村人にいじめ殺された少年が、転生して村の土地神になった話

力の源

「ほう・・・この小僧の知り合いですか？」
「こんな奴知らん！さっさといなくなれ、邪魔だ！」
「ふふ・・・食欲をそそる・・・」
「・・・何じゃと？」
「お前たち日ノ本の土地神は、人々の信仰を糧に力をつけるそうですね。私たちも同じような物で、人々の心を糧に力をつけるのですよ。ただ、私たちの場合・・・ふん！」

【カミの使い】が爪を動かすと、ばっくりとミコの頬に傷が開く。

「痛いっ！」
「ミコ！？」

「んん、美味しい・・・ただ、私たちの場合・・・人々の恐怖や痛み、絶望の感情が力になるのです！」
「われぇ・・・！」
「はるばる海を渡ってこの国に来たのも、もっともっと沢山の【負の感情】を吸い取る為・・・国中で戦が起これば、その痛み、苦しみは、巨大なエネルギーとなり、私たちはもっともっと強大な力を手に入れる事が出来る。・・・だから【シュ】は、尾張の国の国主と契約をしたのです」

【シュ】と契約を結ぶ、男のシルエットが浮かぶ。
マントに甲冑姿の男が、十字架に磔になっている【シュ】の像に跪き、祈りを捧げ、誓いを立てている。

「私の為に、国中を巻き込む戦を起こしなさい。人々を不安と混乱の中に落とし込むような戦を。そうすれば、その全ての戦に、お前の軍勢を勝たせてあげよう。・・・私を信じなさい・・・この国は、お前の物だ・・・！」