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第二章 社長生活の開始
円陣
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金曜日。
朗読公演のゲネプロが開催された。
VIPのお客様が来ているので、実質本番初日だと言っても良い。
左右田さんが、役者を集めて言った。
「もっと上手くやろう、格好良く見せようと思う。気持ちはわかるが、それは邪念だ。邪念に囚われると緊張する。緊張するな、とは言わん。役者はそれぞれ責任ある立場なんだから、緊張はして当たり前だ。その緊張している自分と向き合え。誠実に付き合え。ありのままの自分で、今現在の精一杯を見せて来い。」
「はい!」
一同が元気よく返事をする。
役者たちは、そんな心構えで本番に臨めばいいのか。
勉強になるなあと思いながら聞いていると、左右田さんが急に話をこっちに向けた。
「二代目からも、何か一言ないか」
ええっ!
まさかそんな風に言われるとは思ってもおらず、オレはフリーズしてしまった。
「何でもいいから」
「お願いします!」
役者たちにも乞われて、仕方なくオレは下手なスピーチをした。
「今回の公演は、とっても良い公演になると思います。みんな今日の為に頑張って来たのを、オレ、一番近くで見て来たから・・・みんな、今までの自分より変わろうと、努力して来たのを、オレ、知っているから・・・」
いろんな思いが込み上げて来て、不覚にもオレは言葉に詰まった。
「社長・・・」
「後は・・・楽しんで行きましょう!みんながやってて辛い舞台は、お客様も楽しくないと思うんです。折角だから楽しんで・・・思いきり、暴れて来て下さい!!」
「はい!」
役者たちは素直に返事をしてくれた。
それが何より心強かった。
今日の朗読劇がどう評価されるか。
実は役者達以上に、オレは緊張していたのだ。
それにしても、こんなスピーチをしたのは生まれて初めてだった。
オレはいつも、スピーチを聞く役だった。
これからはスピーチも上手くならないとな。
そんな風に思った。
「じゃあ・・・」
オレがスピーチを終えると、誰からともなく円陣が出来上がった。
「二代目」
左右田さんに促された。
オレは左右田さんから習った通り、深く呼吸をし、腹から声を出した。
「頑張るぞ!!」
「おー!!」
ゲネプロの、幕が開いた。
朗読公演のゲネプロが開催された。
VIPのお客様が来ているので、実質本番初日だと言っても良い。
左右田さんが、役者を集めて言った。
「もっと上手くやろう、格好良く見せようと思う。気持ちはわかるが、それは邪念だ。邪念に囚われると緊張する。緊張するな、とは言わん。役者はそれぞれ責任ある立場なんだから、緊張はして当たり前だ。その緊張している自分と向き合え。誠実に付き合え。ありのままの自分で、今現在の精一杯を見せて来い。」
「はい!」
一同が元気よく返事をする。
役者たちは、そんな心構えで本番に臨めばいいのか。
勉強になるなあと思いながら聞いていると、左右田さんが急に話をこっちに向けた。
「二代目からも、何か一言ないか」
ええっ!
まさかそんな風に言われるとは思ってもおらず、オレはフリーズしてしまった。
「何でもいいから」
「お願いします!」
役者たちにも乞われて、仕方なくオレは下手なスピーチをした。
「今回の公演は、とっても良い公演になると思います。みんな今日の為に頑張って来たのを、オレ、一番近くで見て来たから・・・みんな、今までの自分より変わろうと、努力して来たのを、オレ、知っているから・・・」
いろんな思いが込み上げて来て、不覚にもオレは言葉に詰まった。
「社長・・・」
「後は・・・楽しんで行きましょう!みんながやってて辛い舞台は、お客様も楽しくないと思うんです。折角だから楽しんで・・・思いきり、暴れて来て下さい!!」
「はい!」
役者たちは素直に返事をしてくれた。
それが何より心強かった。
今日の朗読劇がどう評価されるか。
実は役者達以上に、オレは緊張していたのだ。
それにしても、こんなスピーチをしたのは生まれて初めてだった。
オレはいつも、スピーチを聞く役だった。
これからはスピーチも上手くならないとな。
そんな風に思った。
「じゃあ・・・」
オレがスピーチを終えると、誰からともなく円陣が出来上がった。
「二代目」
左右田さんに促された。
オレは左右田さんから習った通り、深く呼吸をし、腹から声を出した。
「頑張るぞ!!」
「おー!!」
ゲネプロの、幕が開いた。
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