【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ

文字の大きさ
上 下
58 / 186

58. 退治完了

しおりを挟む
ꕤ୭*故イレーヌ・エンジェル王女殿下降臨前のミランダ(ミランダ視点)

 私は慈善事業に携わるイレーヌ王女殿下に貧困街で拾われて、下女にしていただきとてもかわいがられたと思う。感謝はしているけれど、神様の不公平さをこれほど実感したことはなかった。

――産まれながらにして王女様。美しくて頭が良くて全てをお持ちなイレーヌ様に比べてなぜ同じ人間なのに・・・・・・私はこうなの? おかしいよ・・・・・・

 その後退職し鍛冶屋の男と結婚したものの、うまくいかずに離婚。子供を抱えてどうしたら良いか悩みオスカー公爵家にすがりに行くと、すでにイレーヌ王女殿下は他界していた。

「オスカー公爵の後妻のふりをして、アイビーを虐めてよ。旦那様も国王陛下も会いには来ない。今のうちにイレーヌ王女殿下へのうっぷんを晴らしていいからね」
 なぜか侍女長になっている昔の同僚アンナに耳打ちされた。

 だから、後妻のふりをしてアイビーを追い詰めた。このアイビーがこの世からいなくなれば、なにもかもうまくいくんだって。

 演技をするうちに、私こそはオスカー公爵夫人だと思い込むようになった。娘にも実の父親はオスカー公爵だと言い含めると簡単に信じ込み楽しい生活が始まった。





「国王陛下と公爵様からの子供向けのプレゼントはその子のものにしていいわよ。そのかわりお礼の手紙は書かせてね?」
 アンナは私に、笑いながら言った。

「こんなをことしてばれないの?」

「大丈夫よ! アイビーが死んでくれればまるく収まるんだから」





ꕤ୭*故イレーヌ・エンジェル王女殿下降臨前のアンナの気持ち(アンナ視点)



 昔下女をしていた女が、アイビーと同じような年頃の娘を連れてやってきたのがアイビー7歳の頃。良い案を思いついた。

――この女のせいに全てしてアイビーを追い詰めれば・・・・・・うふふ、私の望みは全て叶う。アイビーが死んだところで大騒ぎして公爵を呼び寄せ、ミランダは隣国に逃亡させるーーこれはあのお偉い方が協力するとおっしゃっていた・・・・・私だけがアイビーーを庇ったことにすればいい。

「きっと感激した公爵様は健気なアンナに感謝して・・・・・・アンナを愛してくれるさ」
 お偉い方は私にそうなることを予言してくれた。


 イレーヌ様はお産で死んだと誰もが言うが、あの隣国のお偉い方に渡された薬をこっそり奥様の水差しにいれたのは私。お産のどさくさに忍び込み、すぐに侍女長としてそこにいられたのは、お偉い方が公爵のふりをして今までの侍女達を速やかに入れ替えたから。

 今や使用人は全て護衛騎士にいたるまで、隣国の者であの方の配下の者だ。

「私のプロポーズを断って腰抜け公爵の妻になった罰なんだ!」
 お偉い方は一度だけそうつぶやいて意気揚々と去っていった。

――なんて、気持ちの悪い男なんだろう。私の純粋な愛を見習ったらいいのに。でも、このお偉い方のお陰で楽しい生活ができて幸せだわ!

ーーそろそろ、アイビーの心がもたない。あんな小さな子が自分で死ぬなんてワクワクするわ。あの世で高潔なイレーヌ王女殿下と仲良く悔しがればいい! あっはは!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結保証】第二王子妃から退きますわ。せいぜい仲良くなさってくださいね

ネコ
恋愛
公爵家令嬢セシリアは、第二王子リオンに求婚され婚約まで済ませたが、なぜかいつも傍にいる女性従者が不気味だった。「これは王族の信頼の証」と言うリオンだが、実際はふたりが愛人関係なのでは? と噂が広まっている。ある宴でリオンは公衆の面前でセシリアを貶め、女性従者を擁護。もう我慢しません。王子妃なんてこちらから願い下げです。あとはご勝手に。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」 学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。 家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。 しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。 これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。 「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」 王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。 どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。 こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。 一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。 なろう・カクヨムにも投稿

処理中です...