防御に全振りの異世界ゲーム

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イベント戦「ドラゴンを討伐せよ」&シオン覚醒–2–

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  俺も、行かねーと……。


  身体を起こそうとするが、手に力が入らず倒れてしまう。


「くそ……頼むから動いてくれよ」


  しょうがない……あの2人が時間を稼いでる間に回復魔法で少しずつ回復するしか無いか。


  俺は、瓦礫に身を任せ2人の戦いを見学した。


  紅葉は、大剣を力任せに振るう戦い方。しかし、霊龍には聞いてない様だった。


  疾風は、足に風を纏わせ空中を走る様に霊龍の身体を切って行くが、これまたきいてない様で霊龍は鼻を鳴らし笑っていた。


「かってぇなこいつ」


「龍族でござるからな」


    2人は、俺の前に着地しながら言葉を交わす。


「なんか、いい手ねーのかよ疾風!」


「拙者は、頭を使うのは苦手でござる」


  お、何とか身体が動く様になって来たぞ。


「あ?  お前、もう動けんのか?」


「守りの力なめんなよ」


「ふむ、便利でござるな」


  さーてと、どうするかなぁ。この中で一番攻撃力の高い紅葉の攻撃が効かないとなると少し困ったな。


  俺が考えていると、紅葉と疾風が霊龍に向かって突っ込んで行った。


「あ、おい!」


この、問題児共が……。


  俺も軍刀を抜き放ち2人の後を追う様に走り出す。


『貴様らじゃ我に傷一つ負わせることが出来ないと分からんのか!』


  霊龍が咆哮を上げると音の振動が俺たちを吹き飛ばし俺たちは地面に激突する。まあ、俺は障壁でダメージを抑えたがな。


「あんの……クソ野郎……」


「流石に強いでござるな」


「だから、待てって言ったんだよ」


  もう、これしか無いよな……。


「2人共、ペナルティ受けたくなかったら俺の指示に従ってくれ」


「あ?  やだね。俺は俺のやりたい様にやる」


「拙者も好きにやらせてもらう」


まあ、だよな……こうなるよね。


「そっか、じゃあ勝手に死ね。お前らが死ねば俺は三つの力を得ることが出来るからな」


「は?  お前何も聞いてないのか?  俺たちの力は力を持つ通し戦わないと手に入らねーぞ?」


うそん……と、言う事は……。


「なるほどね。いい事を聞いた。俺の言う事聞かない様なら俺はこの場で自害する」


「は?」


「なぬ?」


「どうする?」


  俺は、軍刀を首に突きつけながらニヤリと笑った。


  勿論、死ぬつもりなんて毛頭無いが今こいつらにはこれが一番効果的だろう。


「チッ!  しょうがねーな!」


「お主に死なれたら拙者も困る。承知した」


よっしゃ!  勝てるかどうかは分からんがいっちょやってみるか!


『何をごちゃごちゃ言っている!』


  霊龍が口に雷を溜め放つ。


「おい!  どうすんだよ!」


「任せろ【龍障壁】」


  俺たちを囲む様に結界が張られ結界に当たった雷が爆散する。


『むぅ、小癪な……なら、これならどうだ!』


  霊龍の周りの雷が飛散し水が螺旋状に空へと舞い上がる。


「疾風、俺達全員に、雷属性の強化と風属性強化を。紅葉、その場から2センチ後ろに下がれ。」


  紅葉が素直に下がるとさっきまで紅葉がいた所に水のブレスが通り過ぎる。


「何でわかったんだ?」


「ん?  まあ、色々あるんだよ」


  まあ、ネタバラシをすると見切りの水の効果なんだけどな。


「ほら、疾風。呆けて無いで強化強化」


「う、うむ【雷電】【旋風】」


  俺達の足に風が纏わりつき、手には雷が宿った。


「あ、疾風。一歩後ろへ下がった後霊龍に纏わりつきながら攻撃。紅葉、霊龍に向かって突っ込みありったけの力で大剣を叩き込め。防御は任せろ」


  俺の言葉に頷き2人は霊龍に向かって突っ込んだ。


「ん?  来るな【双竜壁】」


  俺が、魔法を唱えると紅葉と疾風の周りに結界が張られ霊龍の水を防ぐ。


『厄介だな。まずは、貴様からだ!』


  紅葉と疾風の攻撃がすり抜け霊龍の姿が消える。


「どこ行った?」


「おい!  後ろだ!」


  紅葉の声に後ろを向いた瞬間、霊龍の尻尾が俺の腹にモロに入り吹き飛ぶ。


「がはっ!  空……間属性だと?」


  俺が立ち上がろうとした瞬間に俺の左右に紅葉と疾風が吹き飛んで来た。



「いってぇ……チート過ぎんだろあんなの」


「紅葉殿も空間属性で応戦するでござるよ」


「馬鹿言うな。俺が持ってんのは基本属性だけだ。さて、どうするよ」


「空間属性が使えるって事は他の属性も使えると考えた方がいいな。っ!?  いって!」


天使の眼が発動したか……どんな条件で発動すんだよ……。


種類【霊龍】

属性【その地に眠る全ての者の属性】


備考
  死を司る龍。
  その地で、死んだ者の属性を呼び覚まし使用する事が出来る。龍族の長でありながら災厄の龍と恐れられている。


  今、この情報いらないだろ……。


『貴様らとの力量の差を思い知ったか?  貴様ら下等な人間では我には勝てぬ!  抵抗をやめ潔く死ね!』



「そう言われてやめる訳には行かねーんだよ」


  俺はハンドガンを構え引き金を引く。放たれた弾は霊龍に当たる前に溶け地面に落ちる。


「くそ!  どうすれば……」


「お前に従った俺が馬鹿だったぜ」


  紅葉は、大剣を肩に担ぎ目にも留まらぬ速さで霊龍の下へと潜り込み大剣を振り上げるが弾かれる。


『効かぬと言っておろうが!!』


  霊龍の身体を中心に赤黒い影みたいなのが広がり紅葉を吹き飛ばす。


「破壊……属性」


どうあがいても勝てる未来が見えないんだが……。


「てか、紅葉!  大丈夫か!?」


「うるせぇ!  あんなもん屁でもねーよ!」


   紅葉は、腕を抑えながら俺の横に着地した。


「これは、ちとまずいな」


「ちょっとどころでは無いでござるよ」


『もうよい、飽きたわ。我が最大の魔法で屠ってくれるわ』


  霊龍がそう言うと、霊龍の口に虹色の光が集まって行く。



「おいおいおい、なんだあのふざけた魔力は……」


「おい、守りの奴あれ防げるか?」


「無理だ。後、俺の名前はリンだ」


  などと、話していると虹色の光が放たれた。


  スローになったのはいいがこれは……避けれないな。


「ゲームオーバーか」


  七色の光が俺達を飲み込む。



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