防御に全振りの異世界ゲーム

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魔物王国に襲来す-2-

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「はぁはぁ……数が多すぎる」


  私は、膝をつきながら周りを見渡す。周りには唸り声を上げながら私を睨みつけるウルフ達が居た。


「…兵士さん達は…逃げれたかな」


  私は、未だに閉ざされた城門を見つめながら立ち上がる。


「…どうにか、皆が…避難するだけの時間を稼がなきゃ」


  私は、気合いを入れる為に雄叫びを上げウルフの群れへと突っ込んでいく。


  向かってきたウルフの一体を斬り殺し、鎌を後ろに返し後ろから噛み付こうとしていたウルフの首を刈り取る。


そして、鎌を振り回し柄に付いている鎖で周りのウルフを真っ二つにする。
  更に、後ろから噛み付こうとしていたウルフの口の中に手を突っ込み魔法を放つ。


「【闇の炎】」


  手を突っ込まれたウルフは内部から燃え上がり炭になる。


「…まだまだ!!」


  と、振り向き鎌を振るおうとしたところでお腹にウルフの頭突きが炸裂し、私は吹き飛ぶ。
  勿論、その隙を見逃すはずも無く周りのウルフが私に向かって襲いかかる。


「…ああ…こんな事なら…リン君に想い…伝えれば良かったな」


  私は、ふふっと笑い目を閉じる。



「ぎゃいん!!」


え?  一体何が……。


  私が目を開けるとそこには私が、憧れたそして私が好きになった背中の持ち主が居た。


「間に合って良かったよ」


「…リン…君?  …どうして」


「はっ!  惚れた女一人守れねーで運命は変えられないってな!!」




  と、カッコつけたのはいいが数多すぎんだろ。


「…それって…ムグッ」


  俺は、シオンの唇に人差し指を当てニコッと笑う。


「シー。お喋りはこいつらを仕留めた後でな」


「…わかった」


  さーてと、ショウタイムと行こうか!



「シオン、右の奴らを任せる」


「…いいけど…他の城門は?」


「大丈夫だ。南にアン先生率いる部隊、東にベリス先生率いる魔導兵部隊、西には学園長率いるアン先生、ベリス先生を除いた学園の教師達。そして、この北側は俺とシオンそして……」


  俺は、後ろを親指で指し示す。


「…学園の…皆」


「貴様!  リン・スカーライト!!  貴様を倒すのはこの俺だ!  こんな所で死ぬ事は許さんぞ!」


「うるさいよガルフ。後で幾らでも相手してやるよ」


  俺達の後ろにはダイアモンド、エメラルド、サファイア、ルビーの奴らが集まって来た。


「兄貴!  片っ端から声かけて来やしたぜ!」


「ありがとよ、アルフ」


  こいつは、アルフ。覚えてるか?  学園初日で俺がボコった奴。なんか、懐かれた。


「さーてと、お前ら死ぬなよ?  お前らにはこれからも学園生活楽しんで欲しいからよ」


  俺は、軍刀を抜き放ち雄叫びをあげてウルフの群れに突っ込む。
  俺に続いて学園の奴も雄叫びを上げ突っ込む。


「アルフ!  後ろに回避しろ!  ガルフ!  半歩身を引け!  シオン、頭を下げろ!【剣障壁】」


  シオンに襲いかかって来ていたウルフを貫きシオンの手を引っ張り俺の後ろから来ていたウルフを切り裂いて貰う。


「俺様に命令するな!」


「いいから、前!  前!」


「え?  ゴフゥ!」


  ほらぁ、戦闘中によそ見するから吹き飛ばされちゃったじゃん。


「ガルフはあれくらいじゃ死なないだろ」


  てか、数がマジで多い。結構倒した筈なんだが次から次へと来やがる。


「兄貴!  きりがねーよ!」


「泣き言言ってんじゃねぇ!  それでも、俺の子分か!」


「へ、へい!  すいやせんした!  【硬化】」


  アルフは体を土属性で硬化させウルフの元に向かう。


(凛!  右!)


「ほあ?  リステリン!!」


  俺は、面白い叫び声を上げながら吹き飛ぶ。


「いってぇ……なんだ?」


(あれは、レジェンドウルフ。ウルフの中でも上位の魔物だよ)


「ああ、見て分かるこれはちと強いな」


「グラァァァア!!」


  レジェンドウルフの雄叫びにより俺の周りの地面がひび割れていく。


「なんつープレッシャーだ……ビビるねこれは」


(顔……にやけてるよ?)


おっと、これは失敬。


「行くぞ、狼!」


「グラァァァア!!」


  俺の軍刀とレジェンドウルフの爪がぶつかり周りの地面がひび割れる。


「ぐっ……つえぇ!」


  僅かに力負けした俺は吹き飛ばされ着地する前に突進を食らってしまう。


(凛!!)


「大丈夫だ!  しかし、どうしたもんかなぁこれは。あれしか無くない?」


  星奈は、少し黙った後に口を開く。


(凛……先に謝っとくね?」


「なんだ、いきなり」


  星奈は、俺の頭から飛び降りレジェンドウルフの前へと歩いて行く。


「お、おい星奈?」


(別に、騙してた訳じゃ無いんだよ?)


  星奈が、俺に向かって笑顔を向けた瞬間星奈の体を闇と冷気が包んで行った。
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