王立魔法図書館

『596年 白鳥の月 24日 晴れ』

　596年 白鳥の月 24日 晴れ

　今日は久しぶりに愛する娘にあった。約一年ぶりだった。ボケも酷くなって娘のことを忘れそうで怖い。しかしまだしっかりとこの目に娘の姿は焼き付いている。

忘れないように今日した会話を記しておこう。

　私が「久しぶりミーナ、お父さんだよ」

　というと、ミーナはきょとんとしていた。

　しかし、ミーナは前あった時とだいぶ変わっていた。

　「ミーナ、黒髪じゃなかったか？」

　「私はずっと金髪でしたよ」

　「そうか、髪色が変わったのか。もっと目は大きくなかったか？」

　「違うはもともとからこのくらいだったんだけど？」

　「そうか、変わったのかな。太ってしまって……」

　「そうですか？失礼ですね！」

　「変わってしまっているな……口元変わった感じがする」

　「髭のこと？伸ばしているんだ」

　「変わってしまったな」

　「だいぶ男っぽくなったな」

　「いやいや、男ですよ」
　
　「性別も変わってしまったか。今の技術なら容易いだろう……」

　「そもそもミーナって名前じゃないですよ！？」

　「名前も変わってしまったか」

　「別人じゃないですか？私あなたなんて知りませんよ？」

　「人が変わってしまったか」



　──『ドルスの日記』　596年 白鳥の月 24日 晴れ