防御に全振りの異世界ゲーム

arice

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魔王が使い魔になりました

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  倒れたシオンを団扇でパタパタと仰ぎながら四ノ宮に目を向ける。


「それで?  何しに来たの?」


「凛君の使い魔になりに来ましたー」


  何を言ってるんだろうかこの子は……。



「とりあえず、説明して貰おうか」


「えっとねー」



  時間を遡る事数時間前


  魔界


「はぁ、ねぇ私言ったよね?  許可なく人間を襲ったら殺すって……誰がやったのかな?」


「はっ!  恐らくミレイヤの奴かと」


  ミレイヤ?  ああ、ミレイスの妹か……。



「それで、ミレイヤは何処?」


「それが、ですね……ミレイスと共に昨日から姿が見えないのです」


「……きーめた!  私、魔王やめて凛君の使い魔になるね」


「え!?   それは、なりませんぞ!  もし、魔王様が居ない時に勇者が来たら……」



「そっかぁ……じゃあ、ここに居る君達全員を殺して行くね」



  私は、玉座から立ち上がり刀を抜き目の前の魔族に向ける。


「な、何を!?」


「だって、私の前に立ちはだかるんでしょ?  だったら、殺すしかないよね?」


  私は、ニコッと笑いながら殺気を放つ。



「っ!?  わか……りました。お気を付け下さい……」



「ん、分かれば良いんだよ。それじゃ、行ってきまーす」



そして、現代


「と、言うわけなんだよ」


「つまり、そのミレイスとミレイヤを探すのがお前の目的か?」


「まあ、それもあるけど……凛君と一緒にいた方が楽しそうだしさそれに、シオンちゃんも良いもの持ってるし……ジュルリ」


「シオンはやらねーぞ?  それより、その二匹の魔族見つけたどうするんだ?」


  俺は、シオンに飲み物を飲ませながら四ノ宮の返答を待つ。


「殺す……よね。それよりどう?  魔王が使い魔だよ?」


  うーん、どうしたもんか……。


「とりあえず、飯でも食いながら考えるわ。シオン?  休んでるか?」


「お腹減ったから行く」


  との事なので四ノ宮とシオンと星奈達と一緒に近くのカフェへと向かった。


  「さて、正直使い魔にするのは俺は構わないが、星奈の許可が無ければ使い魔契約は出来ない……って言う事で星奈に聞いてくれ」


「リン君これ美味しいよ」


「お、どれどれ」


  シオンが差し出してきたゼリーを口に運ぶ。


「うっま!!」


「でしょー」


『と、まあこの様に凛とシオンはラブラブなのねだから、条件がいくつかあります』


「何かな?」


  誰がラブラブだまだ、付き合ってすら無いわ。にしても、まさか四ノ宮が魔王だったとはなどうりで、強いはずだ。


『一つ目、凛とシオンの恋路の邪魔をしない事。
二つ目、むやみやたらに人を襲わない事。
三つ目、凛の言う事は聞く事。
これが、守れるなら許可します』


「りょーかーい」


  お、話が纏まったみたいだな。


「あ、そうだ俺から一つ質問。四ノ宮は転生者だろ?  能力とか知らないんだけど」


「あ、そうだったね。それじゃお見せしようか」


  四ノ宮はキョロキョロと周りを見渡してウェイトレスに向かって手招きをする。


「お伺い致します」


「私は、貴方が立つ事を『許可しない』」


  と、四ノ宮が言った瞬間崩れ落ちる様にウィイトレスがその場にしゃがみこむ。


「これが、私の力の一つ【許可と不許可】だよ。あ、ごめんね立っていいよ」


  と、四ノ宮が言うとウェイトレスは何事も無かったように立ち上がり去っていった。


「チートすぎないか?」


「勿論、私より力の上の人には効かないけどね。それともう一つは、これね」


  四ノ宮は自分の目を指差しながらニコッと笑う。
四ノ宮の瞳は俺達の様な形では無く星型の瞳だった。


「魔眼……か?」


「せいかーい。効果は魔法の反射と隷属の契約を与える事が出来るだったかな、あんまり使わないから覚えて無いや」


「ふーん、じゃあ、早速契約してしまおうか」


  四ノ宮と契約しようと四ノ宮の方に目を向けると四ノ宮の後ろに王国の紋章が入った鎧を着た兵士が居た。


  俺は、咄嗟にシオンに頭を下げさせ警戒を強める。


「リン君?」


「シッ!」


  くそ、なんでこんなに早く王国の兵士が来たんだ?  割と王国から離れてる筈なんだが……。


「どうだ?  国際指名手配の二人は見つかったか?」


「いえ、でも近くの宿に出入りしてるとの情報がありました」


「そうか、ではその宿に行くとしよう」


  まずい……今、奴らに見つかって戦闘にでもなったら宿に迷惑がかかる。


「あの人達を退ければ良いの?」


「ああ、だがあんまり荒事にはしたくないから困っている所だ」


  どうすっかなぁ……。



「ふーん、ちょっと待っててねー」


  と、言い四ノ宮が兵士達に向かって歩いていく。


あいつ、何する気だ……?


「そこのおにーさん」


「む?  なんだね君は」


「その二人探してるんでしょ?」


「知ってるのか?」


  おいおいおい、もしかして俺達を売る気じゃ無いよな?


  俺は、いつでも戦闘になっても良い様に軍刀の柄を握る。


「知ってるよー、でも、その二人を探す事を私は『許可しない』」


  四ノ宮がそう言うと、兵士達は手配書をゴミ箱に捨てカフェから出て行った。


「はい、これでオッケー。さて、契約の続きしよっかー」


「便利な能力だな。汝、盟約に従い我が使い魔として身を捧げる事を誓うか?」


「誓いまーす」


  周りが暗くなって行き俺と四ノ宮の間に契約書と虹色に光る万年筆が現れた。


「名前なぁ、そのままでいいか」


「えぇ!!  付けてよー」


  めんどくせぇ……。


「じゃあ、これでいいか」


「ユナ……そのままだけどまあ、いっか」


  俺が、書いた契約書にユナが指を少し嚙み切り血判を押すと契約書が半分に分かれ俺達の身体の中に消えていった。


「終わった?」


「おー、こいつは今日からユナだ。仲良くしてやってくれ」


  こうして、また使い魔が増えチートへの道を歩むのだった。


  余談だが、この後また風呂に入ってシオンがのぼせた。勿論、ユナの所為だ。

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