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第5話 フェルグス城
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深緑の樹々に包まれた森の中を俺達は進む。
俺が前、芽衣が後ろの順で周囲への警戒を怠らない。
「この先がもう目的地《フェルグス城》よ。待ち伏せに注意して」
芽衣の透き通った声に俺は頷き、更に気を引き締める。
確かに、ゲームがスタートした周辺のエリアは敵のレベルも2や3といった初期エネミーがポップしていたが、このエリアはそもそも初期プレイヤーが挑む場所ではなかった。
レベルを上げ、様々なクエストをクリアし、苦労して手に入れたレアアイテムを駆使して挑むのが常人の域だが、俺達はその常人という枠から逸脱している。
先程モンスターの群れと華麗なる戦闘を繰り広げていた芽衣も、俺と全く同じだった。
初期レベル50からのスタートでアイテム欄には《知識の書》と名の付くレアアイテムも配置され、チートレベルの設定に至っており、更には《シークレットスキル》までも所有していた。
よって、平均レベル40近いエネミーを次々に撃破する荒技をやってのけたのだ。
芽衣の要する《シークレットスキル》……。
名は《マエストロ・タイム》。
その内容を芽衣に尋ねたところ、このような答えが返ってきた。
《己が装備するすべての武器において、その支配権限を最大レベルまで引き上げる。たとえ己の身から武器が独立したとしても、最大限にそれを行使することができる》
という内容だった。
つまり要約すると、剣を自由自在に操ることが出来、手を触れていなくても、自分の意思で剣に命令することが可能ということだ。
初見で芽衣が踊っているように見えたのは、このスキルを最大限有効活用し、剣が滑らかにかつ円滑に流れていたからだ。
とてもゲーム開始2日目とは思えない技術と実力だ。
彼女はここから更に進化し、ゲーム攻略への大きな戦力となるだろう。
俺も負けていられないーー。
レベル50という上位権限を与えられたからには、俺も攻略に全力を注がなければならない。
一刻も早くこんな世界とはおさらばしなければならない。
幾つもの命が懸かっている。
それだけは忘れてはいけないーー。
「大丈夫?顔が怖いよ?」
芽衣の一言でハッと我に返り、今の状況に集中する。
「大丈夫だよ。さあ進もう」
数歩進むと遂に《フェルグス城》の外形が見えてきた。
壁は光り輝く石で出来ており、その神秘さがこちらにたっぷり伝わってくる。
周囲を見渡し、敵の気配がないことを確かめると、俺達は正門らしき高さ3メートル程の扉の前に足を運んだ。
扉をチェックすると、鍵はかかっておらず、中には簡単に潜入できる。
ここで城に入る前にやっておかなくてはならないことを2人は実行した。
まずはパーティ作成。
ーー気付いてはいたが、言い出すタイミングが無く、かなり遅れたがここで即席で組むことになった。
2人はメニューの中からパーティの文字を探し出した。
それを見つけると、操作を施しパーティ編成を完了させる。
すると、左上の自分のHPバーの下に新たに佐倉芽衣と書かれた緑色のHPバーが現れた。
正直、芽衣のHPバーがじわじわ黄から赤に減っていくのを見ているのは不安が込み上げてくるが、パーティを組まなければ受けられない恩恵なども存在するので、絶対に赤にはさせないと自分の心に誓いパーティを組んだ。
次にアイテム整理だ。
俺は無謀にも昨日、凛花に食事を奢ってしまい、初期金額が大幅な減少を果たし、アイテムも購入せずにここまで来てしまった。
今となってはなんて危険な行動だと反省しているが、モンスターからのドロップ金額(雑魚モンスター1体あたり、5円ほど)ではお金があまりにも溜まらず、アイテムはとてもじゃないが購入する余裕が無かった。
そこで芽衣が自腹を叩いて購入してきてくれた、回復ポーションや強化液、更には《ノーマル》と名の付く装備品より少し強力な、《ウッド》と名称に入っている、頭、体、靴などの防具を提供してくれた。
しかし後に笑顔で、払ってねと囁かれたので、縮み上がるところも縮み上がり、恐怖によって支配された……。
その話はさておき、最後にモンスターの情報交換だ。
特段、交換する内容はないのだが、芽衣に言っておきたいことがあった。
「危なくなったらこの《転送の書》で逃げるんだ。俺もそうする。約束してくれ……絶対に」
「うん、分かった」
少々重苦しい雰囲気になったが、これが更に緊張感を引き締めてくれた。
ーー俺達は頷き合い、ともに準備完了を確認すると、俺は巨大な赤い扉に手を触れさせて、少しずつ押していく。
中が露わになると足を動かし、内部に踏み込む。
中はさぞかし複雑な迷路が張り巡らされているんだろうなぁとやや後ろ向きな気持ちで中に入った俺は、その予想外の構造に仰天した。
中はなんと、巨大な一つの部屋のみで構築されていた。
広さは約東京ドーム1個分というとてつもない大きさだ。
他の部屋は何一つ存在しない。
そして部屋の内部にある唯一のオブジェクトは、部屋の一番奥にどっしりと設置されている、金色に輝く王の椅子のみ。
それに向かって一歩踏み出そうとしたその時ーー。
部屋の中央辺りの床がグネグネと揺れ始め、かなり巨大な穴が出現した。
すると黒に染められた穴の中から、巨大な石の手が姿を現し、城の床をがっしりと掴んだ。
その手を利用し、穴の奥深くから、頭、体などが次々と出てくると、ついには足の先までが露わになる。
それは巨大なゴーレムだったーー。
正式名称は《ゴーレム・キングMk-zero》と明記され、3段にも及ぶHPバーが出現した。
俺の勝手な妄想だが、奴は普通の《ゴーレム》の親玉の《ゴーレム・キング》の更に亜種であって、おそらく特殊な場所でしかお目にかかれない、レアモンスターであろうーー。
ーー名前的に……。
やむなく俺は背中から、芽衣は腰から剣を抜いた。
あわよくば……とは思っていたが、こうなっては戦闘は絶対に避けられない。
しかし俺達は、ほぼ初期装備のままにして、スキルすらまともに習得していない。
ほぼレベルとシークレットスキルに頼りきりになってしまうだろう。
しかしそれだけではどうにもならないかもしれない。
その時はーー。
次の瞬間、《ゴーレム・キングMk-zero》は左手を前に伸ばした。
すると手首付近がボキッと折れたと思ったが、その腕の中に小型ミサイルが仕込まれており、10発ほどの物体が飛散した。
「そんなのアリかよ!」
初撃から遠距離飛び道具攻撃を仕掛けられ、思わず声が出た俺は、うまく横に飛びながらミサイルを回避する。
芽衣も相変わらずの素早く無駄の無い動きで攻撃を回避。
開いた手首を戻したゴーレムの瞳らしき顔の二つの赤い光が、より一層輝きを増すと、強烈な威圧感が俺達を包み込んだ。
俺が前、芽衣が後ろの順で周囲への警戒を怠らない。
「この先がもう目的地《フェルグス城》よ。待ち伏せに注意して」
芽衣の透き通った声に俺は頷き、更に気を引き締める。
確かに、ゲームがスタートした周辺のエリアは敵のレベルも2や3といった初期エネミーがポップしていたが、このエリアはそもそも初期プレイヤーが挑む場所ではなかった。
レベルを上げ、様々なクエストをクリアし、苦労して手に入れたレアアイテムを駆使して挑むのが常人の域だが、俺達はその常人という枠から逸脱している。
先程モンスターの群れと華麗なる戦闘を繰り広げていた芽衣も、俺と全く同じだった。
初期レベル50からのスタートでアイテム欄には《知識の書》と名の付くレアアイテムも配置され、チートレベルの設定に至っており、更には《シークレットスキル》までも所有していた。
よって、平均レベル40近いエネミーを次々に撃破する荒技をやってのけたのだ。
芽衣の要する《シークレットスキル》……。
名は《マエストロ・タイム》。
その内容を芽衣に尋ねたところ、このような答えが返ってきた。
《己が装備するすべての武器において、その支配権限を最大レベルまで引き上げる。たとえ己の身から武器が独立したとしても、最大限にそれを行使することができる》
という内容だった。
つまり要約すると、剣を自由自在に操ることが出来、手を触れていなくても、自分の意思で剣に命令することが可能ということだ。
初見で芽衣が踊っているように見えたのは、このスキルを最大限有効活用し、剣が滑らかにかつ円滑に流れていたからだ。
とてもゲーム開始2日目とは思えない技術と実力だ。
彼女はここから更に進化し、ゲーム攻略への大きな戦力となるだろう。
俺も負けていられないーー。
レベル50という上位権限を与えられたからには、俺も攻略に全力を注がなければならない。
一刻も早くこんな世界とはおさらばしなければならない。
幾つもの命が懸かっている。
それだけは忘れてはいけないーー。
「大丈夫?顔が怖いよ?」
芽衣の一言でハッと我に返り、今の状況に集中する。
「大丈夫だよ。さあ進もう」
数歩進むと遂に《フェルグス城》の外形が見えてきた。
壁は光り輝く石で出来ており、その神秘さがこちらにたっぷり伝わってくる。
周囲を見渡し、敵の気配がないことを確かめると、俺達は正門らしき高さ3メートル程の扉の前に足を運んだ。
扉をチェックすると、鍵はかかっておらず、中には簡単に潜入できる。
ここで城に入る前にやっておかなくてはならないことを2人は実行した。
まずはパーティ作成。
ーー気付いてはいたが、言い出すタイミングが無く、かなり遅れたがここで即席で組むことになった。
2人はメニューの中からパーティの文字を探し出した。
それを見つけると、操作を施しパーティ編成を完了させる。
すると、左上の自分のHPバーの下に新たに佐倉芽衣と書かれた緑色のHPバーが現れた。
正直、芽衣のHPバーがじわじわ黄から赤に減っていくのを見ているのは不安が込み上げてくるが、パーティを組まなければ受けられない恩恵なども存在するので、絶対に赤にはさせないと自分の心に誓いパーティを組んだ。
次にアイテム整理だ。
俺は無謀にも昨日、凛花に食事を奢ってしまい、初期金額が大幅な減少を果たし、アイテムも購入せずにここまで来てしまった。
今となってはなんて危険な行動だと反省しているが、モンスターからのドロップ金額(雑魚モンスター1体あたり、5円ほど)ではお金があまりにも溜まらず、アイテムはとてもじゃないが購入する余裕が無かった。
そこで芽衣が自腹を叩いて購入してきてくれた、回復ポーションや強化液、更には《ノーマル》と名の付く装備品より少し強力な、《ウッド》と名称に入っている、頭、体、靴などの防具を提供してくれた。
しかし後に笑顔で、払ってねと囁かれたので、縮み上がるところも縮み上がり、恐怖によって支配された……。
その話はさておき、最後にモンスターの情報交換だ。
特段、交換する内容はないのだが、芽衣に言っておきたいことがあった。
「危なくなったらこの《転送の書》で逃げるんだ。俺もそうする。約束してくれ……絶対に」
「うん、分かった」
少々重苦しい雰囲気になったが、これが更に緊張感を引き締めてくれた。
ーー俺達は頷き合い、ともに準備完了を確認すると、俺は巨大な赤い扉に手を触れさせて、少しずつ押していく。
中が露わになると足を動かし、内部に踏み込む。
中はさぞかし複雑な迷路が張り巡らされているんだろうなぁとやや後ろ向きな気持ちで中に入った俺は、その予想外の構造に仰天した。
中はなんと、巨大な一つの部屋のみで構築されていた。
広さは約東京ドーム1個分というとてつもない大きさだ。
他の部屋は何一つ存在しない。
そして部屋の内部にある唯一のオブジェクトは、部屋の一番奥にどっしりと設置されている、金色に輝く王の椅子のみ。
それに向かって一歩踏み出そうとしたその時ーー。
部屋の中央辺りの床がグネグネと揺れ始め、かなり巨大な穴が出現した。
すると黒に染められた穴の中から、巨大な石の手が姿を現し、城の床をがっしりと掴んだ。
その手を利用し、穴の奥深くから、頭、体などが次々と出てくると、ついには足の先までが露わになる。
それは巨大なゴーレムだったーー。
正式名称は《ゴーレム・キングMk-zero》と明記され、3段にも及ぶHPバーが出現した。
俺の勝手な妄想だが、奴は普通の《ゴーレム》の親玉の《ゴーレム・キング》の更に亜種であって、おそらく特殊な場所でしかお目にかかれない、レアモンスターであろうーー。
ーー名前的に……。
やむなく俺は背中から、芽衣は腰から剣を抜いた。
あわよくば……とは思っていたが、こうなっては戦闘は絶対に避けられない。
しかし俺達は、ほぼ初期装備のままにして、スキルすらまともに習得していない。
ほぼレベルとシークレットスキルに頼りきりになってしまうだろう。
しかしそれだけではどうにもならないかもしれない。
その時はーー。
次の瞬間、《ゴーレム・キングMk-zero》は左手を前に伸ばした。
すると手首付近がボキッと折れたと思ったが、その腕の中に小型ミサイルが仕込まれており、10発ほどの物体が飛散した。
「そんなのアリかよ!」
初撃から遠距離飛び道具攻撃を仕掛けられ、思わず声が出た俺は、うまく横に飛びながらミサイルを回避する。
芽衣も相変わらずの素早く無駄の無い動きで攻撃を回避。
開いた手首を戻したゴーレムの瞳らしき顔の二つの赤い光が、より一層輝きを増すと、強烈な威圧感が俺達を包み込んだ。
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