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第二章 社長生活の開始
本番、そして・・・
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そしてとうとう本番の日がやって来た。
嬉しかったのは、受付周りや場内整理に、ねむを始めスケジュールや仕事の都合で朗読公演に出演出来なかった【ベガ】の所属声優たちが駆け付けてくれたことだ。
チケットなど、お金を扱う重要なポジションには、デスクの矢島さんがわざわざ入ってくれた。
裏方は少なくとも盤石な状態で本番を迎える事が出来た。
開場を前に、劇場の前には列が出来始めていた。
お客様も、この公演を楽しみにしてくれていたようだ。
副社長の所と、チーフマネージャーの露木も、公演を観に来てくれた。
関係者席へ案内しようとすると、「こういうのは、お金を払って観なければ意味がありませんから」とチケットを購入してくれた。
【お手並み拝見しますよ】
そう言われているような気がして、緊張した。
オレは落ち着かず、客席と受付の間をうろうろし続けていたが、「社長、邪魔です」と秘書の瀬戸涼子に言われ、一足先に自分の席についた。
右隣には左右田さんがいる。
「もう、こうなったらまな板の上の鯉だよ。何も出来る事は無い。役者を信じて、二代目も朗読を楽しむんだな」
左右田さんにそう言われた。
オレはリラックスして、公演を観る体勢に入った。
そして、開演。
役者たちは本当に頑張ってくれた。
観客は、笑い、泣き、時に恐怖した。
オレは稽古で何度も朗読を聞いて、内容を把握しているのに、涙が止まらなかった。
贔屓目に言っても、面白い公演だったと言って良いだろう。
カーテンコールで大拍手が起こった時、本当に心からほっとした。
所は公演をベタ褒めして帰り、露木は何を考えているのかむっとした表情を浮かべて何も言わなかった。
そんなこんなで、土、日の公演はつつがなく幕を閉じた。
月曜日、ゆっくり出社すると、デスクの矢島さんがこう言って来た。
「大変です、社長」
嫌な予感がよぎった。
何かトラブルがあったのだろうか?
「電話が鳴りやまないんです。朗読劇に出演していた声優たちに対する出演オファーや、問い合わせがひっきりなしに来ています」
それを聞いて、瀬戸涼子が言った。
「社長、大成功ですね」
そこでオレは、初めて朗読公演が成功したことを感じた。
オファーの中には、左右田さんに対する演出オファーや、演技指導のオファーもあった。
左右田さんには是非、第二回公演も演出していただき、また出来れば重要な役で出演してほしいとも思っていた。
この流れを受けて、【ベガ】の敏腕マネージャーたちは、商機を逃すな、とばかりそれぞれ動き出した。
出演していたメンバーは勿論、出演していなかったメンバーも抱き合わせでいろいろな現場に売り込まれた。
「お父様が入院されてから、こんなに活気がある事務所は初めてですよ」
瀬戸涼子が嬉しそうに言ってくれた。
そういう訳で、オレはやっと、声優プロダクション社長としての第一歩を踏み出す事が出来たのかもしれない。
意外な事に、オレの頭の中には、これからの戦略が、沢山渦巻いていた。
第二回朗読公演はもちろん、他にもいろいろなイベントや企画を、思い付いていた。
第二部 完
嬉しかったのは、受付周りや場内整理に、ねむを始めスケジュールや仕事の都合で朗読公演に出演出来なかった【ベガ】の所属声優たちが駆け付けてくれたことだ。
チケットなど、お金を扱う重要なポジションには、デスクの矢島さんがわざわざ入ってくれた。
裏方は少なくとも盤石な状態で本番を迎える事が出来た。
開場を前に、劇場の前には列が出来始めていた。
お客様も、この公演を楽しみにしてくれていたようだ。
副社長の所と、チーフマネージャーの露木も、公演を観に来てくれた。
関係者席へ案内しようとすると、「こういうのは、お金を払って観なければ意味がありませんから」とチケットを購入してくれた。
【お手並み拝見しますよ】
そう言われているような気がして、緊張した。
オレは落ち着かず、客席と受付の間をうろうろし続けていたが、「社長、邪魔です」と秘書の瀬戸涼子に言われ、一足先に自分の席についた。
右隣には左右田さんがいる。
「もう、こうなったらまな板の上の鯉だよ。何も出来る事は無い。役者を信じて、二代目も朗読を楽しむんだな」
左右田さんにそう言われた。
オレはリラックスして、公演を観る体勢に入った。
そして、開演。
役者たちは本当に頑張ってくれた。
観客は、笑い、泣き、時に恐怖した。
オレは稽古で何度も朗読を聞いて、内容を把握しているのに、涙が止まらなかった。
贔屓目に言っても、面白い公演だったと言って良いだろう。
カーテンコールで大拍手が起こった時、本当に心からほっとした。
所は公演をベタ褒めして帰り、露木は何を考えているのかむっとした表情を浮かべて何も言わなかった。
そんなこんなで、土、日の公演はつつがなく幕を閉じた。
月曜日、ゆっくり出社すると、デスクの矢島さんがこう言って来た。
「大変です、社長」
嫌な予感がよぎった。
何かトラブルがあったのだろうか?
「電話が鳴りやまないんです。朗読劇に出演していた声優たちに対する出演オファーや、問い合わせがひっきりなしに来ています」
それを聞いて、瀬戸涼子が言った。
「社長、大成功ですね」
そこでオレは、初めて朗読公演が成功したことを感じた。
オファーの中には、左右田さんに対する演出オファーや、演技指導のオファーもあった。
左右田さんには是非、第二回公演も演出していただき、また出来れば重要な役で出演してほしいとも思っていた。
この流れを受けて、【ベガ】の敏腕マネージャーたちは、商機を逃すな、とばかりそれぞれ動き出した。
出演していたメンバーは勿論、出演していなかったメンバーも抱き合わせでいろいろな現場に売り込まれた。
「お父様が入院されてから、こんなに活気がある事務所は初めてですよ」
瀬戸涼子が嬉しそうに言ってくれた。
そういう訳で、オレはやっと、声優プロダクション社長としての第一歩を踏み出す事が出来たのかもしれない。
意外な事に、オレの頭の中には、これからの戦略が、沢山渦巻いていた。
第二回朗読公演はもちろん、他にもいろいろなイベントや企画を、思い付いていた。
第二部 完
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