竜、竜、竜。
そういえば最初に城へ誘った青年が、郊外へ帰るところだと言っていた。
(ここ──飛竜の巣なんだ!)
自分はエサとしてお持ち帰りされたのだ。
高さより何より恐怖である。一刻も早く逃げなければLPどころの話ではない。
(でもどうやって?)
こんなピンチは『憂国のシンデレラ』では起きたことがない。まず架空のモンスターは登場しないし、生きものといえば馬くらいしかなじみがない。
「馬──そうだ、テイミング!」
青年は確か、うまくテイムできれば騎乗できるとも言っていた。
通常自分のインベントリにあるエサを与えて飼いならすものであるが、レンカにはもちろんそんな保管場所などない。
(でもこれがあるわ!)
ポケットから煌めくりんごを取り出したとき、明らかに竜の目が見開いたのがわかった。
「ほーら、おいしそうでしょ、なかなか食べられないレアアイテムよ~」
竜はレンカがりんごを翳した先に、おもしろいように吸いよせられていく。ぶら下げられたにんじんへ向かって走る馬のようだ。
(そう、そのまま巣から離れて)
沖へ向かっているのは計算外だったが、とりあえず岩場は遠ざかる。
だが待ちきれないのか、竜は落ちつきを失くし上下に紆曲し始めた。
「ちょ、そんなに動いたら……!」
長いうねりが跳ね上がり、りんごはレンカの手からぽろりと落ちた。
たちまち飛行はまっ逆さまに進路を変える。
竜は金のりんごしか見えていなかった。捕獲した獲物のことなどすっかり忘れていた。ゆえに煌めくエサをキャッチした一瞬、鋭い趾はレンカを放してしまった。
「!」
本日二度目の落下、レンカは派手な飛沫を上げて海へ突っ込んだ。海中を沈みながら、泉で溺死するバッドエンドを演じたスピネルの顔が浮かぶ。
あのときスピネルの言うことを聞いておけばこんな事態にはならなかったはずと、少しの後悔が頭をかすめたが、今は浮上しなければ本当に溺れてしまう。
さっきの飛竜はりんごを食べて満足したのか、どこかへ行ってしまった。テイムするはずが、これではアイテムを取られ損だ。
やっとの思いで海面に顔を出すと、頭上に何羽ものロック鳥。再び海中にもぐるが、今度はゆらめく大きな魚影を見かけあわてて岩陰に身をかくす。
これでは海にいても陸にいても捕食されてしまう。RPGはなんと危険な世界だろう。
(まずはここから離れなきゃ)
急いでまわりを確認するレンカの視線の先に、ふとある生きものが映った。
人型のねこが、風呂敷にまとめた荷物を首に巻き泳いでいる。
『エピックオブドラグーン』にもケット・シーなど、ねこのキャラクターは存在するが、目の前の動物には違和感があった。
(なんだか世界観が違う)
二頭身にデフォルメされたまるみのあるキャラクターは、緻密なデザインのこのゲームの中でかなり浮いている。
とても優雅とは言えないもたもたした動きに、丸腰で無防備過ぎるコスチューム。さっきのモンスターたちに見つかったら、瞬殺であろう。
だがそれゆえ、突破口の予感がした。鳥や鮫のエサになるよりはマシだ。レンカも泳いでねこの後を追う。驚いたことに、ねこがかき分けて入った群生する海藻の向こうには、洞穴が口を開けていた。
(でも、もう息が……!)
限界だった。がぼごぼと泡を従え、レンカは深い青の世界に沈んでいった。
「──わかりました。でもその前に、秘薬のエリクシルをいただけますか」
「エリクシル? あれは体力回復の薬じゃ。何をする?」
「わたしも消滅は怖いので、少しでも備えておきたいんです。ああ、あと金のりんごもね。そういう口上で連れて来られたんですから、それくらいはいいでしょ?」
司教はしばらく考えていたが、合図をすると騎士のひとりが青いガラス壜と金のりんごをトレイに乗せて持って来た。
「どちらも体力増幅の希少な課金アイテムじゃからな。大事に使」
司教が言い終わる前にレンカは壜とりんごををつかみ取り、風呂上りのコーヒー牛乳のようにエリクシルを一気にあおった。
飲み干すやいなや、壜口を持ち壁で叩き割る。
「な……おまっ……!」
「そのまま! 動いたら女王をみじん切りにします!」
手づかみにしたしらたきにガラス片をつきつけ、じりじりと後退る。
自分には目的があるのだ、こんなところで消えるわけにはいかない。
(この場面、確か似たシチュエーションが──)
すぐに浮かんだのは、スピネルルート第五章。
組織を裏切ってレンカを助けたスピネルが、仲間のアサシンたちから城の尖塔へ追いつめられるシーンだ。
ふたりは、小さな窓から城を取り巻く外海へ飛び込んで逃げた。
(海──確かこのお城も海に面していたはず!)
レンカはしらたきを高く放り上げると、騎士たちがそちらに群がったすきにホールを飛び出した。
「じょ、女王ぉおおお──おのれ逃がすなァ!」
集団に埋もれた司教冠の悲痛な声を後に、レンカは空中回廊を走った。エリクシルのおかげか、体力がマックスにみなぎっている。
居館棟へわたり、食糧貯蔵庫、厨房を次々に抜ける。先で通路は二つに分岐したが迷っているひまはない。ぐずぐずしていたら騎士たちに追いつかれてしまう。即断で風を感じるほうへ進み、上へと続く暗い階段を駆け上がる。
風は海から吹いて来るもの、心なしか潮の香りもする。
だが着いた先のバルコニーで、窓から身を乗り出したレンカは息を呑んだ。
眼下は北の外郭、玉砂利を敷いたただの地面には魚が干してあった。
潮の香りの正体は魚の開き、海は反対側に面していたのだ。
「そんな……」
これまでならヒーローが助けに来る頃だが、ここではそんな展開も期待できそうにない。そうこうしているうちに、階段を踏み鳴らす集団の足音が近づいて来る。
捕まってLPを搾取されるのだけはごめんだ。自分のゲームにもどることもできなくなるかもしれない。
レンカは窓枠に足をかけ、張り出し櫓へつながる軒先に降り立った。
しかしもともと歩くための通路ではない。かろうじて立てるだけの足場を、石壁に貼りつきながらそろそろと進む。が、
「いたぞ、外だ!」
「あっ!」
窓から銃剣を向けられレンカは足を踏みはずし、まっ逆さまに落ちて行った。
耳たぶに強い風圧を感じる。さすがはオープンワールド、風の音もリアル。
(……風? いいえ、これは羽ばたき!)
大きな飛翔音と濃い影が上空を覆った。太い鳥類の趾が、落下するレンカの腰をがっしりとつかむ。
(飛竜!)
このゲームへ入ったとき、空を飛んでいたモンスターだ。あのときはファンタジーの世界観の一つとして感動したが、実際間近で見ると恐ろしい。
すでに銃弾も届かない距離まで城は小さくなり、地上ははるか。その高さに目を瞑り、恐怖を回避するためにレンカは妄想を開始した。
(実はこのドラゴン、擬人化したらイケメンでわたしを助けるために──)
「……」
却下だ、まったくリアリティがない。高糖度のシナリオが染みついた乙女脳を、今さらながらどうにかしたい。
現実を見なければ。バグを見つけるのが当初の目的である。
レンカは自分を律し目を開けた。
足もとに広がるのは、岩礁でくつろぐ竜、竜、竜。
そういえば最初に城へ誘った青年が、郊外へ帰るところだと言っていた。
(ここ──飛竜の巣なんだ!)
自分はエサとしてお持ち帰りされたのだ。
高さより何より恐怖である。一刻も早く逃げなければLPどころの話ではない。
(でもどうやって?)
こんなピンチは『憂国のシンデレラ』では起きたことがない。まず架空のモンスターは登場しないし、生きものといえば馬くらいしかなじみがない。
「馬──そうだ、テイミング!」
青年は確か、うまくテイムできれば騎乗できるとも言っていた。
通常自分のインベントリにあるエサを与えて飼いならすものであるが、レンカにはもちろんそんな保管場所などない。
(でもこれがあるわ!)
ポケットから煌めくりんごを取り出したとき、明らかに竜の目が見開いたのがわかった。
「ほーら、おいしそうでしょ、なかなか食べられないレアアイテムよ~」
竜はレンカがりんごを翳した先に、おもしろいように吸いよせられていく。ぶら下げられたにんじんへ向かって走る馬のようだ。
(そう、そのまま巣から離れて)
沖へ向かっているのは計算外だったが、とりあえず岩場は遠ざかる。
だが待ちきれないのか、竜は落ちつきを失くし上下に紆曲し始めた。
「ちょ、そんなに動いたら……!」
長いうねりが跳ね上がり、りんごはレンカの手からぽろりと落ちた。
たちまち飛行はまっ逆さまに進路を変える。
竜は金のりんごしか見えていなかった。捕獲した獲物のことなどすっかり忘れていた。ゆえに煌めくエサをキャッチした一瞬、鋭い趾はレンカを放してしまった。
「!」
本日二度目の落下、レンカは派手な飛沫を上げて海へ突っ込んだ。海中を沈みながら、泉で溺死するバッドエンドを演じたスピネルの顔が浮かぶ。
あのときスピネルの言うことを聞いておけばこんな事態にはならなかったはずと、少しの後悔が頭をかすめたが、今は浮上しなければ本当に溺れてしまう。
さっきの飛竜はりんごを食べて満足したのか、どこかへ行ってしまった。テイムするはずが、これではアイテムを取られ損だ。
やっとの思いで海面に顔を出すと、頭上に何羽ものロック鳥。再び海中にもぐるが、今度はゆらめく大きな魚影を見かけあわてて岩陰に身をかくす。
これでは海にいても陸にいても捕食されてしまう。RPGはなんと危険な世界だろう。
(まずはここから離れなきゃ)
急いでまわりを確認するレンカの視線の先に、ふとある生きものが映った。
人型のねこが、風呂敷にまとめた荷物を首に巻き泳いでいる。
『エピックオブドラグーン』にもケット・シーなど、ねこのキャラクターは存在するが、目の前の動物には違和感があった。
(なんだか世界観が違う)
二頭身にデフォルメされたまるみのあるキャラクターは、緻密なデザインのこのゲームの中でかなり浮いている。
とても優雅とは言えないもたもたした動きに、丸腰で無防備過ぎるコスチューム。さっきのモンスターたちに見つかったら、瞬殺であろう。
だがそれゆえ、突破口の予感がした。鳥や鮫のエサになるよりはマシだ。レンカも泳いでねこの後を追う。驚いたことに、ねこがかき分けて入った群生する海藻の向こうには、洞穴が口を開けていた。
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