防御に全振りの異世界ゲーム

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魔物王国に襲来す

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  天魔祭から一週間経ったある日俺は何故か王様に呼ばれたので王宮へと出向いていた。


「お前が今年の天魔祭の優勝者のリン・スカーライトであるな?」


「そうだけど?」


  俺が、ぶっきらぼうにそう言うと周りの兵士が槍を構えだす。


「貴様!  王の御前で無礼であるぞ!  こうべを垂れよ!」


  ああ、そう言うやつね。でも、このおっさんのこと好きになれないしなぁ。


「良い、こちらが無理言って来てもらっておるからなそのくらいは勘弁してやる」


 してやる……ねぇ。


「それで、何の用だよ。俺やる事あるんだけど」


「ふむ、毎年天魔祭の優勝者は王宮で開かれるパーティに招待される事になっておる。それで日時なんだが……」


「それは、断る。俺は、貴族とかと関わる気は無いし何よりめんどくさい。話がそれだけなら帰らせて貰うぞ」


  俺が、王の間を出ようとすると勢いよく扉が開き息を切らせた兵士が入ってきた。


「今、客人が見えておるのだぞ!」


「ほ、報告致します!  魔物の軍勢が我が国に向けて進行中との事!」


「なんじゃと!?  数は!?」


「ウルフ系が9千、ゴブリン系が5千、オーク系が6千、そしてその他の魔物が1万との報告!」


「に、二万もの軍勢だ……と?  ええい!  今すぐ兵を集めよ!  守護者達もだ!」


  なんか、めんどくさい予感……なので逃げるとしよう。


「リン・スカーライトよ!  貴様に命じる我が軍に加勢をし魔物供を退けよ!」


「んじゃ、その見返りにあんたは何をくれるんだ?  まさか、タダで人を使えるとでも思ってないよな?」


「貴様!  王命であるぞ!」


「だから?  正直に言おうこの国がどうなろうと知ったこっちゃ無いし、あんたの為に命をかけたいとも思わない。よって、その命令は聞かない。以上」


  扉の前に陣取っていた兵士を手で押しのけ俺は王の間を後にする。


「くそ……平民の分際で……。もうよい!  あの者は後で極刑にするとして今は魔物供の相手だ」



「はぁ、めんどくさいなぁ。どうせ、極刑にしてやるとか思ってるんだろうな」


  そろそろ、潮時かな。学園は少し楽しかったが学生も今日で終わりだ。


「…魔物がこっちに来てるって」


「うおっ!?  シオン、いつの間に」


「…見かけたから…それで、どうするの?」


「どうするって言われてもなぁ。別にこの国がどうなろうと知らないから王国を出ようと思ってるぞ?」


「…え?  …出て行くの?」


  シオンは、驚いた顔をしながら俺を見上げる。


「元々、出て行くつもりではあったがな。この国にいたんじゃ俺の目的は達成出来ないだろうから」


  俺は、そう言って宿屋へと向かう。勿論、出立の準備をする為だ。


「シオン、お前はどうするんだ?  行くのか?」


「…行く…ここには恩があるから…お世話になった人達を守りたい」


  シオンならそう言うと思ったぜ。


「そっか、じゃあまた何処かで会えたらいいな」


  俺は、シオンに手を振り宿屋の中へと入って行く。


(いいの?)


「いいんだよ。どうせ俺はその内死ぬか元の世界へ戻るかでこの世界とはお別れだからな」


  そう、だからシオンに気持ちを伝えず、シオンの気持ちにも気づかないフリをしているのだ。


  さてと、何いるかなぁ。とりあえず地図は居るとして後は、着替えを少し……とは言っても2着しかないんだがな。
  この世界は【浄化】って言われる魔法で一瞬で新品同様に出来るからな。そう言う店があるんだよ。


  こんなもんでいいかな。持って行くのは地図、着替え、ある程度の食料、ポーションなどの回復役それらを入れるカバン以上だ。


  そして、宿屋を後にしようとしたところで避難している男達の話が耳に入って来た。


「おい、聞いたか?  今、北側の門を亜人の女が一人で守ってるそうだぞ」


「んな、馬鹿な。兵士はどうしたんだよ」


「なんか、女に耳と尻尾が生えた途端女を一人残して中に入って門を閉めたらしいぜ」


「まあ、亜人だしな。王国の為に死ぬなら本望じゃないか?」


「はっはっは!  確かにそうだ」


シオン……。
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