防御に全振りの異世界ゲーム

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獣人の里での大決戦?–2–

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「もう一度聞くぞ?  戦いを望むのか?」


「わしらは……もう、嫌じゃ。これ以上大切な家族が傷つくのを見るのはもう、嫌なのだ」


 村長は目から涙を流しながらへたり込み嗚咽をあげる。


「ふむ、了承した。では、兵士の諸君……貴様らは戦いを望むか?」


「はっはっは!  当たり前だ!  亜人は滅びるべき存在、よって我らの正義で蹂躙してやるのだ」


「ふむ、了解した。今、ここに俺の……いや、俺達の敵は確定した」


 俺は、掴んでいた男を離し首を飛ばす。


「敵は、貴様らだ下衆な人間よ」


   お面の奥で俺の瞳が紅く光ると同時に俺の後ろにシオンが小さいクレーターを作りながら着地する。


「この演出はいるの?」


「かっこいいだろ?」


   因みに俺もシオンも一時的に紅い瞳に変える薬を飲んでいる。そっちの方が威圧感があっていいだろ?


「貴様ら!  何をしているのか分かってるのか!」


「王国への反乱。亜人に味方した事による反逆罪。馬鹿じゃ無いんだそれくらい分かるさ。さて、お喋りはここまでにしようか。死神、行くぞ」


「その、呼び方やめて」


   俺とシオンは左右に分かれ狼狽えている兵士達を斬り殺して行く。


「ええい、何をしている後続の奴らも呼んだこい!」


 あっという間に後続部隊が合流し兵士の数がおよそ100人位まで増えた。


 手間が省けて良かったぜ。


「おい、俺達も戦うぞ!」


「おおおお!!」


 あちゃあ、獣人達に火が着いちまった。


「リンネ、頼む」


『了解した』


 今にも突撃しようとしていた獣人達の前に龍形態のリンネが舞い降りる。


『貴様ら、止まらんか!!  よく聞け、貴様らは戦いを望まぬと言っただろ、だから今は黙って見ておれ!』


   リンネの威圧感に怯み、その場から獣人全員が動けなくなっていた。


   俺は、それを見届け兵士達に突っ込む。横からの剣を上に弾き、刀を横に振るい上半身と下半身を分断する。
   後ろからの攻撃をジャンプして避け回転しながら降り周りの兵士を切り裂いて行った。


   シオンの方を見ると鎌を振り回し鎖で兵士達を切り裂いて居た、その風圧によりフードが取れていたがまあ、大丈夫だろ。


「くっ、撤退だ!!  撤退しろ!!」


「はっ、逃すかよ」


 兵士達の後方に障壁を張り退路を遮断する。


「くそ、こうなったら全員で奴らを殺せ!」


「めんどくせぇ」


 俺は、鞘に刀を納め居合の構えを取る。


「おしまいにしようか」


 そして、振り抜くと朱い光と共に隊長と呼ばれた男と一人の兵士を残して全員が絶命した。


「なん……だと」


「ひっ、やめて殺さないで」


「隊長さん、お前は要らないや」


   隊長の首を跳ね飛ばし、失禁して涙を流して泣きじゃくる男の前にしゃがみこむ。


「帰って王に伝えろ。【稲荷】と【死神】が現れたって。それと、この先この里の獣人達に手を出したら首を貰いに行くとな」


「ああ、その為のドクロの仮面なのね」


「そゆこと。どうする?  断るならここでお前の人生は終わるが?」


「つ、伝えます!!  」


「そ、じゃあ行ってらっしゃい」


 兵士は、猛ダッシュで里から出て行った。


「さて、これでとりあえずは大丈夫かな」


「疲れたね」


「あの、ありがとうございました」


「お礼などは––」


「要らない、て言うかお礼ならシオンに言ってくれ」


   俺は、シオンの背中を押し前に押しやり俺は、地面に座り込み、スモークウッドに火をつける。


「ちょっと、リン君!?」


「まかせたぁ」


「もう!」


   シオンが、俺を一度睨みつけた後獣人達と話し込む。


 疲れた。もう、本当疲れた。


 こうして、俺達は更に罪を重ね結局依頼の方も時間制限が来て失敗に終わった。


    畜生、今日は不運続きだぜ全く。





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