未来の悪役令嬢

えりんこ

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第3章 嵐の中で令嬢たちは優雅に微笑む

冷静と情熱の間は何がある?

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台風一過・・とはいかないようです アンジェリーナです

学園での噂話はえらい事になっているみたいですのね いい迷惑ですわ
「アンジー様 ルイーズあの方言葉が通じないんですが 私、どう接してよいのか分りませんわ」
ブリジットが頭を抱えてアンジーたちに泣きついた。代表委員というだけで 
彼女の世話役をさせられているらしい

話をまともに聞かないルイーズ 尊大すぎる態度の彼女の世話役とは大変な役目を押し付けられたものだ
(困ったものだわ)
アンジェリーナも人知れず溜息をついた。
(私が何を言っても駄目でしょうし)
アンネッタもクリスティアーネも心労が激しい親友に掛ける言葉が見つからない

「私、アリアーヌ様からルイーズさん虐められているとの噂を聞きましたが本当なんですか?」
今まで黙っていた マリエッタが口を開いた。
「私も聞きましたわ」
「高等部ではかなりの方が知らない振りだそうですわ」
 知らない振り? 一体如何いうことなんだろう? 
「知らない振りとは?」

「高等部の先輩方からお聞きしましたのはすでにとしてと言う扱いらしいですわ」
すでにいない存在・・・・何か怖いですわね 
「アリアーヌ様の取り巻きの方は動いているらしいですの」
「???」 
「あの方達が虐めをしていてもなので誰も手も口も出さないそうですわ」

存在しないから虐めていても助けてあげませんのね・・・・どうしましょう?
「私がアリアーヌ様にお話しても無駄でしょうか?」アンジェリーナはこう言う所が御人好しなのだ
あれだけルイーズに暴言を吐かれているのに助けようとしている。

友人達もどう動けばいいか考えあぐねている。その時、サミュエルが口を開いた
「それこそクレールは何やってんだよ 全部、あいつ絡みじゃないか。虐めをしている侯爵令嬢はあいつの婚約者だし あの 頭のいかれた男爵令嬢はクレールに言い寄ってキスまでしたって話じゃないか。あいつを引きずり出した方が早いだろう?」 
まったくその通りですわね。

「じゃあ 私がクレール先輩に言いましょうか?」
「アンジーもいても良いけど俺が言う」
サミュエルはキッパリと言った。
「権力を使うのは好きじゃないが 王族絡みの方が話し早そうだ」
アンジェリーナも頷いた。「じゃあ 今日の放課後 お願いしますわ サミュエル」
「「「お願いいたします」」」一番、被害を受けているブリジットが切実な顔をして頭を下げた。


****************

放課後 サミュエルはクレールを捕まえると「お前、この騒ぎどうするんだ?」と単刀直入に聞いた
「この騒ぎ・・・とは?」この発言にサミュエルは元よりアンジェリーナ、マリエッタも驚いた。
「何言ってるんだ?お前の婚約者があのルイーズって男爵令嬢虐めている件だよ お前、あの娘に言い寄られてちゃっかりその気にさせたみたいだな? どう決着させる気なんだ?」

クレールは涼しい顔で「私は何もしませんよ?女性の世界に男が口出してもね しょうがないでしょう?」
この言葉に其処にいた自治会の役員は言葉を失った。
「クレール先輩 あんまりですわ。私まで巻き込まれておりますのよ?」
「ああ、アンジーにまで迷惑を掛けてすまない。しかしアリアーヌのする事に一々、気を配る気なんてないんでね」 この方は何処まで本気で言っているのだろう?呆れ返る

「私もかなり迷惑をしているのだが?それでも動かないつもりか?」
流石のアルフレッドも口を挟む
「それは悪かった。しかし アリアーヌは私の言う事など聞く女じゃないよ?分るだろう?」
「だったら あの男爵令嬢と話をつけて来い!頭を下げさせろ!! こんなトラブルはもう沢山だ もう暫くするとベアトリーチェ姉上の婚儀が行われる 学園のゴタゴタを父上の耳に入れたくは無い わかったな!!」

サミュエル殿下の言葉により渋々クレールは頷いた
「他所でやるとね またいらぬトラブルを招きそうだから 生徒自治会室で両名を呼んで仲裁するよ これ以上アンジェに心痛を与えたくないからね」

アルフレッドはこの際、もう一度自分達にもルイーズが関わらないようにするつもりでいた。
これ以上 つまらない事に時間を取られるのは真っ平御免だったからだ。 
未来の宰相としてやらなきゃいけないことは山程ある。
今はサミュエル殿下と一緒に行動する事が多いが将来的には、王太子になるエティエンヌ殿下の元で
支えていかなければならない立場なのだから。

アンジェリーナの卒業と同時に婚姻するのは確定済みなのだから・・・
少しでも早く自分の立場をより明確にしなくてはいけないのだ。
何時でも冷静沈着に見える貴公子は無駄が無かった。

「アル、お前 かなり打算的に動いていないか?」
幼馴染にはばれているらしい
「何の事かな?災いは少しでも早く芽を摘まなきゃ駄目でしょう?」
アルフレッドの黒さが見えた役員達だった

「お兄様はアンジーが絡むとかなり情熱的ですわね」
マリーがホオオッと口に出す
「なあ 何処が情熱的だか分ったか?」小声でヨーランが呟く
「いやあ、無理でしょ?流石に・・・・」アルゼンマも首を傾げる 
「身内じゃないと分らんな」
ユーリアも呆れ声で囁く アンジェリーナが絡むと冷静に見えるアルレッドが情熱的に為る
分ったような分らないような三人だった。

「アル様 有難うございます。只でさえ、生徒自治会の仕事が多いのに これ以上神経が持たないところでしたわ
それにブリジェットもやつれていくのが辛くって。サミュエル殿下も有難うございます。私じゃこんなに早くお話は進みませんでしたわ アリアーヌ様もルイーズさんもお話し合いで良い方向に行けば宜しいのですが」

「そういえばアンジー アリアーヌ様と幼少の頃にお会いしていらっしゃるのよね?」
マリーが何気なく聞いた事でアンジェリーナは硬直した
「ええ、まあ その 小さい頃なのよ?」言葉を濁しながら頷く 
「今とお変わりなくて?」
マリーにしてみればほんの好奇心の何者でも無い話だろう 
皆、何故か此方を伺って聞いている

「そうですわね 少しもお変わりございませんわ。あのまま大きくなられたようですわ」
「あの性格の子供時代って・・・・」思わずアルゼンマが口に出す
「私が5歳位でしたわ お爺様に連れられてクラルティ領に行きましたの そこでお会いしましたわ」
「あの選民意識のままだったのかい?」
「はい・・・位の同等か各上の方には宜しいのですが下級貴族のご子息や
ご令嬢には子供とは思えない態度で使用人にたいしては扱いなさっておりましたわ。最初、私も酷い言葉を投げかけられましたがエトワールの人間と知ったとたん掌を返すようになられまして・・・・」

これ以上は言いたくは無かった 苦手でも影口は言いたくなかった
「まったくその通りですよ 昔から人間の性根や本質は変わらないのですよ」
クレールが口を挟んだ
「だから私は必要以上にアリアーヌとは関わりあいたくは無いのです。
家同士の付き合いで政略的な婚約を致しましたが彼女とは分かり合える事は無いのです。
どうして私に付き纏うのか不思議でしょうがありません。
他の女性に目が行ってしまうのはしょうがない事だと思っております」

((((いや、それはそれ これはこれ だろう!!!)))心の中で皆して突っ込みをいれた
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