村人にいじめ殺された少年が、転生して村の土地神になった話

虐殺

一番最初に異変に気付いたのは、【カミの使い】を押し潰した山の精だった。

「な・・・何だな・・・？」
「どうしたのよ」
「えっ？」
「・・・なっ・・・！？」

山の精の巨体が、突如宙に浮いた！
それは、押し潰されたはずの【カミの使い】が、山の精を下から持ち上げていたのだ。
しかも、片手で。

「やれやれ・・・交渉は決裂ですか。やはり野蛮な土地神に、道を説くのは難しいようですね」
「われっ！」
「やれっ！」

一斉に、【カミの使い】に攻撃を開始する土地神たち。
風や、雨や、とがった羽や、石つぶてが、【カミの使い】に降り注いだ。
凄まじい砂埃が舞い上がる。
砂埃が収まると・・・そこには平気な顔をした【カミの使い】がそこに立っていた。
驚く土地神たち。

「喰らえ！」

土地神たちの中でも最も強力な力を持つ牛の精が、その太い腕で【カミの使い】を殴りつけた。
その拳を顔面に受けながら、【カミの使い】はびくともしない。

「ぬうっ！？」
「・・・雑魚どもめ」

【カミの使い】は牛の精の腕を掴むと、そのまま引きちぎった。

「ぐわああああっ！？」