防御に全振りの異世界ゲーム

arice

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日常は時に非日常へと切り替わる

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 あの日、俺の日常は音を立てて崩れた。


  事の始まりは一つのニュースからだった。


 三日前


「ここで、臨時ニュースです!  宇宙観測センターからの情報で三日後地球に隕石が降り注ぐとの事!  皆様!  安全な場所へ避難して下さい!」


「隕石ねぇ……また、なんかの番組のドッキリだろうな」


  俺は、そんな事を呟きながらテレビを消し、未だに熟睡している愛する妹の部屋へと向かう。


「ほら、沙羅。学校遅れるぞ」


「んー、起きるよぉ。うん、起きる起きる」


あー、これは二度寝のパターン……。少し心が痛むがしょうがない。


  俺は、沙羅の布団を引っぺがし沙羅を担いでリビングへと連れて行く。


「あ、そういや来週誕生日だよな?  何欲しい?」


「安眠」


「おっと、それは無理な話だな!  そうだなぁ、前行きたいって言ってた遊園地に連れて行ってやるよ」


「本当!?  やったぁ!」


  俺の家は、父親が小さい頃に他界し母も仕事で海外を飛び回っていて滅多に家に帰ってこない為、俺が沙羅の親役として生活している。


「っと、もうこんな時間か。沙羅、食器は片しとくから学校行きな」


「はーい!  行ってきまーす!」


  沙羅はランドセルを背負い手を振りながら家を後にした。


さて、俺も仕事の続きしないとな……。


  俺は、昔から興味のあったゲームなどのキャラを動かすモーションデザイナーという仕事をしている。
  家で仕事が出来る為、沙羅を一人にする心配も無いし稼ぎもそこそこ、何より外に出るのがめんどくさい俺にとっては天職と言った所だな。


プルルルル


  電話?  誰だこんな朝早くから。


  俺はテーブルに置いてあったスマホの画面を確認しため息をつきながら電話に出る。


「おはようございます。部長。どうしました?」


「やあ、おはよう凛君。急で申し訳ないんだが今作ってるモーション明日までに出来ないかな?」


「明日……ですか。まあ、ほぼ出来てるので行けるとは思いますよ」


「そう?  じゃあ、お願いね」プツッ



  部長は、それだけをいい電話を切る。



  はぁ、いきなりの納期変更は辞めてくれと言ったはずなんだがなぁ。まあ、いいかやるかぁ。


  モーションを作り沙羅の晩飯を作りそして、沙羅を寝かし一日が終わる。
 これが、俺の大体のスケジュールだな。



時は流れ三日後。


  俺は、馬鹿でかい轟音と共に目を覚ます。


「な、なんだ!?」


  布団を跳ね除け、窓の外を見るとそこに俺の知っている街はもう無く、辺りは焦土と化して居た。



「なん……だよ、これ」


  額に流れる汗を拭い、俺は沙羅の部屋へと急ぐ。



「お兄ちゃん…何?  今のでかい音」


「沙羅、そのままでいいかここから逃げるぞ!」


  沙羅は腰が抜けたようで、その場から動けないでいた。


「掴まれ!」


  俺は、沙羅を背中に背負い靴を履き外へと飛び出す。


  ドアを開けると、人が焼ける匂いが鼻を通り抜け吐きそうになるが何とか堪え、階段を駆け下りる。


「どうなってんだ!  くそ!」


「お兄ちゃん……怖い……怖いよ……」


「安心しろ。何があってもお前だけは守ってやるから!」


  頭上に熱を感じ上を向くと、メラメラと燃え上がった隕石が、俺たちの頭上を覆って居た。


(神さま……いるのならお願いです。
  俺はどうなってもいいから、沙羅だけは守ってください!)


  俺は、死を覚悟し沙羅を庇うように抱きしめ目を閉じる……が、衝撃が一向に襲って来ず、恐る恐る目を開けると、今まで感じて居た匂い、叫び声、熱などか無くなり周りを見渡すと時間が止まっていた。



「は?  なんだこれ……」


  俺が周りをキョロキョロしていると俺の前に淡い光と共に、純白の羽を持ち頭の上に光の輪っかがついている、所謂、天使って奴が現れた。


「おめでとう!  涼宮  凛くん。君は、異世界ゲームへの挑戦権を得たよ!」



これが、俺の非日常の始まりとなった。
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