防御に全振りの異世界ゲーム

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亜人殲滅戦【VS勇者】–2–

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「ぐちぐち、言ってないで早くかかってこいよ」


 全く、時間は無限じゃないんだぞ?


 巻き込まれの大太刀を白雪で防ぎながら、後ろからの勇者の攻撃を黒雪で受け止めため息を吐く。


「うーん、50点って所かな」


 巻き込まれを蹴り飛ばすと同時に勇者の剣を弾き奪い取る。


「うわぁ、おっも。よく、こんなもん振れるな」


 俺が、剣を眺めていると頭痛と共に頭に声が響く。


『数多の武器、アイテムを手にした事によってスキルを獲得しました。
 スキル名【鑑定】効果は触れた物の情報を知る事が出来ます』


 ほぉ、ゲームっぽい物が来たな。んじゃ、早速。


「鑑定発動」


【エクスカリバー】
 勇者だけが持つ事を許された黄金に輝く大剣。
 使用者のあらゆる能力を向上させる効果を持つなお、使用者の力量によって能力が増えていく。現状能力解放率は20%


 20って大分低くないか?  こいつさてはあんまり戦った事ないな。もしくは、実力が下の奴ばっかり相手にしてたかだな。


「返せ!  聖なる光、風となりて敵を切り裂け【セイント・ウィドウ】」


 勇者が、腕を振ると白い風が斬撃となり俺に向かって放たれる。


「ふぅ、よっわ」


 俺が、黒雪を振るうと風が空中に飛散し周りの木々を切り裂き、消えていった。


「もう、いいや。飽きた」


 俺は、エクスカリバーを投げ捨て消えるように移動し二人の首元に刀を突きつける。


「くっ、速すぎる」


「これは、終わりだな」


 ふむ、ここで殺してもいいんだが少しばかり気掛かりがあるのでそっちを先に解決しよう。


「お前らにいくつか質問をするから嘘、偽り無く答えろ」


「誰が、お前なんかの--」


 勇者が、何かを言おうとするが巻き込まれに寄って遮られる。


「黙ってろ。死にたいのかお前は。それで、質問ってなんだ?」


 巻き込まれの方が賢い様だな。そりゃそうか勇者と違っていくつもの修羅場潜ってそうだし。


「一つ目、お前ら何故この戦争に参加した?」


 勇者を見るが口を紡ぎ目をそらす。巻き込まれはなにかを考えた後に口を開いた。


「俺は、特に理由はない。王の言う事に逆らって後々めんどくさい事になるのが嫌だっただけだ」


 ふむ、なるほど。確かに王命に逆らうと俺みたいに国を追われる可能性があるからな、確かにめんどくさい。


「ぼ、僕はお前らみたいな悪から国民を守る為だ」


「ほぉ、悪……ねぇ。んじゃ、獣人が何をした?  ってそうかお前は五年前に人を襲ったって聞いたんだったな」


「本当は違うんだろう?  王の顔を見れば分かる」


「え?  どう言う事?」


「はぁ、お前はもうちょっと情報を集めろよ。つまりは……」


 と、巻き込まれが勇者に説明をすると勇者が呆気に取られ四つん這いになる。


「ぼ、僕は騙されてたのか……」


「まあ、そう言う事。じゃあ、二つ目、俺は今からでも兵士を殺しに行く。お前らはどっちにつく?俺達か?  それとも、お前らを騙して戦争に参加させた王国か?」


「僕は……」


「俺は、この戦争から身を引く。どうせ、このままあんたに挑んでも死ぬだけだしな」


 勇者とは違い巻き込まれは飲み込みが早くて助かるよ。


「僕は……戦う。お前と!!」


 えぇ……普通ここは俺達に付くところだろうが。


「そうか、お前らの答えはわかった。それじゃ、勇者お前の人生はここで終わりだ」


「終わってたまるかぁぁぁぁあ!」


 勇者が、首に突きつけられた刀を拳で上に弾き俺を蹴り飛ばす。
   俺は、腕を盾にし衝撃を後ろに殺しながら距離を取った。


 巻き込まれは……なるほど本当に戦争には参加しないみたいで木を背もたれにして見守っている。


「僕は……僕は、勇者なんだ!!」


 勇者の体が金色の光に包まれ始め、魔力を高めて行った。


 覚醒か……。はい、ここで突然ですが不死身である勇者の殺し方講座~。


 Step1  勇者を覚醒させます。
 Step2  空間斬撃が付いた武器を振るいます。
 Step3  光が収まるのを待ちます。
 Step4   死にます。


 光が収まると同時に首の無い勇者が膝から崩れ落ち血溜まりを地面に作る。


    あの光は一種の防御魔法なんだよね、そしてあの光に包まれてる間は全ての能力を上書きする為に一瞬だけ全てのスキルが無くなるんだよ。
    勿論、光に攻撃が阻まれてダメージを与えることは出来ないが、空間斬撃はあらゆる防御を無力化出来るから、今みたいに普通の人間状態の勇者の首を切る事が出来たって訳だ。分かった?


「さて、巻き込まれにはやって欲しい事があるんだがいいか?」


「俺は、負けた身だ勝者の言う事には従うさ」


 話が早くて助かるぜ。


「実はだな--」


「は?  まじで言ってる?」


「大マジだ。んじゃ、頼んだからな」


 俺は、それだけを言い爆発音が聞こえる中央へと飛び立つ。



「王になって欲しいとか……マジかよ」


 黎人はため息を吐きながらその場に座り込む。
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