防御に全振りの異世界ゲーム

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天魔祭「掃討戦」

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  結局、一位には届かず俺達は二位となった。


  一位は勿論四ノ宮のチームで105ポイント。二位が俺のチームで103ポイント。本当に惜しかった……。


それで、今何してるかと言うと……。


「シオン、後ろに半歩身を引け。さて、この人数どうするかな」


  シオンの、前に風の刃が襲い地面に切り傷を付ける俺は、周りを見渡しながら軍刀をプラプラさせた。


「…囲まれたね」


  そう、俺達の周りには我先に俺達を倒そうとしている奴らが集まっていた。


「こいつら魔法使えないらしいぞ!」


「こんなのが代表とはな!  今年はラッキーだな」


  シオンは魔法使えるけど闇の矢しか見せてないから弱いと思われている様だ。
  俺に至っては魔法が使えないって事になってる。なんでだ?割と魔法見せた筈なんだが……。


「この人数でならやれるぞ!」


「うぉぉぉおお!  行くぞぉおお!」



「恥ずかしくないのかね全く」


  俺が軍刀を構え横に振り抜こうとした瞬間シオンが俺の手を握り転移した。


「おまっ!  いきなりなんだよ」


「…いくらリン君が強くても…部が悪い」


  あんくらいならやれたと思うが……シオンが言うならしょうがないここは一時撤退だな。


「逃げたぞ!  追え!」


「今、あの女何した?」


「分かんないけど、俺達にびびって逃げたのには違いねー!」



  少しカチンと来たが、今は逃げるとしよう。


   俺は、シオンの後を追い走り出す。
  その際後ろに向かって弾を撃ったら何人かに当たった様だ。ナイス、俺。


「さて、逃げてきたのはいいけどここからどうすんだ?」


「…考え中」


  つまり、ノープランなんだな。そうさなぁ、どうしたもんか。


  空を見上げながら、脳をフル回転させながら呟く


「いい天気だなぁ」


「…え?  今?」


だって、雲1つない青空だぜ?  気持ちのいい日差しもあるし。


「なーんか、考えるのめんどくさくなって来たな……星奈あれやるか?」


(うぇ!?  いやぁ、まだ早いんじゃないかな?)


「…あれ?」


「なーいしょ」


  俺は、悪い笑みを浮かべながら気配のある方へと歩き出す。


「見つけたぞ!  やれ!」


「ぉおお!」


「遅いよ」


  俺は、軍刀を横に振るいまた、歩き出す。後ろから叫び声と共に血飛沫が上がり襲って来た奴が光の粒子となり消えていった。


「四ノ宮はどこかなー」


  シオンは無言で俺の後をついて来ている様だ。


「んにゃ?  なんだこの気配」


  なんか禍々しいと言うかなんと言うか。


「…胸を押しつぶされそうな感じ」


「……シオン、二歩後ろへ」


  シオンが素直に後ろに下がるとさっきまでシオンがいた場所に真っ黒な鎧を身に纏い大剣を肩に担いでいる奴が上から降って来た。



「なんだ、こいつ」


「…だ、ダークナイト」


ダークナイト?  ああ、本に書いてあったな確か魔王が召喚した魔物だっけか?


「ワレ  マオウサマノタメニキサマヲコロス」


「あ?  魔王様?  恨まれる覚えは無いが?」


「カクゴ」


問答無用かよ!


  俺は、軍刀で大剣を防ぎダークナイトを睨みつける。
  その際に出た衝撃波でシオンが吹き飛ばされていたが大丈夫だろ。


「まあ、なんで恨まれているか知らないがやるって言うなら容赦はしないからな?」


  ダークナイトを弾き飛ばすと同時に走り出しダークナイトの腹に拳を叩き込む。


「いってぇ!!  硬すぎんだろこいつ!」


  あーあ、拳から血が出てるじゃん……痛いわぁ。


「ワレノ  ヨロイハダイアモンドヨリカタイ!   キサマノ  ヒンジャクナコブシナド  キカヌワ」


  ダークナイトって死体に近いから真空壁も効かないしなぁ。斬撃も通るか分かんないしー。


  などと、考えていると大剣が振られる未来が見えたので、イナバウアーをして避ける。その際に髪の毛が少し切れ宙に舞う。


  撤退が無難か?  いや、俺は逃げれるとしてもシオンが逃げれるか分からんな。よし、全力でやって無理だったら諦めよう。


  俺は、目を閉じ一息吐き全力でダークナイトに突っ込み、振るわれた大剣を蹴りで弾きそのまま回し蹴りをダークナイトに叩き込む。


  ダークナイトは、地面を滑りながら後退し木にぶつかる。


「ってぇ……本当かてぇなこいつ」


  ふと、ダークナイトを見るとダークナイトの後ろからシオンが鎌を振るうのが見えた。


「待て!  シオン!」


  シオンの振るった鎌はダークナイトに片手で止められシオンの腹にダークナイトの蹴りが炸裂する。
  蹴りを受けたシオンは木をなぎ倒しながら吹き飛び頭から血を流し気絶する。


「てめぇ……」


  俺の目に赤い光が宿り魔力が溢れ出る。それを感じた森に住む鳥達が一斉に飛び立つ。


「ナンダコノバカゲタマリョクハ」


「俺の惚れた女に何しやがる!」


  一瞬でダークナイトの懐に潜り込み全力でダークナイトを殴る。
  そして、態勢を立て直す前に上からダークナイトの頭を踏み砕く。


「くそったれが」


  息を引き取ったダークナイトを蹴り飛ばしシオンを優しく抱きかかえる。


「待てよ……今、告白しちまったか?  いや、待て待て誰も聞いてないから良しとしよう」


(誰も聞いてない……ね)


しまった……星奈が居た。


「内緒で頼む」


(フフフ、りょーかい)



ダークナイトの襲撃から数分後


「シオン?  大丈夫か?」


「…少し、頭が痛いけど大丈夫」


  なら、よかったよかった。


「それで、これからなんだがシオンが大丈夫そうなら四ノ宮を探しに行きたいんだが」


「…大丈夫…いこ」


  少し足取りがフラフラしているが、本人が大丈夫だと言うならいいだろう。


「っと、探す手間が省けたみたいだ」


「…え?」


  と、シオンが言った瞬間俺とシオンの間に二人の女が現れた。


「やっほー!  遊びに来たよー」


「よう、ちょうど探していたところだ」


「そうなの?  それなら、よかったよ。それじゃ、やろっか」


  四ノ宮は真っ赤な刀を抜き剣先を俺に向ける。


「シオン、そっちの女は任せる。んじゃ、やりますか!」


  軍刀を抜くと同時に走り出し四ノ宮に向かって振るう……が刀でいとも簡単に防がれる。


「おお!  早いね!」


「防いだ癖によく言うぜ」


  そこから俺達は常人には見えないスピードで斬り合いながら言葉を交わす。


「転生者なんだろ?  能力でも見せてくれよ」


「ふふん、そんなに見たい?  でも、ダーメまだ、内緒だよー」


数分後


「はぁはぁ、終わりだな」


  四ノ宮の首に軍刀を突きつけニヤッと笑う。


「あちゃぁ、やられちゃったね。ざーんねん」


「また、遊ぼうぜ」


  俺は、ニコッと笑い軍刀で肩から腰にかけ斜めに切り裂く。


  光の粒子を見送りシオンの戦っていた場所に目を向けると相手の首を刈り取る場面だった。


『終了!  リンチーム以外が全滅した為掃討戦を終了します!』


「ふぅ、楽しかった」

「…ちかれた」


  最後は結果発表だな。
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