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110.かくれんぼ
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ラルフとオリビアが公爵と伯爵の元に突撃してから数日後。子供たちから様子が変だと言われていたアリスは庭園にいた。
ラルフとオリビアの誕生から5年。アリスの美貌は衰えること無く少女から大人の魅力溢れる女性になった。
彼女は王宮の庭園で白磁の如く白く長いお御足を組んで真っ白な椅子に腰がけている。その様はまるで世界最高の腕を持つ絵師が手掛けた最高傑作の絵画のよう。
そう彼女は――――
瞬きもせず
微動だにせず
――――座っていた。
「アリス!聞いているの!?」
女性の大きめの声にゆったりと瞬きをしたアリスは目の前の声の主である女性に向かって微笑んだ。
「ええ、もちろんです王妃様」
大声の主はダイラス国王妃センジュであった。その眉間には皺が…………。伸ばした方が良いかしらと思うものの、やめておいたアリス。
「目を開けたまま寝ていたでしょう?」
「まあ!王妃様相手に誰がそんな無礼なことをしたのですか?」
「あなたでしょう?」
「まさか!王妃様の眠たくなる長ーい愚痴を聞いたからといって寝ることなど致しません!」
「あなたが私の話しをどう思っているのかよくわかったわ」
「あらま、本当に寝ておりませんわよ。王妃様のお話しを聞きながらあああのときあの女に泥棒猫、あああのときあの大臣にヒゲ抜けろ、あああのとき陛下に女好きがもげてしまえと思っていたのね、と思い返していただけですわ」
「そこまでは言っていないわ」
アリスのとても爽やかな笑みつきで放たれた言葉を即座に否定する。
が、
……いやまあ、言っていたかもしれない。アリスは告げ口をしないからついつい本音を話してしまう。
それに――――――
「あなたは色々と情報をうまく活用するからつい……ね」
小声で囁いた後、軽く首を傾げふわりと穏やかに微笑む王妃。アリスは王妃にとって邪魔な人間をうまく処理してくれる。
たま~~~~~~~~にだが。
アリスは王妃の言葉に見事な腹黒さだとニンマリ笑った後彼女から視線を逸らすと、優しい眼差しを彼女たちに向かって来る者たちに向けた。
「「お母様ー!」」
アリスの視線の先からラルフとオリビアが駆けてくる。母親譲りの美貌をもつ彼らが駆け寄ってくる様は非常に愛くるしい。見ている者の顔がだら~んと緩む。
二人はアリスの足に抱きついた後顔を上げるとニッコリと笑った。
その2つの顔はよく似ているがラルフの方が少し目が切れ長で、オリビアの目の方がくりっと丸みを帯びている。アリスはラルフの銀色の短髪とオリビアの背中を流れる真っすぐ伸びた金色の髪の毛を優しく撫でる。
「あら、私には?」
「「王妃様、ご機嫌よう」」
二人はアリスから離れ羨ましげな様子の王妃に抱きついた。嬉しそうな表情を浮かべる王妃。アリスはその様子を見ながら口を開いた。
「何をしているの?時間があるなら一緒にお茶でもいかが?」
「「しなーーい。お母様とはまた今度遊んであげる!」」
「あら、ふられちゃったわね」
コロコロと愉しげに笑う王妃を恨めしげに見た後再び言葉を紡ぐアリス。
「おほほほ、お気遣いありがとう。二人は忙しいみたいね?」
「今ね、お父様と遊んでいるの」
「ブランクに子供の人気を奪われるなんてあなたもまだまだね」
オリビアの言葉に愉快愉快とニヤニヤする王妃を軽く睨みつけた後、アリスの口角がニヤリと上がる。
「父親に懐くのは良いことですわ。
面倒も押し付けられますし……」
ぼそっと最後に呟かれた言葉に憐れブランクと思う王妃。
「お父様と何をして遊んでいるの?」
母の問いかけに二人はお互いの顔を見合わせた後、ニカッと笑うと明るく答えた
「「かくれんぼ!」」
と。
庭園を元気よく走り去っていくラルフとオリビアを見送る王妃とアリス。その背中が見えなくなったとき再び王妃の口が開き
――――聞いたものが眠たくなる愚痴が再び始まった。
そして
――――再びアリスは微動だにしなくなった。
~ 数十分後 ~
庭園にはまだ王妃とアリスの姿があった。
そこに再び人が現れた。
「ご機嫌よう王妃様、アリス」
「ご機嫌ようブランク」
二人の前に姿を現したのはアリスの夫ブランクだった。
「あら子供たちはどうしたの?一緒に遊んでいるのでしょう?まだかくれんぼ中なの?」
「はい、王妃様。子供たちが隠れているのですが、どこにいるのか見つからず困っております。侍女たちにも手伝ってもらっているのですが……。どこにいるかご存知ありませんか?」
ブランクの言葉に王妃の顔が曇る。双子が去ってから結構な時間が経っている。王宮が広いとはいえまだ見つからないなんて何かあったのでは?
「もっと多くの者に探させましょう」
近くにいた侍女長が目配せを受け動こうとしたがアリスの言葉に足が止まった。
「ブランク様、まだ王宮にいたのですか?」
?????
その場にいた者が皆頭に疑問符を浮かべた。
うん?
「なんのことかな?今日は特に王宮の外に出る予定はなかったはずだよ?」
だからこそ子供たちと遊んでいるのだ。
「いえ、そうではなく。かくれんぼしているのですよね?」
「そうだよ」
「子供たちを見つけなければならないのですよね?」
「そうだよ」
「では早く王宮の外に行かねば」
「うん?」
「うん?」
こいつは何を言っているんだとお互いをまじまじと見るアリスとブランク。
「かくれんぼ中に王宮の外に行くのはおかしくないかい?」
「子供たちが王宮の外に隠れているのに行かないのはおかしくないですか?」
?????
「それは……子供たちは外にいるということかしら?」
思考が追いつかず言葉が出てこないブランクに代わり王妃が尋ねる。
「ええ、随分前に外に出たようですよ」
「なんで言わないの!?」 by王妃
「なんで言わないんだ!?」 byブランク
「あらまあ仲の宜しいこと」
二人に怒鳴られても平然とした様子のアリス。
「というかなぜ外に……」
「ちゃんと王宮内に隠れるように言ったの?」
「いや、言っていない。でも普通王宮の外に出ないだろう!?」
「ちゃんとルールを決めなかったことを子供たちのせいにして……あなた、め!ですよ。あの子達は少々変わっているのですから。それにあの子達にとって王宮を抜け出すなど朝飯前ですからね」
「ええ……そんな……まあ確かに。は!アリスと話している場合じゃない!子供たちに何かあったら……!」
青褪めていくブランク。
「大丈夫よ。私があげたお守りを持っているし、エリアスもついているから」
エリアスというのは双子につけられた護衛である。ダイラス国出身の者だがここ数年アリス、侍女のイリス、護衛であるフランクにとてつもなく鍛えられ双子の護衛に任じられた才能あふれる若者である。
「とりあえず行かねば!では」
さっと頭を下げると駆け出していくブランク。
「アリス、あなたどこにいるか知っているんでしょう?」
咎めるような棘のある王妃の声に軽く笑むと、手のひらにそっと息を吹きかけるアリス。
アリスの吐息により姿を現した蝶はブランクのもとにヒラヒラと飛んでいきあっという間にブランクに追いついた。気づいたブランクは後ろを振り返ると
「ありがとうアリス!」
と叫んで蝶の後を追いかけ始めた。
「ふふっ。可愛い我が子達と――――の元へ夫を連れて行っておくれ」
アリスの言葉に僅かに目を見開く王妃。
「今あなた……なんて……?」
王妃の問いには答えず嫣然と微笑むアリスは
とても美しく
妖しかった。
ラルフとオリビアの誕生から5年。アリスの美貌は衰えること無く少女から大人の魅力溢れる女性になった。
彼女は王宮の庭園で白磁の如く白く長いお御足を組んで真っ白な椅子に腰がけている。その様はまるで世界最高の腕を持つ絵師が手掛けた最高傑作の絵画のよう。
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「あらま、本当に寝ておりませんわよ。王妃様のお話しを聞きながらあああのときあの女に泥棒猫、あああのときあの大臣にヒゲ抜けろ、あああのとき陛下に女好きがもげてしまえと思っていたのね、と思い返していただけですわ」
「そこまでは言っていないわ」
アリスのとても爽やかな笑みつきで放たれた言葉を即座に否定する。
が、
……いやまあ、言っていたかもしれない。アリスは告げ口をしないからついつい本音を話してしまう。
それに――――――
「あなたは色々と情報をうまく活用するからつい……ね」
小声で囁いた後、軽く首を傾げふわりと穏やかに微笑む王妃。アリスは王妃にとって邪魔な人間をうまく処理してくれる。
たま~~~~~~~~にだが。
アリスは王妃の言葉に見事な腹黒さだとニンマリ笑った後彼女から視線を逸らすと、優しい眼差しを彼女たちに向かって来る者たちに向けた。
「「お母様ー!」」
アリスの視線の先からラルフとオリビアが駆けてくる。母親譲りの美貌をもつ彼らが駆け寄ってくる様は非常に愛くるしい。見ている者の顔がだら~んと緩む。
二人はアリスの足に抱きついた後顔を上げるとニッコリと笑った。
その2つの顔はよく似ているがラルフの方が少し目が切れ長で、オリビアの目の方がくりっと丸みを帯びている。アリスはラルフの銀色の短髪とオリビアの背中を流れる真っすぐ伸びた金色の髪の毛を優しく撫でる。
「あら、私には?」
「「王妃様、ご機嫌よう」」
二人はアリスから離れ羨ましげな様子の王妃に抱きついた。嬉しそうな表情を浮かべる王妃。アリスはその様子を見ながら口を開いた。
「何をしているの?時間があるなら一緒にお茶でもいかが?」
「「しなーーい。お母様とはまた今度遊んであげる!」」
「あら、ふられちゃったわね」
コロコロと愉しげに笑う王妃を恨めしげに見た後再び言葉を紡ぐアリス。
「おほほほ、お気遣いありがとう。二人は忙しいみたいね?」
「今ね、お父様と遊んでいるの」
「ブランクに子供の人気を奪われるなんてあなたもまだまだね」
オリビアの言葉に愉快愉快とニヤニヤする王妃を軽く睨みつけた後、アリスの口角がニヤリと上がる。
「父親に懐くのは良いことですわ。
面倒も押し付けられますし……」
ぼそっと最後に呟かれた言葉に憐れブランクと思う王妃。
「お父様と何をして遊んでいるの?」
母の問いかけに二人はお互いの顔を見合わせた後、ニカッと笑うと明るく答えた
「「かくれんぼ!」」
と。
庭園を元気よく走り去っていくラルフとオリビアを見送る王妃とアリス。その背中が見えなくなったとき再び王妃の口が開き
――――聞いたものが眠たくなる愚痴が再び始まった。
そして
――――再びアリスは微動だにしなくなった。
~ 数十分後 ~
庭園にはまだ王妃とアリスの姿があった。
そこに再び人が現れた。
「ご機嫌よう王妃様、アリス」
「ご機嫌ようブランク」
二人の前に姿を現したのはアリスの夫ブランクだった。
「あら子供たちはどうしたの?一緒に遊んでいるのでしょう?まだかくれんぼ中なの?」
「はい、王妃様。子供たちが隠れているのですが、どこにいるのか見つからず困っております。侍女たちにも手伝ってもらっているのですが……。どこにいるかご存知ありませんか?」
ブランクの言葉に王妃の顔が曇る。双子が去ってから結構な時間が経っている。王宮が広いとはいえまだ見つからないなんて何かあったのでは?
「もっと多くの者に探させましょう」
近くにいた侍女長が目配せを受け動こうとしたがアリスの言葉に足が止まった。
「ブランク様、まだ王宮にいたのですか?」
?????
その場にいた者が皆頭に疑問符を浮かべた。
うん?
「なんのことかな?今日は特に王宮の外に出る予定はなかったはずだよ?」
だからこそ子供たちと遊んでいるのだ。
「いえ、そうではなく。かくれんぼしているのですよね?」
「そうだよ」
「子供たちを見つけなければならないのですよね?」
「そうだよ」
「では早く王宮の外に行かねば」
「うん?」
「うん?」
こいつは何を言っているんだとお互いをまじまじと見るアリスとブランク。
「かくれんぼ中に王宮の外に行くのはおかしくないかい?」
「子供たちが王宮の外に隠れているのに行かないのはおかしくないですか?」
?????
「それは……子供たちは外にいるということかしら?」
思考が追いつかず言葉が出てこないブランクに代わり王妃が尋ねる。
「ええ、随分前に外に出たようですよ」
「なんで言わないの!?」 by王妃
「なんで言わないんだ!?」 byブランク
「あらまあ仲の宜しいこと」
二人に怒鳴られても平然とした様子のアリス。
「というかなぜ外に……」
「ちゃんと王宮内に隠れるように言ったの?」
「いや、言っていない。でも普通王宮の外に出ないだろう!?」
「ちゃんとルールを決めなかったことを子供たちのせいにして……あなた、め!ですよ。あの子達は少々変わっているのですから。それにあの子達にとって王宮を抜け出すなど朝飯前ですからね」
「ええ……そんな……まあ確かに。は!アリスと話している場合じゃない!子供たちに何かあったら……!」
青褪めていくブランク。
「大丈夫よ。私があげたお守りを持っているし、エリアスもついているから」
エリアスというのは双子につけられた護衛である。ダイラス国出身の者だがここ数年アリス、侍女のイリス、護衛であるフランクにとてつもなく鍛えられ双子の護衛に任じられた才能あふれる若者である。
「とりあえず行かねば!では」
さっと頭を下げると駆け出していくブランク。
「アリス、あなたどこにいるか知っているんでしょう?」
咎めるような棘のある王妃の声に軽く笑むと、手のひらにそっと息を吹きかけるアリス。
アリスの吐息により姿を現した蝶はブランクのもとにヒラヒラと飛んでいきあっという間にブランクに追いついた。気づいたブランクは後ろを振り返ると
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と叫んで蝶の後を追いかけ始めた。
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