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いざ行かん!入試へ!
しおりを挟む翌朝
「やっぱり、地面で寝るのはダメだな……腰がいてぇ」
俺は、固まった筋肉をほぐす為伸びを一回して周りを見渡す。
あり? 星菜が居ないな。どこ行ったんだ?
まあ、契約書に異変が無いし大丈夫だろさて、俺は入試を受けに参ろうかな。
腰に、軍刀を付け太ももにハンドガンを装備し入試会場である学園に向かった。
学園
まずは、受付だな…えっと、あそこか。
「すいません。入試を受けたいんですが」
「かしこまりました。それでは、こちらの書類に必要事項を記入して下さい」
渡された紙に名前、属性、得意科目などを書いていき女の人に渡す。
「えっと、リン・スカーライトさんですね。属性は……え? 無属性!? え、えっと記入ミスでは無いですよね?」
「書いてある通りです。なにか、問題でも?」
俺が、そう聞き返した所で周りの話し声が耳に入ってきた。
「おい、聞いたか? あいつ無属性だってよ」
「プッ、出来損ないが何しに学園に通うんだよ」
ふむ、薄々感づいていたがどうやら、無属性というのは落ちこぼれの部類に入るらしい。
そうだ、丁度いい俺の属性について少し話すか。
まず、無属性と言うのは攻撃魔法を一切会得出来ない属性だ。
使えるのは、防御系魔法と回復系のみ。回復魔法に関しては無くても別に困らない程度の魔法しか使えない。
それで、防御魔法は三種類存在している。一つ目は、全方向を守れるが耐久が低い【壁系】例で言うと障壁などの壁と言う文字がつく奴だ。
壁系は、発動スピードが速く魔力消費も少ない為一番使う魔法だな。
手を加えて、追加効果を与える事も簡単なので好きに形を変えれる。
追加効果については、また今度話すとしよう。
二つ目が、一方向しか守れないが耐久が高い【シルド系】。
発動スピードが壁系と比べると遅く魔力消費も激しい為連続で使うにはちょっと厳しい魔法だな。
そのかわり、反射させるなどの追加効果を付けれる。
三つ目が、ドーム状に壁を張り攻撃を受け流す【シェル系】
三つの中で発動スピードが一番遅く魔力消費も半端ない為、使い所が難しい魔法だな。
まあ、大抵の魔法なら受け流すことが出来る点では優秀な魔法だ。
あとは、神級魔法とかあるが今は使わないので気にしなくていい。
「問題無いです! それと、得意科目が魔法学と言うのは「本当だ」そう……ですか」
女の人は、少し戸惑いながら紙に判子を押しクレジットカード位の大きさのカードと番号が書いた紙を机に置く。
「こちらが受験票となります。こちらを無くしてしまうと向こう一年は試験が受けれなくなりますのでお気を付け下さい。
カードの方は後々説明が担当から説明がございます。それでは、奥にどうぞ」
女の人に軽く頭を下げ、案内された部屋に入り自分の番号が書かれた席へと腰を下ろす。
ふぅ、少しだけ緊張するな……何せ知識は貰ったとはいえ魔法には関してはズブの素人だしな。少し、お腹も痛くなってきたし。
俺が、緊張から来る腹痛と戦っていると横から声が聞こえた。
「…あ…スカーライトさん?」
えっと、何処かで見たような……。
「誰だ?」
「…昨日…大通りで助けて貰った」
大通り…?
「あぁ、あの時の。えっと、名前なんて言ったっけ?」
「…言ってない…シオン・アルベルト…シオンって呼んで」
「おけおけ。シオンも試験を?」
「…うん。…席もスカーライトさんの隣だよ」
「リンでいいよ。呼びにくいだろ?」
「…わかった」
シオンが、席に腰を下ろすと、部屋のドアが開きオールバックにサングラスをかけた男が入ってきた。
「俺が、今日お前らを担当するベリスだ。試験の内容を説明する。
一度しか言わないからよく聞け。試験は三つ。座学に体術それに魔法だ。
座学は簡単なペーパーテストをして貰う、体術は、俺の用意した魔物を制限時間内に倒せ。魔法は、予め用意した魔道具【木人】に魔法を当てろ。以上。ここまでで質問はあるか? 無いな?」
俺は、予め机に置かれていた冊子をパラパラとめくる。
クラス分けについてか。えーっと何々。
【クラスは一番上がダイヤモンド、その下がエメラルド、サファイア、ルビーとなっている。下に行くほどランクが低い。
成績優秀順に決めていくが、試験でトップだった者には、自由にクラスを選べる権利が与えられる。】
ふーん。とりあえず、トップ狙って頑張るか。
「それじゃ、答案用紙と問題用紙を配る。前から後ろに回してくれ。」
俺は、前の奴から用紙を受け取り内容を確認し唖然とした。
「これは……」
「……古代語と古代数字の計算」
この世界ではこれが古代語なのか……どんな問題が来るかと思ったら日本語と算数かよ。
「全員に回ったな? 時間は一時間。それじゃはじめろ!」
まず、1問目は……。
問1、次の古代語の読み方を書きなさい。
[刹那][羅刹][野薔薇][五月雨]
余裕すぎないか? こんなものが試験で良いのか? まあ、いっか次だ次。
古代語の問題を数分で解き終え算数へと取り掛かる。
なるほどね、掛け算と割り算か。小学生の問題じゃねーか……。
そして、試験開始から20分で終わり俺は机に突っ伏す。
問題は簡単なのに量がえげつなかった……100問とか馬鹿だろ絶対。
40分後
「そこまで! 答案用紙を後ろから回してくれ」
俺は、腰をバキバキと鳴らしシオンに話しかける。
「どうだった……ってうお! 大丈夫か?」
シオンは、机におでこをつけ頭からは湯気が出ていた。
「…疲れた」
「たしかに、でもまだ体術と魔法残ってるぞ?」
「…魔法……か」
なんか、表情が暗いが大丈夫か?
俺は、シオンと一緒に次の部屋へと移動した。
「次は、体術だ。お前らにはこいつを倒して貰う」
ベリスが、指を鳴らすと俺たちの前に緑の肌を持ちでかい棍棒を持った魔物が現れた。
「こいつは知っているな? 一般的な魔物のオーガだ。
物理耐久が高いから気をつける事だな。武器は使って良いが、魔法で強化するのは無しだ。
魔法使った瞬間そいつを部屋から叩き出す。それじゃ、始めろ」
俺は、合図と共に走りながら軍刀を抜きはなちオーガの股下を潜り抜け、膝裏を切りつける。
流石に硬いな。本気で切ったのに薄皮一枚切れただけかよ。うーん、やっぱり首落とすか。
俺は、一度息を吐き再度オーガに向かって突っ込む。そして、オーガの振るった棍棒を上体を逸らしギリギリで避け、オーガの膝を一度蹴り空中で軍刀を振るいオーガの首を落とす。
「ふぅ、こんなもんかな」
軍刀の血を振り落とし鞘に納めシオンの方を見る。
シオンの武器は大鎌か…カッケェな。しかし、あの小さい身体のどこにあんな力があんのかな?人体って不思議。
あ、首を落とした。割と早いんじゃないか?
「…はぁはぁ…疲れた」
「お疲れさん。よく、そんな重たい物持ってあそこまで動けるもんだな」
「…まあね」
そこから、数時間が立った所で終了の合図が会場に響き渡る。
どうやら、何人かは間に合わなかったらしい。
「オーガを倒せなかった奴は失格だ。ささっと家に帰れ。倒せた奴ついてこい」
何人かが肩を落としながら、とぼとぼと会場の外へと出ていくのを見送りベリスの後に続く。
「ラストは、魔法だ。あそこに木人が見えるな?あれに魔法を当てるだけだ…簡単だろ?放った魔法が少ない方が点数高いから頑張れ。んじゃ、お前から」
と、順番にやっていき俺の番が回ってきた。
「お前か……聞いたぞ? 無属性なんだってな。攻撃魔法使えないお前がどうするか楽しみだ」
さーてと、どうしたもんかな。ベリスが言ったように俺には攻撃魔法が無いからなぁ。
……やるか。
「質問、要はあれを倒せばいいんだな?」
「その通りだ。しかし、見てただろ? あいつははえぇぞ」
その通り、あの木人はなんと会場内を走り回るのだ。しかも、馬鹿みたいに速い。
「【障壁】」
俺は、会場を覆うように結界を張る。
「おいおい、それじゃ当たったことにならないぞ?」
「まあ、見てろ。対象・木人。縮め」
俺が、そう言うと結界が徐々に縮まっていき最後には木人を潰した。
「これで、いいんだろ?」
「なんだ? その魔法そんな物見たことないぞ?」
そりゃそうだ、俺が作ったもん。
ちなみにあんな感じのが追加効果な。
「別に、答える必要は無いだろ?」
俺は、冷たい視線をベリスに向け試験が終わっている奴らが集まっているところに移動した。
「生意気な野郎だ……。まあ、いい。次!」
お、シオンの番だ。さてさて、どんな魔法見せてくれるかな。
「……出来ません」
「なんだと?」
出来ない? どう言うことだ?
「私……魔法使えません」
「そうか。だったらもういい下がれ」
なるほど、あれがシオンが落ちこぼれと言われる理由か……それにしてもら魔法が使えないってどう言うことだ? そんな事はあり得ない筈なんだが……。
そもそも、魔法って言うのは生まれた時から覚えているもんだ。
それが、使えないって事は魔力を持たない魔盲位なんだが……シオンからは魔力を感じる為魔盲では無い。なのに、使えないとなると……。
俺が思考を巡らせているとシオンがシュンとしながら俺の横に座った。
「…落ちたかも」
「かもな。でも、体術は良かったんだ希望はまだあるさ」
「…そうかな」
受かってもルビーだと思うけどな。
「これで全員だな。それじゃ採点をして明日、受付でもらったカードを確認しろ。受かった奴はクラスの色が浮かび上がる。じゃあ、解散」
「さーて、帰るかな」
「…ご飯…行こ?」
「お、いいねー! あ、ダメだ俺金ないや」
そうじゃん! 俺、一文無しじゃん。
「…こないだのお礼…ご馳走するよ」
「え? いいのか?」
シオンはこくんとうなづき俺の袖を引っ張る。
「うっま!! 何だこれ!? 何の肉だ?」
「…知らない方がいいよ」
「え? なにそれ、怖い」
何の肉かも分からない肉を食べ、お互いの合格を祈りその日は解散となった。
(ただいまー)
「おかえ……り? ボロボロじゃねーか。どした?」
俺は、星菜にヒールをかけながら聞く。
(これを取りに行ってたの)
星菜は、口に咥えていた小瓶を俺の前に置く。
「なんぞこれ」
(見切りの水だよ)
「何じゃそりゃ」
(この水を飲むと永続的に敵の攻撃が1~2秒間だけ遅く見えるんだよ。なかなか、手に入らなくてね現地調達してきた)
何ともまあ……俺なんかのためにそこまでしてくれるなんてな。最初に会ったのが星菜で良かった。
星菜は、余程疲れていたのか俺のふくらはぎを枕にして寝ていた。
「ありがとな」
星菜の頭を撫で見切りの水を一気に飲み干す。口全体に壮絶な苦味が広がりそのすぐ後に激痛が、体全体を襲い俺はその痛みに耐えきれず意識を手放した。
翌日
俺は、シオンと待ち合わせの約束をしていた場所へと向かった。勿論、結果を二人で見るためだ。
待ち合わせ場所に着くとまだ待ち合わせ20分前だと言うのにシオンの姿が見えた。
「おはよう早いな」
「…眠れなかった」
あ、本当だ少しクマできてる。
「よし、早速確認するか」
「…リン君から」
と、言われたのでカードを取り出し確認すると星型の紋章が浮かび上がっていた。
「…すごい…トップ合格」
「これがトップ合格のマークねぇ。まあ、いいや。ほい、次シオン」
シオンは震える手を抑えながらカードを確認した。
「…赤色…ルビーだ」
「やったじゃねーか!!」
シオンはカードを胸に抱きしめ涙を流しながらその場にへたり込む。
「…よかった…本当に…良かった」
俺は、シオンの前にしゃがみ込み「良かったな」っと呟きながら頭をポンポンっと叩く。
さて、あまり気は進まないがこのままじゃシオンがいじめの対象になる予感がするから教えるか……。
「シオン? 魔法……使いたいか?」
「…使いたいけど…無理だよ」
「無理じゃないさ。おそらく何かしらの影響で魔法を忘れてしまっただけだ。なら、一から作ればいい」
「…作る? …魔法を?」
「ああ。どこか、人気が無くて落ち着いて話できる場所ないか?」
シオンは少し考えた後なにかを思いついたような顔をしたが、すぐに頭を横に振り考えを無かったことにし、俺の方をチラッと見た後目を背ける。
「…私の…ゴニョゴニョ」
「え? なんだって?」
なんで顔赤いんだ? そんな、雰囲気一切出てなかったと思うが?
「…私の家…とか?」
「シオンがいいなら、別にいいぞ?」
シオンは手の甲で口を隠しながら頷く。
シオン宅
「…汚いけど」
「お邪魔します」
リビングにあった椅子に座るように言われたので座り、シオンの入れてくれた紅茶を啜りながら、シオンが座るのを待つ。
「…それで…本当に作れるの?」
「ああ、俺が教えてやる」
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