召喚勇者はにげだした

大島Q太

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28.痛いくらいの心臓の音を

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リーンハルトのおでこにキスを落とす。俺はそのまま起き上がって見下ろした。涙を雑に拭いて腰の位置をずらす。リーンハルトが俺の意図に気付いて慌てている。それを制して腰を上げてリーンハルトの陰茎を後ろ手に持ちそこに当てがった。もう一方の手を伸ばすと、リーンハルトが掴んでくれた。ゆっくりと腰を落とした。
なかなか、中に入って来ない。腰を揺らして出来るだけ力を抜く。

「無理しないでください」
「……無理じゃない。俺がリーンを抱いてやる」

口角を上げてさらにぐっと腰を落とした。ぬぷんと先っぽが中に入ってくる。

「……んあぁっ」
内襞を引きつられるような感覚に声が出る。リーンハルトの腹に片手を付けてさらにぐっと腰を落とした。太ももが震えた。リーンハルトは眉間に皺を寄せて交合部を見ていた。尻に下生えのざらつきを感じて息を吐く。中がいっぱいで意識するたびに絞ってしびれる感覚が腹を満たす。

「……できたっ」
顔を上げてリーンハルトを見ると中の圧迫感が増した。

「……ひゃっ」
「やばいです。腰が溶けます」
リーンハルトが苦しそうに唸る。それにきゅんとした。

「あっ、また! わざとですか?ヤバイ」
俺だって入れてるだけなのに腰が溶けそうなほど痺れている。動きたいけど力を入れるとてきめんに中の形を意識して力がいれられなくなる。

「……うぅうっ……リーン」
リーンハルトはわざとらしく太ももを撫でた。

「あっ……ユウタ そんなに絞めつけたら」
「リーンハルトが触るからっ!」

両手でリーンハルトの腹筋を抑えてそろりと腰を上げる。だが、リーンハルトの手がイタズラをしてまた深く腰を落としてしまう。リーンハルトは唇を舐めてギラギラと見つめ返してくる。

「やっべ、ユウタがすっげーかわいい」
「……嘘ッ」
リーンハルトが腰を少し揺らめかせるだけでユウタは肌を桃色に染めて悶える。

「あっ……やっ……」

もっとできるつもりだった。

「また好きを見つけました。快楽に溶けそうなのに俺のために意地を張るユウタは可愛い」

リーンハルトが腹筋だけで起き上がり、俺の背中を支える。しがみついてないと振り落とされそうな浮遊感で快感と恐怖でガッチガチに抱き着いてしまった。リーンハルトはゆっくりとベッドに倒してくれた。
目が合うとリーンハルトが余裕のなさそうな表情をしていた。嬉しくて笑ってしまう。
覆いかぶさるようにリーンハルトの顔が近づいてきてぶつけるみたいにキスをされた。驚いて開いた口内にリーンハルトのぶ厚い舌が入ってくる。

「今の笑顔。めっちゃ来ました。もう余裕ないです」

焦点も合わない距離で唇をぶつけながらささやかれた。また、きゅんとした。

「ユウタは俺の声好きですよね」

本格的に膝を抱え込まれて、腰をぐりぐりと押し付けられる。奥をこねられて痺れ以上の電流のような快感が背中を走る。

「好き……だよ。好きっ」

リーンハルトが唇舐めて前髪をかきあげた。逆光になって光の入らない瞳は獰猛な獣のようだ。

「煽ったのはユウタですからね?」

リーンハルトが俺の中を蹂躙し始めた。打ち付けられるたびに星が飛ぶ。

「やっ……はんっ……ぁんっふ……!」
「勇太、愛してる」

俺はその言葉を合図に内側でイった。ビクビクと痙攣が引かない。リーンハルトもすぐに果てた内側に彼の魔力が広がるのを感じる。なんて多幸感だろう。息を乱しながら腹を撫でていると、顎をつかまれてキスをされる、少し乱暴な仕草にリーンハルトも興奮しているのが分かる。じゅっじゅと音を立てながら互いの舌を吸い合い。擦り合わせた。
何とか息を整えてリーンハルトを見上げた。ああ、俺の好きな無邪気な笑い顔だった。何も言わず両手を広げると、心得たように抱きしめてくれた。出来るだけ体重をかけないように気を使ってくれているのを感じる。

「俺もリーンハルトを愛してる」

俺の顔を覗き込もうとしたところをつかまえて、またキスをねだった。離れたらこのだらしない顔を見られてしまう、照れ隠しもある。この焦点の合わない距離で密着する肌にリーンハルトの温かさを感じて幸せをかみしめたいんだ。痛いくらいの心臓の音が響く。


リーンハルト、脱童貞おめでとう。そして俺は脱処女だ。
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