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34. 時は来た①
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トーマスは湖のそばで一人でブツブツ、いや、結構大きな声で話していた。目の前にはアイルとミランダが座っている。
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
一人で何をしているかというとサラへの愛の告白をする練習をしていた。ついこの前やっと初めて二人でお茶をしたばかりだったが、トーマスからしたら大きな一歩。もう勢いのままに告白をしてしまおうというわけだった。アイルとミランダはその様子を微笑ましげに……顔を俯かせて身体を震わせていた。
「ねえ、アイル。うまくいくと思う?」
「運が良ければってところじゃないか?」
失敗する気がする……と主人に対して失礼なことを思っている二人だった。
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
練習する姿を二人はあんなに小さかった坊っちゃんが愛する人を見つけたことを素直に喜んでいた。ここまで育て上げられたことに安堵していた。そう喜びだ……しかし、彼らの心にはもう一つの感情もあった。それは……怒り。
何もできない自分に対する怒り、この世の非情に対する怒り。喜びーーー怒り……よくわからないが心から湧き上がる思いが彼らの身体を震わせていた。
~~~~~
サッサッ……サッサッ……
3人が湖のそばにいる頃、ヒルデは屋敷内の掃除をしていた。4人しかいないのに無駄に広く、ほとんど使っていない部屋ばかりである。が、使用していない部屋にもそれなりに埃が積もっているもので掃除のしがいがある。
魔術でさっとやってしまえば一瞬で終わってしまうものだが、ヒルデは魔術で済ますのがあまり好きではなかった。ほとんどの人が魔力がなく、ヒルデのように膨大な魔力を持つものは現在と過去を合わせても世界に数える程度しかいない。この世界では基本的に何をするにも魔力は使わない。なので、ヒルデも自らの手で色々なことをするようにしている。まあ、本人はそう思っているものの実際はかなりの頻度で魔術を使っているが。
サッサッ……
サッサッ……サッサッ……
サッサッ……サッサッ……サッサッ……
サッサッ……………………リズムよく聞こえていた箒で掃く音が消えた。
そして、ヒルデの姿も室内から消えた。
~~~~~
場所は戻り、湖にて
「ギャ~~~ッ!!!ギャ~~~ッ!!!なんだっ!?なんなんだよっ!?離せ!!!」
トーマスが湖から伸びた何本もの青白い腕に湖に引き込まれそうになっていた。足は湖の中、上半身は湖から出ている状態だった。そして、トーマスの腕を引っ張るミランダ、ミランダにしがみつくアイルがいた。
なぜこんなことになっているのか……遡ることほんの少し前のこと、
「よし!これだけ練習したんだ。今度こそ告白できるだろ」
何度も何度も告白の練習をして自信がついたトーマス。おっ、今から言いに行っちゃうのか?と思ったミランダとアイル。
「では、行ってらっしゃいませ」
「えっ?」
「今から行くのでは?」
「いや、いきなりは無理だろ」
なんのための練習だったんだよ……と思ってしまう。
「ところで、ミランダとアイル。お前たち……全然仕事してなくないか……?今までずっと一緒にいたよな」
「「何を今更~~~」」
ケラケラと笑っている二人にハーとため息をつくと、湖に背を向けて歩き出した。いや、歩き出そうとしたができなかった。
「「坊ちゃま(ん)!!!」」
ミランダとアイルから悲鳴のような声で名前を呼ばれたトーマスは自分の体にいくつもの手が絡まっていることに気づいた。
その瞬間…………湖に引きずり込まれた。
……半分。
ミランダがトーマスの右腕を掴み、そのミランダの体にアイルがしがみつくという状況ができあがったのである。
いつもの怠けぶりが嘘のよう、いや、そもそも年齢を考えたらあり得ないほどの反射神経の良さ、腕力でなんとかトーマスが湖に引きずり込まれるのを防いでいるものの、状況は非常に最悪であった。
少しずつ少しずつ上半身も湖に浸かっていく。自分の力ではどうしようもない。トーマスはミランダの足が湖の縁ギリギリにまできていることに気づいた。
「…ッ!…………!?もういいっ!離せっ!!!お前たちまで引きずり込まれるぞっ!!!」
二人に向かって叫ぶトーマス。何が何やらよくわからないが親代わりの二人を巻き込むわけにはいかない。
「「嫌ですっ!」」
二人はこうなることを知っていた。いつかこんな日が来ることはわかっていた。でも防ぎたかった。この手を断ち切ってくれるものをトーマスの父が探しだすのを夢見ていた。しかし、叶わぬ夢だった。彼は戻ってこなかった。自分たちにできることは主人のそばにいること、そして、今この手を離さないこと…それだけだった。
今までこれを断ち切るためにできることは自分たちにはなかった。でも、今は手を掴み引きずり込まないようにできている。彼らは絶対に手を離すつもりはなかった。例え、自分たちも一緒に引きずり込まれても。……いや、むしろ共に引きずり込まれることを望んでいた。何もできないくらいなら、自分たちもろとも連れていけ……と。
トーマスは更に焦った。二人を道連れにするわけにはいけない。誰か……誰か……!と焦る中……。
……なんだ?頭の中に声がする。
『……許さない。あいつも……あいつの子孫も許さない。なぜ、私を裏切った!……ここは暗い……寂しい…………。……来い……お前たちも来い!!!』
なんだ、この声は……?激しい憎悪、悲しみ、負の感情が渦巻いている。正常に頭が働かない……。湖に行かなくては……。湖の底にあの人がいる……。行かねば……。二人はトーマスの目に光がなくなったのに気づいた。まるで人形のようだ。トーマス自身の抗おうとする力がなくなり、更に強く湖に引っ張られる。
もう無理だ……。非常に長い時間こうしていた気がするが実際に過ぎた時間はほんの数分いや、数秒かもしれない。手を離すことはできない……一緒に行こう。ミランダとアイルの視線が交錯した。二人の心は決まっていた。
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
一人で何をしているかというとサラへの愛の告白をする練習をしていた。ついこの前やっと初めて二人でお茶をしたばかりだったが、トーマスからしたら大きな一歩。もう勢いのままに告白をしてしまおうというわけだった。アイルとミランダはその様子を微笑ましげに……顔を俯かせて身体を震わせていた。
「ねえ、アイル。うまくいくと思う?」
「運が良ければってところじゃないか?」
失敗する気がする……と主人に対して失礼なことを思っている二人だった。
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
「サラさん!好きだ!付き合ってください!」
練習する姿を二人はあんなに小さかった坊っちゃんが愛する人を見つけたことを素直に喜んでいた。ここまで育て上げられたことに安堵していた。そう喜びだ……しかし、彼らの心にはもう一つの感情もあった。それは……怒り。
何もできない自分に対する怒り、この世の非情に対する怒り。喜びーーー怒り……よくわからないが心から湧き上がる思いが彼らの身体を震わせていた。
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サッサッ……サッサッ……
3人が湖のそばにいる頃、ヒルデは屋敷内の掃除をしていた。4人しかいないのに無駄に広く、ほとんど使っていない部屋ばかりである。が、使用していない部屋にもそれなりに埃が積もっているもので掃除のしがいがある。
魔術でさっとやってしまえば一瞬で終わってしまうものだが、ヒルデは魔術で済ますのがあまり好きではなかった。ほとんどの人が魔力がなく、ヒルデのように膨大な魔力を持つものは現在と過去を合わせても世界に数える程度しかいない。この世界では基本的に何をするにも魔力は使わない。なので、ヒルデも自らの手で色々なことをするようにしている。まあ、本人はそう思っているものの実際はかなりの頻度で魔術を使っているが。
サッサッ……
サッサッ……サッサッ……
サッサッ……サッサッ……サッサッ……
サッサッ……………………リズムよく聞こえていた箒で掃く音が消えた。
そして、ヒルデの姿も室内から消えた。
~~~~~
場所は戻り、湖にて
「ギャ~~~ッ!!!ギャ~~~ッ!!!なんだっ!?なんなんだよっ!?離せ!!!」
トーマスが湖から伸びた何本もの青白い腕に湖に引き込まれそうになっていた。足は湖の中、上半身は湖から出ている状態だった。そして、トーマスの腕を引っ張るミランダ、ミランダにしがみつくアイルがいた。
なぜこんなことになっているのか……遡ることほんの少し前のこと、
「よし!これだけ練習したんだ。今度こそ告白できるだろ」
何度も何度も告白の練習をして自信がついたトーマス。おっ、今から言いに行っちゃうのか?と思ったミランダとアイル。
「では、行ってらっしゃいませ」
「えっ?」
「今から行くのでは?」
「いや、いきなりは無理だろ」
なんのための練習だったんだよ……と思ってしまう。
「ところで、ミランダとアイル。お前たち……全然仕事してなくないか……?今までずっと一緒にいたよな」
「「何を今更~~~」」
ケラケラと笑っている二人にハーとため息をつくと、湖に背を向けて歩き出した。いや、歩き出そうとしたができなかった。
「「坊ちゃま(ん)!!!」」
ミランダとアイルから悲鳴のような声で名前を呼ばれたトーマスは自分の体にいくつもの手が絡まっていることに気づいた。
その瞬間…………湖に引きずり込まれた。
……半分。
ミランダがトーマスの右腕を掴み、そのミランダの体にアイルがしがみつくという状況ができあがったのである。
いつもの怠けぶりが嘘のよう、いや、そもそも年齢を考えたらあり得ないほどの反射神経の良さ、腕力でなんとかトーマスが湖に引きずり込まれるのを防いでいるものの、状況は非常に最悪であった。
少しずつ少しずつ上半身も湖に浸かっていく。自分の力ではどうしようもない。トーマスはミランダの足が湖の縁ギリギリにまできていることに気づいた。
「…ッ!…………!?もういいっ!離せっ!!!お前たちまで引きずり込まれるぞっ!!!」
二人に向かって叫ぶトーマス。何が何やらよくわからないが親代わりの二人を巻き込むわけにはいかない。
「「嫌ですっ!」」
二人はこうなることを知っていた。いつかこんな日が来ることはわかっていた。でも防ぎたかった。この手を断ち切ってくれるものをトーマスの父が探しだすのを夢見ていた。しかし、叶わぬ夢だった。彼は戻ってこなかった。自分たちにできることは主人のそばにいること、そして、今この手を離さないこと…それだけだった。
今までこれを断ち切るためにできることは自分たちにはなかった。でも、今は手を掴み引きずり込まないようにできている。彼らは絶対に手を離すつもりはなかった。例え、自分たちも一緒に引きずり込まれても。……いや、むしろ共に引きずり込まれることを望んでいた。何もできないくらいなら、自分たちもろとも連れていけ……と。
トーマスは更に焦った。二人を道連れにするわけにはいけない。誰か……誰か……!と焦る中……。
……なんだ?頭の中に声がする。
『……許さない。あいつも……あいつの子孫も許さない。なぜ、私を裏切った!……ここは暗い……寂しい…………。……来い……お前たちも来い!!!』
なんだ、この声は……?激しい憎悪、悲しみ、負の感情が渦巻いている。正常に頭が働かない……。湖に行かなくては……。湖の底にあの人がいる……。行かねば……。二人はトーマスの目に光がなくなったのに気づいた。まるで人形のようだ。トーマス自身の抗おうとする力がなくなり、更に強く湖に引っ張られる。
もう無理だ……。非常に長い時間こうしていた気がするが実際に過ぎた時間はほんの数分いや、数秒かもしれない。手を離すことはできない……一緒に行こう。ミランダとアイルの視線が交錯した。二人の心は決まっていた。
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