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【第1章】幼き3人の姫君達
その6✤フランス王朝---カペー家からヴァロワ家
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ヴァロワ=ブルゴーニュ家初代当主はフィリップ豪胆公で、ヴァロア朝フランス王家の王子だったというのは前回書いたばかりなのだが、時は14~15世紀の頃ということで、遡ってもそれほど長い歴史でもないので、今回は一度フランス王家について簡単に説明させていただこうと思う。
ヴァロア朝フランス王家の前はカペー朝フランス王家という王朝で、これはフランク王国カロリング朝西フランク王国が断絶した後、987年にユーグ・カペーがフランス王位を継ぎ、ここからフランス王国の誕生となる。
フランク王国とは、かの偉大なるカール大帝建国の空前絶後と言われるほど広大な欧州の王国だったのだが、カール大帝が西ローマ皇帝に戴冠したのが800年のことなので、そのほんの190年後にカロリング朝は断絶してしまった。そしてカペー朝フランス王国がヨ-ロッパの歴史に登場する。
そしてそのまた340年後にユーグ・カペーの直系の子孫のカペー家は断絶してしまい、カペー朝ヴァロワ家に道を譲り、1328年にフィリップ6世がヴァロワ朝を開く。
しかし最終的にヴァロア朝フランス王家も最後の当主シャルル8世(蜘蛛王ルイ11世の息子)が若くして亡くなってしまったため断絶し、1589年からブルボン王朝が始まるが、そう考えるとフランス王家とはつまり987年からフランス革命の1789年(復古王政のシャルル10世まで入れれば1830年)まで、全てカペー家の傍系つまり分家からの王朝だったのだ。
これは987年から1848年までフランスを支配したカペー朝・ヴァロワ朝・ブルボン朝・7月王政の各王(ただしフランス革命とナポレオンの時期は除く)は、みなユ-グ・カペーの子孫だったということで、マリー・アントワネットの主人だったルイ16世が王位を剥奪された後、自分の苗字を「カペー」と名乗らされていたのはこういう理由からだった。
ところでマリー・アントワネットはハプスブルグ家出身なのだが、そう考えるともちろんこの小説の我らが主人公「マリー姫」の血を引いているわけで、当時のヨーロッパの王室が親戚だらけだったということは当然のこととは言え、その関係を考え合わせるとやはり興味深い。
マリー・ド・ブルゴーニュのマリーという名前は彼女の代父だったルイ11世の母マリー・ダンジューから、しかし例えばマリー・アントワネットの「マリー」はもちろん我らが姫君のマリー・ド・ブルゴーニュこと「マリー姫」の名前と関係があることは間違いないだろう。
……と、いうのは、ハプスブルグ家のマクシミリアンがマリー姫と結婚するまで、ハプスブルグ家でマリア(ハプスブルグ家はドイツ語圏のためマリアはドイツ語のマリーのこと)という名前は大変珍しく、姫たちにこの名を名付けているものは記録の中では見当たらない。
そしてまたマリーとマクシミリアンの婚姻がなければ、慢性的に財政難に陥っていたハプスブルグ家が1800年まで順調に皇帝家として存続していた可能性は多分そう高くはなく、そのように考えるとハプスブルグ家のみならず、敵対していたフランス王室も違う状況になっていた可能性もあり、もしかしたらフランス革命も勃発していなかったかもしれない。
だいたいそれどころかマリーとマクシミリアンの結婚がなければ、そもそも後のマリア・テレジアもマリー・アントワネットも存在すらしていなかったというわけで、歴史というのは本当に興味深いものである。
Copyright(C)2022-kaorukyara
ヴァロア朝フランス王家の前はカペー朝フランス王家という王朝で、これはフランク王国カロリング朝西フランク王国が断絶した後、987年にユーグ・カペーがフランス王位を継ぎ、ここからフランス王国の誕生となる。
フランク王国とは、かの偉大なるカール大帝建国の空前絶後と言われるほど広大な欧州の王国だったのだが、カール大帝が西ローマ皇帝に戴冠したのが800年のことなので、そのほんの190年後にカロリング朝は断絶してしまった。そしてカペー朝フランス王国がヨ-ロッパの歴史に登場する。
そしてそのまた340年後にユーグ・カペーの直系の子孫のカペー家は断絶してしまい、カペー朝ヴァロワ家に道を譲り、1328年にフィリップ6世がヴァロワ朝を開く。
しかし最終的にヴァロア朝フランス王家も最後の当主シャルル8世(蜘蛛王ルイ11世の息子)が若くして亡くなってしまったため断絶し、1589年からブルボン王朝が始まるが、そう考えるとフランス王家とはつまり987年からフランス革命の1789年(復古王政のシャルル10世まで入れれば1830年)まで、全てカペー家の傍系つまり分家からの王朝だったのだ。
これは987年から1848年までフランスを支配したカペー朝・ヴァロワ朝・ブルボン朝・7月王政の各王(ただしフランス革命とナポレオンの時期は除く)は、みなユ-グ・カペーの子孫だったということで、マリー・アントワネットの主人だったルイ16世が王位を剥奪された後、自分の苗字を「カペー」と名乗らされていたのはこういう理由からだった。
ところでマリー・アントワネットはハプスブルグ家出身なのだが、そう考えるともちろんこの小説の我らが主人公「マリー姫」の血を引いているわけで、当時のヨーロッパの王室が親戚だらけだったということは当然のこととは言え、その関係を考え合わせるとやはり興味深い。
マリー・ド・ブルゴーニュのマリーという名前は彼女の代父だったルイ11世の母マリー・ダンジューから、しかし例えばマリー・アントワネットの「マリー」はもちろん我らが姫君のマリー・ド・ブルゴーニュこと「マリー姫」の名前と関係があることは間違いないだろう。
……と、いうのは、ハプスブルグ家のマクシミリアンがマリー姫と結婚するまで、ハプスブルグ家でマリア(ハプスブルグ家はドイツ語圏のためマリアはドイツ語のマリーのこと)という名前は大変珍しく、姫たちにこの名を名付けているものは記録の中では見当たらない。
そしてまたマリーとマクシミリアンの婚姻がなければ、慢性的に財政難に陥っていたハプスブルグ家が1800年まで順調に皇帝家として存続していた可能性は多分そう高くはなく、そのように考えるとハプスブルグ家のみならず、敵対していたフランス王室も違う状況になっていた可能性もあり、もしかしたらフランス革命も勃発していなかったかもしれない。
だいたいそれどころかマリーとマクシミリアンの結婚がなければ、そもそも後のマリア・テレジアもマリー・アントワネットも存在すらしていなかったというわけで、歴史というのは本当に興味深いものである。
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