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91. 離縁?
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魂が抜けたように座り込んだルビーを置いて部屋を出たアリスとルカ。
「君……怖いね。ていうかめちゃくちゃしゃべるね。気にならないとかどうでも良いとか言ってたけど、めっちゃ鬱憤溜まってたでしょ?」
引きつりつつ言うルカにアリスは視線を向ける。
「傷ついたり心に響く言葉ではなくとも、うざいものはうざいですからね。ずっとキーキー騒がれたら迷惑だなー静かにして欲しいなーくらいは私だって人間ですから思いますよ」
否定しないってことは、結構溜まってたんだな、と思いつつ歩き出したアリスを追う。ルカが横に並んだのをチラリと見たアリスが口を開く。
「ルカ義兄様はあれだけで良かったのですか?」
「あれだけって……。結構キツイこと言ったし、しゃべったと思うけど」
「そうですか?私とは比べ物にならないほど長く婚約関係にいたと思いますが」
その分色々と溜まっていたのでは?と言いたいようだ。
「そうなんだけどね。もっと色々言ってやりたいこととかあったんだけど……なんか君がすごい喋るから引っ込んじゃったよ。女性同士の会話?戦い?に男があんまりしゃしゃるものでもないしね」
「あら、それは失礼致しました」
いや、全然そう思ってない顔をしているよアリス。なんだそのニタリとした笑みは。
「そういえばルカ義兄様。これでフリーですね。適齢期ですし、あちこちから声がかかるのでは?」
考えないようにしていたことをズバッと言われて苦い笑みが浮かぶルカ。たくさんの縁談話が舞い込むはず。どこに行っても婚約者に、婚約者にとあらゆるご令嬢を紹介される未来が見える。足が止まるルカに気づいたアリスも同じように足を止める。
「面倒だなー……。いっそのこと、君が婚約者になってくれたら楽じゃない?」
アリスに顔を近づけ背後の壁にトンッと手をつく。麗しい笑み付きで。いわゆる壁ドンだ。いや、ソフトタッチだったから壁トンッか。
「嫌ですわルカ義兄様。私既に結婚していましてよ。ルカ様の可愛い義妹でございましょう?」
ズイッとアリスの方から顔を近づけられて、慌てて後退るルカ。アリスはルカに向かって足を踏み出すと彼の背後の壁に手をつく。
ドーーーン!
アリスの手を中心として壁が凹んでいる。まさに壁ドーーーンだ。
「まだ既婚者ですので、あらぬ噂を立てられるのは御免ですわ。色々と不利になりますでしょう?」
「ごめんなさい」
去ってゆくアリス。
その背を見送るルカ。
「まだ……ね。今度は何をするつもりだい……?」
ルカの呟きを聞くは凹んだ壁を修理する手配をせねばと思う働き者の侍従だけだった。
~~~~~
アリスの自室にて
「どうにかしてください、アリス様」
「あなたがどうにかしてよ、イリス」
「無理です」
「いや、私も無理よ」
「……………………」
「イリス顔が怖いわ」
「このままではカルラの涙が止まりませんよ」
ルカと別れ、部屋に戻ったアリスは昼寝でもしようかと思っていたのだができなかった。目の前には涙を流すカルラの姿。
「申し訳ありませんアリス様。アリス様とお別れかと思うと悲しくて」
「お別れしないけど」
「ですが、ブランク様と離縁したらアリス様はご実家に戻られるんでしょう?」
「うん、あなたの言うように離縁したらね」
「やっぱりお別れじゃないですか……」
「いや、離縁してないし」
「………ぐすっ……ぐすっ…………」
「いやいや、話し聞いてよ」
カルラは涙を抑えようとするあまり、肝心な部分を聞いていない。
「カルラ」
ぽんと彼女の肩に手を置くイリス。
「イリス様」
顔がひきつるイリス。カルラはなぜかイリスを様付けする。公爵家の血を引くご令嬢に没落男爵家出身の自分が様付けされるなど身体が痒くなるので遠慮したいがやめてくれない。
「アリス様はまだ離縁していないわよ。それにもし離縁することになっても付いてこれば良いじゃない」
「でも私のような役立たず」
「そんなことないわ。アリス様にひかずに敬意をもって接することが出来る時点で素晴らしいと思うわ」
それに役立たずなどとんでもない。何をやらせても手際良くこなしている非常に優秀な侍女だ。
「イリス様……」
「私は給料が良いから我慢しているけれど、あなたはアリス様自身を慕っているのだもの。すごいわよ」
「イリス…………」
どういう意味だ。今度は私が泣いてやろうかしらと思うアリス。
「カルラ」
「はい、アリス様」
「ルビーは無責任な公言で身を滅ぼしただけ。不敬や不貞もどきはなんの関係もないわ」
即ち、ブランクとアリスが離縁する理由はない。
「でも…………」
離縁したいと思われないのですか?と聞きたかったが、侍女がそんなことを聞いても良いものなのか。
「アリス様はブランク様と離縁するおつもりですか?」
聞いたー!?イリス様普通に聞いたー!?
「んー?嫌いだけどね~。離縁か~どうしようかしらね……。まあそもそも王妃様が簡単に離縁させてくれるとも思えないしね」
国にとって価値のあるアリスを王妃が簡単に手放すはずがない。
「ルカ様と再婚するとかどうですか?顔も良いし、素敵じゃないですか。ちょっといたずらっ子っぽいところがたまりません!」
黙って聞いていたアイラがウキウキと口を挟む。恋愛話しが好きなアイラらしい反応。イリス、カルラ、アリスは恋とか愛には疎い。彼女たちはアイラの女子らしい発想に微笑ましい気分になる。
「ルカ様ねぇ……。悪くはないけど、婚約破棄した人と離婚した人がくっつくって縁起悪くない?ルカ様も初婚の相手が再婚者って嫌じゃないかしら。しかも義兄と義妹、なんか色々と疑われそうだわ」
「え~~~、そうですか?王族にはよくあることじゃないですか」
「まあ、ルカ様もやっとルビー様から解放されて自由になったんだから、色々と謳歌すると思うわよ」
「え~~~、その前にアリス様が落としちゃいましょうよ~」
その後も続く女子トーク。
「あの~。まだアリス様はブランク様と離縁していませんからね。あんまり下手なこと言わないようにしてくださいよ」
黙って聞いていたフランクが終わらぬ女子トークをぶった切る。
「想像は自由ですよ」
「そういうところがフランク様はモテないんですよ~」
俺ってそういう風に見られているのかとショックを受けるフランク。わりと告白もされるし、モテる方だと思っていたのだが。
固まるフランクをよそにアリスは独りごちる。
「ブランク様ねぇ………………」
なにか含みを帯びた声音。それを聞いたイリスは何やら一波乱ありそうな予感がした。
………………………
バターーーーーン!
扉が大きな音を立てて開いた。
「君……怖いね。ていうかめちゃくちゃしゃべるね。気にならないとかどうでも良いとか言ってたけど、めっちゃ鬱憤溜まってたでしょ?」
引きつりつつ言うルカにアリスは視線を向ける。
「傷ついたり心に響く言葉ではなくとも、うざいものはうざいですからね。ずっとキーキー騒がれたら迷惑だなー静かにして欲しいなーくらいは私だって人間ですから思いますよ」
否定しないってことは、結構溜まってたんだな、と思いつつ歩き出したアリスを追う。ルカが横に並んだのをチラリと見たアリスが口を開く。
「ルカ義兄様はあれだけで良かったのですか?」
「あれだけって……。結構キツイこと言ったし、しゃべったと思うけど」
「そうですか?私とは比べ物にならないほど長く婚約関係にいたと思いますが」
その分色々と溜まっていたのでは?と言いたいようだ。
「そうなんだけどね。もっと色々言ってやりたいこととかあったんだけど……なんか君がすごい喋るから引っ込んじゃったよ。女性同士の会話?戦い?に男があんまりしゃしゃるものでもないしね」
「あら、それは失礼致しました」
いや、全然そう思ってない顔をしているよアリス。なんだそのニタリとした笑みは。
「そういえばルカ義兄様。これでフリーですね。適齢期ですし、あちこちから声がかかるのでは?」
考えないようにしていたことをズバッと言われて苦い笑みが浮かぶルカ。たくさんの縁談話が舞い込むはず。どこに行っても婚約者に、婚約者にとあらゆるご令嬢を紹介される未来が見える。足が止まるルカに気づいたアリスも同じように足を止める。
「面倒だなー……。いっそのこと、君が婚約者になってくれたら楽じゃない?」
アリスに顔を近づけ背後の壁にトンッと手をつく。麗しい笑み付きで。いわゆる壁ドンだ。いや、ソフトタッチだったから壁トンッか。
「嫌ですわルカ義兄様。私既に結婚していましてよ。ルカ様の可愛い義妹でございましょう?」
ズイッとアリスの方から顔を近づけられて、慌てて後退るルカ。アリスはルカに向かって足を踏み出すと彼の背後の壁に手をつく。
ドーーーン!
アリスの手を中心として壁が凹んでいる。まさに壁ドーーーンだ。
「まだ既婚者ですので、あらぬ噂を立てられるのは御免ですわ。色々と不利になりますでしょう?」
「ごめんなさい」
去ってゆくアリス。
その背を見送るルカ。
「まだ……ね。今度は何をするつもりだい……?」
ルカの呟きを聞くは凹んだ壁を修理する手配をせねばと思う働き者の侍従だけだった。
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アリスの自室にて
「どうにかしてください、アリス様」
「あなたがどうにかしてよ、イリス」
「無理です」
「いや、私も無理よ」
「……………………」
「イリス顔が怖いわ」
「このままではカルラの涙が止まりませんよ」
ルカと別れ、部屋に戻ったアリスは昼寝でもしようかと思っていたのだができなかった。目の前には涙を流すカルラの姿。
「申し訳ありませんアリス様。アリス様とお別れかと思うと悲しくて」
「お別れしないけど」
「ですが、ブランク様と離縁したらアリス様はご実家に戻られるんでしょう?」
「うん、あなたの言うように離縁したらね」
「やっぱりお別れじゃないですか……」
「いや、離縁してないし」
「………ぐすっ……ぐすっ…………」
「いやいや、話し聞いてよ」
カルラは涙を抑えようとするあまり、肝心な部分を聞いていない。
「カルラ」
ぽんと彼女の肩に手を置くイリス。
「イリス様」
顔がひきつるイリス。カルラはなぜかイリスを様付けする。公爵家の血を引くご令嬢に没落男爵家出身の自分が様付けされるなど身体が痒くなるので遠慮したいがやめてくれない。
「アリス様はまだ離縁していないわよ。それにもし離縁することになっても付いてこれば良いじゃない」
「でも私のような役立たず」
「そんなことないわ。アリス様にひかずに敬意をもって接することが出来る時点で素晴らしいと思うわ」
それに役立たずなどとんでもない。何をやらせても手際良くこなしている非常に優秀な侍女だ。
「イリス様……」
「私は給料が良いから我慢しているけれど、あなたはアリス様自身を慕っているのだもの。すごいわよ」
「イリス…………」
どういう意味だ。今度は私が泣いてやろうかしらと思うアリス。
「カルラ」
「はい、アリス様」
「ルビーは無責任な公言で身を滅ぼしただけ。不敬や不貞もどきはなんの関係もないわ」
即ち、ブランクとアリスが離縁する理由はない。
「でも…………」
離縁したいと思われないのですか?と聞きたかったが、侍女がそんなことを聞いても良いものなのか。
「アリス様はブランク様と離縁するおつもりですか?」
聞いたー!?イリス様普通に聞いたー!?
「んー?嫌いだけどね~。離縁か~どうしようかしらね……。まあそもそも王妃様が簡単に離縁させてくれるとも思えないしね」
国にとって価値のあるアリスを王妃が簡単に手放すはずがない。
「ルカ様と再婚するとかどうですか?顔も良いし、素敵じゃないですか。ちょっといたずらっ子っぽいところがたまりません!」
黙って聞いていたアイラがウキウキと口を挟む。恋愛話しが好きなアイラらしい反応。イリス、カルラ、アリスは恋とか愛には疎い。彼女たちはアイラの女子らしい発想に微笑ましい気分になる。
「ルカ様ねぇ……。悪くはないけど、婚約破棄した人と離婚した人がくっつくって縁起悪くない?ルカ様も初婚の相手が再婚者って嫌じゃないかしら。しかも義兄と義妹、なんか色々と疑われそうだわ」
「え~~~、そうですか?王族にはよくあることじゃないですか」
「まあ、ルカ様もやっとルビー様から解放されて自由になったんだから、色々と謳歌すると思うわよ」
「え~~~、その前にアリス様が落としちゃいましょうよ~」
その後も続く女子トーク。
「あの~。まだアリス様はブランク様と離縁していませんからね。あんまり下手なこと言わないようにしてくださいよ」
黙って聞いていたフランクが終わらぬ女子トークをぶった切る。
「想像は自由ですよ」
「そういうところがフランク様はモテないんですよ~」
俺ってそういう風に見られているのかとショックを受けるフランク。わりと告白もされるし、モテる方だと思っていたのだが。
固まるフランクをよそにアリスは独りごちる。
「ブランク様ねぇ………………」
なにか含みを帯びた声音。それを聞いたイリスは何やら一波乱ありそうな予感がした。
………………………
バターーーーーン!
扉が大きな音を立てて開いた。
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