防御に全振りの異世界ゲーム

arice

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王国到着&出会い

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(へぇ、それで凛は妹さんの為にそのゲームに参加してるんだね)


「ああ、沙羅の為なら俺は命すら捧げる覚悟だ」


(ふふん、安心して私が死なせないよ)


「ありがたい事を言ってくれるぜ。俺も星菜を守るよ」


  などと、会話していると馬鹿でかい壁が見えてきた。


(あれが、この世界【イレイス】の中央に聳え立つ王国【エルス王国】だよ。)


  ほえぇ、デッケェな。どんくらいあるんだか。



「とりあえず、入り口探すか」



(それなら、こっちだよ)


  星菜は、俺の肩から飛び降りテチテチと歩いていく。
  飛び降りる際に落ちそうになって照れてたのはふつうに萌えた。



「む?  見ない格好だな……なぜ、エルスにきた?」


んーっと、なんて言えばいいかな。


(無難に学園に通いに来ましたとかで、いいんじゃない?)


たしかにそれが一番安全か。


「遠くの村から学園に通う為に来ました」


「……そんな話は聞いていないが……見た感じ悪い奴には見えないしいいだろう、特別に通してやる。                学園へはこの道をまっすぐ行けば着くだろう……では、健闘を祈る」


  門番の人はそれだけいい、屯所の中へと戻っていった。



「危なかったな」


(凛がいい人でよかったね)


  さて、学園を目指す前に一通り街を見て回るか。 どうせ、学園にいきなり行っても入れないしな。後、武器欲しいんだよな。



  流石に、攻撃方法が素手だけって言うのは不安だからな。俺が使える武器があるといいんだが……。


「星菜、武器屋何処にあるかわかるか?」


(んーっとね、あっちの方から鉄の匂いがするよ)


  俺は、星菜の指差した方向へと足を進めた。向かう途中に道具屋などがあったが生憎、手持ちがそこまで無いため諦めることにした。



カランコロン


「いらっしゃいませ!  何をお求めで?」


「少し、店内を見せてもらっていいか?」


「どうぞどうぞ、ご自由に!!」


「ありがとう」



  さてと、何があるかな。


  大剣……は重くて触れないだろうから却下。
  槍は有りだが、持ち運びが大変そうだからやめておこう。
  双剣かぁ、有りだな……ちょっと、待てよ?  金足りんのかな。



「ちょっと聞きたいんだが、この店で一番安い武器はどれだ?」



「そうですねー。これとかどうですか?  1500レイスでお買い得ですよー」


  店員が俺に差し出したのは何処にでもある普通の軍刀だった。


「なるほど、軍刀か…親父を思い出すな」


  軽いし、振りやすい……そして勇逸、俺が使える武器だしこれでいいか。


「いい品だな、買わせてもらう。ついでに、遠距離武器で1500レイス以内の物って無いか?」



「だったら、これですかねー。」


  ふむ、普通のハンドガンだな。


「今なら予備マガジンと弾、それにホルスターも合わせて1500レイスでいいですよー」


「おっと、随分太っ腹だな。決めた、ハンドガンと軍刀貰えるか?」


「ありがとうございまーす!」


  俺は、店員に金を渡しお礼を言い店を後にした。


「いやぁ、いい買い物したなぁ」


(軍刀の使い方なんて何処で覚えたの?)


「ん?  ああ、親父が軍隊にいてなこのご時世に軍刀を装備してたんだよ。
  それで、俺も影響されて軍刀の使い方を覚えたって感じだな。
  まあ、その親父も最後には銃で撃たれて死んだけどな」


  俺は、星菜の頭を撫でニコッと笑った後足を学園へと進めた。


  大通りに出た所で怒号が聞こえた為、人集りが出来ている場所に向かった。


「この落ちこぼれが!!  生意気な事言ってんじゃねぞ!」


「…ゴホゴホっ…私は…事実を言ったまで」



「それが、生意気だって言ってんだよ!」



  長身の男が、地面に座り込んでいた女を蹴り飛ばす。


「なぁ、なんで誰も助けないんだ?」


「馬鹿言うな。あの男はアランネス家の長男だ。
  貴族に逆らうと俺たちもどうなるかわかったもんじゃ無い。あの女の子は気の毒だが……」


「何も行動しない癖に同情だけしてんじゃねーぞ。退け!!」



  俺は、人集りを押しのけ男の前に立ちはだかる。


「なんだ?  お前、誰の前に立っている?」


「みてわかんだろ?  クソみたいな貴族の前だよ」


「ほぉ、俺を誰かと知っていてそんな口を聞くのか。名前は?」


「凛……リン・スカーライトだ」


  流石に向こうの名前じゃ変だからな名前変えておこう。


「そうか、スカーライトそこを退け。俺は今そこの落ちこぼれの教育で忙しいんだよ」


  俺は、横目で女の子の方を見た後男の方に向き直る。


「落ちこぼれかなんか知らないがこれはちと、やりすぎだよな?  教わらなかったのか?  女の子には優しくしろって。お前、モテないだろ?」


  俺は、軍刀を男に向けながら睨みつける。


「貴様……誰に刃を向けている!!!」



  男が、懐からナイフを取り出し切りかかってきた瞬間渋い声が聞こえた。


「ガルフ!  何をやっている!」


「お、お父様!?  いや、これは……」


「言い訳なんぞ聞いておらぬわ!  帰ったらたっぷり躾けてやる覚悟しておけ。貴様も、さっさと刃を納めぬか!」


  俺は、おっさんを睨みながら軍刀を鞘に納める。



「行くぞ、ガルフ」


  おっさんは、コートを翻し馬車へと乗り込む。それにガルフも続く。
  すれ違う時に「お前の顔覚えたからな」とか、言われたが気にしない。もう会う事も無いだろうし。


「ふぅ、さてと……大丈夫か?」


  俺は、女の子に手を差し出し引き起こす。


「…ありがとう…それより君…大変な事したね」


「大変な事?」


「…あの男は…ガルフ・アランネス。この辺で最も権力のあるアランネス家の長男よ。…そんな、男にたてついたらどうなるか。…見て見ぬ振りしてくれれば良かったのに…」


「ふーん、まあ何でもいいや。君が無事で良かったよ。」


  あ、目が痛いこれは来るな。


名前【シオン・アルベルト】

属性【闇】

年齢【18】


  今は、これくらいしかわからないか。


「…目痛いの?」


「ん?  ああ、大丈夫大丈夫」


  シオンも無事みたいだし学園を目指すとするか。


「んじゃな、気をつけて帰れよー」


  俺は、シオンに手を振り学園に向かった。


「…リン・スカーライト」


学園-校門前-


「さて、着いたわけだがどうしようか」


(ノープランなんだね)


「そりゃそうだ。んにゃ?なんか、書いてあんぞ」


……なるほどね。入試を受けないとダメなのね……試験は飛び入りOKで条件は特になし。日付は……明日!?  準備なんもしてねーけど……まあ、何とかなるか。


  俺は、明日の入試に備えて宿に泊まろうとしたが金が無かった為、路地裏で結界を貼り休む事にした。
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