防御に全振りの異世界ゲーム

arice

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授業「使い魔契約」

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  さて、あれから少し経ってようやくクラス全員が揃ったみたいだな一つ席が空いているがあの男の分だろうから気にしない。


「私が、このクラスの担任のアンです。私も今月からなんでみんなと一緒だね!  よろしく!」


緑の髪に緑の目って事は風属性かな?


「それじゃ、まず自己紹介して貰おうかな。君からどうぞ」


  右側の席の奴から順に自己紹介していきシオンの番が回ってきた。


「…シオンです。…属性は闇…得意な事は料理です…よろしくお願いします」


「あいつって、試験で魔法打てなかった奴だろ?よく受かったな」


「教師に色仕掛けでもしたんじゃないか?ほら、胸はでかいしさ」


  そんな声が聞こえ、シオンが少し赤くなりながら席に座る。


  あいつら……顔は覚えたからな……覚悟しとけよ。


「えっと、次の人お願い出来るかな?」


「リン・スカーライト。リンと呼んでくれ。属性は無属性。得意な事は特にない。
  後、さっきシオンを馬鹿にしたやつ覚悟しとけ。」


  俺は少し殺気を見せながら馬鹿にした奴らを睨んでいるとシオンに裾を引っ張られた為座る事にした。


「な、仲良くね~。さて、この学園は初日から授業があるから教科書取りに来てねー」


  教科書と時間割を貰い時間割を確認するために席に戻ろうとしたら、横からにゅっと足が出てきた。


  古典的過ぎるだろ……中学生かよ。


  俺は、出てきた足の骨を踏み砕き叫び声を無視して席に戻った。


「…何事?」


「さあ?机に足の小指でもぶつけたんじゃないか?」


  さてと、今日の一限目は……魔物との契約方法か。それと、その後に使い魔契約か……どうしよう星菜がいるから要らないんだが。


(凛~やり過ぎだよ)


「絡んで来たあいつが悪い」


  まあ、少しはやりすぎたと思ったがシオンを馬鹿にした一人なので問題なしと判断した。


  二限目は魔道具の作成か……これはふつうに興味あるな。道具系の知識はあまりないからな。


「はい、みんな受け取ったね?  それじゃ最初は魔物……所謂、使い魔との契約方法ね。
  一通り説明した後に実際にやって貰うからよく聞いといてね。じゃあ、教科書の4ページを開いて」


  もう既に知っている俺は教科書を、パラパラとめくり教科書の内容を確認する。


へぇ……ルーン文字とかやるんだな。魔法にはなんの役にも立たないが覚えておいて損は無いだろう。


「えっと、じゃあボーッとしているリン君。使い魔との契約で必要なものは?」


「契約書と対応属性の万年筆」


「はい、正解。ちゃんと聞いてたんだね」


  後は、何があるかな。お、ドラゴンの事が書かれてる。ただ、読むのがめんどくさいのでパス。


「それじゃ、シオンさん。使い魔契約において最も重要な事は?」


「…えっと」


「対象となる魔物が気にいる名前を付ける(ボソッ」


「…対象となる魔物が気にいる名前を付ける…です」


「おっ、正解!  よく勉強しているね。先生は嬉しいよ。それじゃ、名前が気に入られなかった時はどうなる?」


「戦闘になる。相手を屈服させれば契約出来る…但しなかなか懐いてくれない(ボソッ」


  シオンに正解を教えながら教科書をめくり続ける。


  これといって気になるものはなかったなぁ。ルーン文字の用途位だな。


「それでは、契約した使い魔に何かしらの異変が起こるとどんな現象が起こるか分かる人いる?」


  アン先生が質問するが誰一人として手を上げない。そりゃそうか、契約した事ない奴らばっかだろうしな。


  答えるか。


「契約者が黒く染まっていく。完全に黒に染まると使い魔が死んだって事だ。
  付け加えると、契約した時にお互いの体に入った契約書の状態は念じればいつでも確認できる」


  俺は、教科書に目を向けながら答える。


「はい、リン君正解。すごいね君」


「こんなのは常識ですよ。少し、本を読めば分かります」


「あはは、そうだね。っと、もうこんな時間か。それじゃ、そろそろ実践してみようか。
  全員机の上に魔法陣を描いてねー。魔法陣は勝手に消えるからね。その間に私はやる事があるのでー」


  アン先生がパンっと手を叩くと教室の広さが数十倍に広がり、薄い青色の幕が教室を覆って行く。


空間属性だと?  レア中のレアな属性じゃねーか。先生すげぇな。


「このくらいで大丈夫かな。みんな、描けたー?  描けたらそこに言霊を乗せて魔力を流してね」


  言霊って言うのは力を持った言葉の事で簡単に言えば魔力が乗った言葉だ。
  ほら、大ファンの歌手の歌とか聞いたら涙が出たりするだろ?  あんな感じのやつを言うんだよ。



「さーてと、何が出てくるかなっと。盟約に従い我に力を貸す者を欲する……今、ここに顕現けんげんせよ」


  魔法陣が光って出て来たのは……。


(あれ?  凛?)


  さっきまで俺の肩で欠伸をしていた星菜だった。


「うん、だよね!  知ってた。だって、基本的に使い魔って一体しか契約出来ないもんな」


  正確には2体目、3体目を契約するのなら最初の1体俺で言う星菜に許可を得ないといけないんだよ。
  独占欲が強いらしい。
 


(えっと、契約する?)


「いや、もうしてるし……どうしようか。契約したフリしとこう」


(そだね)



  さて、シオンは何が出たのか……な?  あれってケルベロスじゃね?


「…名前…名前。コクアとかどうかな?」


〔ふむ、カッコいい名前ではないか!  よかろう契約だ!  むっ?  あやつは……〕


  なんか、ケルベロスがこっちを見ているがなんだ?


  星菜を撫でながらケルベロスを見ていると近くに熱を感じ振り向くと体が燃えている魔人と名前が分からない男が、今まさに戦闘を開始しようとしていた。


「あれま、失敗したのか。どうする?」


(どうするも何も私達に出来る事は、巻き込まれないようにする事でしょ?)


「だよな。とりあえず俺達とシオン達に障壁張っとくか」


  俺とシオンの周りに障壁を張りまた、星菜を撫でながら見守ることにした。


(あははは!!  凛!  くすぐったいよぉ!)


「ここが弱いのか!  ここか!」


  障壁に炎が当たるたびに火柱が上がるが、こんなチンケな魔法じゃビクともしないのでノープロブレム。


(やったなぁ!  次は私の番だよ!)


  星菜が俺の服の中に潜り込み尻尾で脇腹をわさわさする。


「あははは!!  やめっ、くすぐったいからやめてぇ!!」


  どうやら、遊んでるうちに決着がついたみたいで男は黒焦げまでは行かなくても割と焦げていたからどうやら負けたらしい。


  男が保健室に運ばれて行くのを見ているとチャイムが鳴り一限目が終了した。


  成功した者は7割って所だな。俺が言うのもあれだが、どんだけネーミングセンスねーんだよ。
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