防御に全振りの異世界ゲーム

arice

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ダンジョン「始まりの洞窟」

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  夜も明け俺達はいい天気だった為歩いてのんびり行くことにした。


「リンネーどうだ?  なんか異常あるかー?」



  俺は、空を飛んで周りを警戒してくれているリンネに問いかける。


「今の所は無い。平和そのものだ実につまらん」


  平和なのはいい事だぞ?


  ちなみに星奈は縮んで俺の頭の上で寝ている。まあ、この辺の魔物なら星奈とリンネの出番無いからな。


「なんか、話し声が聞こえるよ?」


  そうそう、昨日からシオンはこっちの喋り方に変えたようだ。


「ん?  本当だ。行ってみるか」


  俺達は声のした方向へ足を進め茂みに隠れ周りを伺う。


「あの、装備……冒険者だな。ランクはルビーって所か」


  冒険者のランクは学園と一緒なので実に覚えやすい。


「ちょっと、話聞いてくるわ。シオンはここにいな」


「んーん、行く」


  と、言われたので連れていく事にした。


「すいません」


「あ?  なんだお前」


「申し遅れました。俺はリン・スカーライトと言います。それで、こっちが」


「シオン・アルベルトです」


  俺に続くようにシオンも頭を下げる。


「おお、これはご丁寧に。俺の名前はレイン・サリエスだよろしく頼む。それで、お前らはなんでこんな所に居るんだ?」


「はい、実は旅の途中で話し声が聞こえましたので何かあったのかと」


「ああ、なるほど。今から、ダンジョンに潜るんだよ。見たところお前らはまだ、交響曲シンフォニーか、時間があるなら一緒に行くか?」


ダンジョンか……。経験値を稼ぐにはもってこいだな。


「どうする?」


「リン君に任せる」


  ふむ、団体戦を学んどいて損は無さそうだな。


「それじゃ、ご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」


「おうよ!  じゃあ、こっちに来てくれ。後、敬語は無しでいいぜ」


  俺達はレインの後に続き一人の男の前へと向かう。


「おーい、ロイス!  こいつらも参加するってよー」


「む?  交響曲シンフォニーか……精々死なない様に気をつけるんだな」


「ご心配ありがとうございます」


  くそー、こんな事ならランク上げてから来るんだったぜ。


「メンバーも集まった様だな。それでは、これからダンジョン始まりの洞窟へと侵入する!  遅れたものは置いていくからしっかりついてこい。感知の魔法が使える奴は前を進め!  行くぞ!」


  数人が先行する様に洞窟に入るが俺はシオンとレインを引き止め様子を伺う。


「なんだよ、さっさと行こうぜ」


「ちょっと、待て……あいつら死んだな」


「は?」


  レインが、声を上げると同時に洞窟の入り口から叫び声が上がった。


  洞窟の入り口に向かい中を覗き込むと針で串刺しにされた先行部隊がいた。


「入り口から罠だと……」


「ほらな?  行かなくて正解だろ?」


「わかってたんなら何故止めなかった!」


っと、ロイスが俺の胸ぐらを掴む。


「じゃあ、逆に聞くがなんで初めっから感知魔法使うように指示を出さなかった?」


「それは……」


「お前も分かってたんだろ?  なのに、見殺しにした。恐らくダンジョンの報酬を多く取る為だろ?  そして、感知魔法の奴らを先に行かせたのは早めに始末する為、違うか?」


  俺は、ロイスの腕を払いのけダンジョンの中へと入っていく。


  なんともまあ、早い裏切りだ事。世界最速じゃ無いか?


「レイン、ここに潜った事は?」


「無い。ここに居る全員が初見だ」


始まりの洞窟なのに?  まあ、いいや。


「レイン、俺が先行してもいいか?」


「おお、いいぞ。あのクソ野郎よりは信用できるからな」


  そういや、あいつどうしたのかね?まあ、いっか他人だし。


「リン君、あれ」


  シオンの指差した方向を見るとゴブリンが数体歩いていた。


「シオン、行くぞ」


「うん」


  俺とシオンが同時に走り出し、ゴブリンの首を切り落として行く。


「なんか妙だな……弱すぎる」


「ゴブリンだよ?」


「そうなんだが……」


  普通ダンジョンに居る魔物は一般的な奴よりは強いはずなんだが……。


「レイン、シオン。警戒は怠るなよ?  それと、後ろからついてきてる奴らゆっくりでいいから慌てず進め。そこら中に罠があると思う」


  さてと、どんなボスが待っているか楽しみだな。
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