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第一章 オレが社長に・・・?
チンピラ二人
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「お前、ちょっと来いよ」
弟分の方が、彼女の手を掴んだ。
麦茶が床に落ちて、ベコンと間抜けな音を立てた。
やばい。
トラブルが起こり始めているのは明白だった。
「離して下さい」
彼女が言った。
はっきりとした、知性に溢れた言葉だった。
やはり怯えや動揺は見えない。
しかし、それが逆効果だったのか、チンピラ二人は激高した。
「なめてんのか、このアマ」
「ちょっと裏来いよ」
他に客はいない。
店員はワンオペ、オレ一人。
警察が来るのを待っている暇はなさそうだった。
オレは意外と冷静に、二人の戦力を分析していた。
二人とも、いいガタイしてやがる。
中年と言って良い年齢だろうが、腹は出ていない。
ゴツゴツした拳、太い腕。
絶滅危惧種の、武闘派系ヤクザ。
それが二人。
要するに、オレに勝ち目はなかった。
この件に顔を突っ込めば、文字通り痛い目に合うのはわかりきった事だった。
無視しよう。
やり過ごそう。
三人が出て行ってくれれば、それで終わりだ。
何が起ころうとも、店にもオレにも責任はない。
その瞬間、彼女がオレを見た。
「助けて」と言われた気がした。
そう言われても。
世の中、出来る事と出来ない事があるんですよ。
それなのに、オレの口からは意外な言葉が発せられた。
「やめろよ」
恥ずかしくなるくらい小さな声だったと思う。
それでも、お客様はその声を聞き逃してはくれなかった。
「何だ、兄ちゃん」
「文句あんのか?」
明らかに、二人の敵意がこっちを向いた。
酔っ払い二人にとっては、絡める相手がいれば誰でも良かったに違いない。
「嫌がってるじゃないですか。やめてあげて下さいよ」
出来るだけ下から物を言い、衝突を回避しようと試みた。
しかしそんな努力は、無駄だったようだ。
「ちょっと来い、兄ちゃん」
「コンビニバイトが、格好つけやがって」
「気に入らねえな、表へ出ろ」
ついて行くしかなかった。
弟分の方が、彼女の手を掴んだ。
麦茶が床に落ちて、ベコンと間抜けな音を立てた。
やばい。
トラブルが起こり始めているのは明白だった。
「離して下さい」
彼女が言った。
はっきりとした、知性に溢れた言葉だった。
やはり怯えや動揺は見えない。
しかし、それが逆効果だったのか、チンピラ二人は激高した。
「なめてんのか、このアマ」
「ちょっと裏来いよ」
他に客はいない。
店員はワンオペ、オレ一人。
警察が来るのを待っている暇はなさそうだった。
オレは意外と冷静に、二人の戦力を分析していた。
二人とも、いいガタイしてやがる。
中年と言って良い年齢だろうが、腹は出ていない。
ゴツゴツした拳、太い腕。
絶滅危惧種の、武闘派系ヤクザ。
それが二人。
要するに、オレに勝ち目はなかった。
この件に顔を突っ込めば、文字通り痛い目に合うのはわかりきった事だった。
無視しよう。
やり過ごそう。
三人が出て行ってくれれば、それで終わりだ。
何が起ころうとも、店にもオレにも責任はない。
その瞬間、彼女がオレを見た。
「助けて」と言われた気がした。
そう言われても。
世の中、出来る事と出来ない事があるんですよ。
それなのに、オレの口からは意外な言葉が発せられた。
「やめろよ」
恥ずかしくなるくらい小さな声だったと思う。
それでも、お客様はその声を聞き逃してはくれなかった。
「何だ、兄ちゃん」
「文句あんのか?」
明らかに、二人の敵意がこっちを向いた。
酔っ払い二人にとっては、絡める相手がいれば誰でも良かったに違いない。
「嫌がってるじゃないですか。やめてあげて下さいよ」
出来るだけ下から物を言い、衝突を回避しようと試みた。
しかしそんな努力は、無駄だったようだ。
「ちょっと来い、兄ちゃん」
「コンビニバイトが、格好つけやがって」
「気に入らねえな、表へ出ろ」
ついて行くしかなかった。
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