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異世界転生編
第41話 王都近郊地下洞窟ダンジョン(3)
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第5層は洞窟のようではなく、進んだ先に1つの扉があるだけだった。
RPGであればボス部屋とでも言われるのだろう。
あからさまに禍々しい雰囲気を醸し出しているが、ここで引き返すわけにはいかない。
先頭を行っていたアビーも今では陣の中央に居る。
代わりに先頭に居るのはカイルだ。
光輝の固有スキル<群雄割拠>の1つの効果である<英雄道>は、時間制限のある強化スキルだ。
ピンチの時以外は極力使いたくない。
ゆえに、部屋に入る前に事前に使うことはしない。
「扉を開けます。良いですね?」
「はい、行きましょう」
カイルが確認をし、そのまま扉を開く。
扉の大きさに対し、軽かったのだろう。というか、自動だったのかもしれない。
カイルが軽く触った程度で扉は開いて行き、薄暗い部屋の中が見え始める。
「行きましょう、ボスはこの先です」
「はい!」
そうして、ボス部屋へと足を踏み入れた。
・ ・ ・
ボス部屋は謁見の間を彷彿とさせる見た目だった。
とは言え、そこまで広さはない。
ボロボロの赤いカーペットが敷かれ、その先には階段、階段の上には崩れかけの玉座があった。
玉座には何かが座っている。
身長にして2メートルくらいだろう。
見た目はリッチに似ているが、違う点を上げるならばローブが少し豪華なところと──目に赤い光が宿っていることくらいだ。
ボスリッチと呼ぶことにしよう。
攻撃してくる気配が無いため、警戒しながらも光輝たちはボスリッチへとゆっくり近づいていった。
『よくぞ参られた、ダンジョンを攻略せんとする者たちよ。我が名は──』
「ルーナ、アーニャ、攻撃を。カイルは視線を遮ってくれ。俺が決めます」
「「了解です」」
「了解」
『──え?』
「<火炎>ッ!」
「<聖光>ッ!」
「<盾突撃>ッ!」
ボスが語るならばその間に倒せば良い。
右から左から、アンデッドの弱点属性の魔法が撃ち込まれ、更に顔面を潰すようにカイルの巨大な盾が迫る。
その隙を付き、光輝もボスリッチの腹部を横薙ぎするよう接近し──剣を振るった。
『がぁっ!!』
女神から貰った剣の威力は凄まじい。
ボスリッチの体は崩れ、目からは赤い光が消えた。
絶命したのだ。
「皆さん、お疲れ様でした」
「光輝様…あれはズルいのでは…?」
「確かにそうかもしれませんが、チャンスは無駄に出来なかったもので」
メンバー間には和やかな雰囲気が流れている。
だまし討ちのようなやり方でボスを倒せてしまったのだ。なんというか、面白い。
「案外、すぐに終わったな」
突如、パーティーメンバー以外の声が響き渡った。
このダンジョンには今、光輝たち以外の何者も居ないはずなのに、だ。
───おかしい。
異常に気づいたのは光輝だけではない。
全員、警戒するような姿勢をしている。
声のした方──ボスリッチが居座っていた玉座のような場所には、1人の男が居た。
黒ローブで、フードを深々と被った人物。
ボスリッチの残骸など気にもせず、その上に立っていた。
人か、魔獣か、はたまた魔族なのか。
先程までの和やかな雰囲気は一瞬でピリピリしたものへと変わる。
光輝たちは油断なく、男に対して陣形を組んだ。
RPGであればボス部屋とでも言われるのだろう。
あからさまに禍々しい雰囲気を醸し出しているが、ここで引き返すわけにはいかない。
先頭を行っていたアビーも今では陣の中央に居る。
代わりに先頭に居るのはカイルだ。
光輝の固有スキル<群雄割拠>の1つの効果である<英雄道>は、時間制限のある強化スキルだ。
ピンチの時以外は極力使いたくない。
ゆえに、部屋に入る前に事前に使うことはしない。
「扉を開けます。良いですね?」
「はい、行きましょう」
カイルが確認をし、そのまま扉を開く。
扉の大きさに対し、軽かったのだろう。というか、自動だったのかもしれない。
カイルが軽く触った程度で扉は開いて行き、薄暗い部屋の中が見え始める。
「行きましょう、ボスはこの先です」
「はい!」
そうして、ボス部屋へと足を踏み入れた。
・ ・ ・
ボス部屋は謁見の間を彷彿とさせる見た目だった。
とは言え、そこまで広さはない。
ボロボロの赤いカーペットが敷かれ、その先には階段、階段の上には崩れかけの玉座があった。
玉座には何かが座っている。
身長にして2メートルくらいだろう。
見た目はリッチに似ているが、違う点を上げるならばローブが少し豪華なところと──目に赤い光が宿っていることくらいだ。
ボスリッチと呼ぶことにしよう。
攻撃してくる気配が無いため、警戒しながらも光輝たちはボスリッチへとゆっくり近づいていった。
『よくぞ参られた、ダンジョンを攻略せんとする者たちよ。我が名は──』
「ルーナ、アーニャ、攻撃を。カイルは視線を遮ってくれ。俺が決めます」
「「了解です」」
「了解」
『──え?』
「<火炎>ッ!」
「<聖光>ッ!」
「<盾突撃>ッ!」
ボスが語るならばその間に倒せば良い。
右から左から、アンデッドの弱点属性の魔法が撃ち込まれ、更に顔面を潰すようにカイルの巨大な盾が迫る。
その隙を付き、光輝もボスリッチの腹部を横薙ぎするよう接近し──剣を振るった。
『がぁっ!!』
女神から貰った剣の威力は凄まじい。
ボスリッチの体は崩れ、目からは赤い光が消えた。
絶命したのだ。
「皆さん、お疲れ様でした」
「光輝様…あれはズルいのでは…?」
「確かにそうかもしれませんが、チャンスは無駄に出来なかったもので」
メンバー間には和やかな雰囲気が流れている。
だまし討ちのようなやり方でボスを倒せてしまったのだ。なんというか、面白い。
「案外、すぐに終わったな」
突如、パーティーメンバー以外の声が響き渡った。
このダンジョンには今、光輝たち以外の何者も居ないはずなのに、だ。
───おかしい。
異常に気づいたのは光輝だけではない。
全員、警戒するような姿勢をしている。
声のした方──ボスリッチが居座っていた玉座のような場所には、1人の男が居た。
黒ローブで、フードを深々と被った人物。
ボスリッチの残骸など気にもせず、その上に立っていた。
人か、魔獣か、はたまた魔族なのか。
先程までの和やかな雰囲気は一瞬でピリピリしたものへと変わる。
光輝たちは油断なく、男に対して陣形を組んだ。
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