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23.魔獣王は困惑する
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俺はふと思った。
「もしかして、魔獣と獣魔の違いを人間が分かってないんじゃないか?」
魔獣王はハッとしてこちらを見た。そして、俺をまじまじと見て口元を抑える。
「言われてみればはじめて人間としゃべってる。君、魔獣っぽくてすぐに気づけなかった」
俺は脇腹にグーパンチを入れた。これは愛あるツッコミであって暴力ではない、コンプライアンス。
「どっからどうみても、いたいけな人間だろ。クソが」
「痛いよ。ホント人間って野蛮。ってか。そもそも、魔獣は臆病な生き物なんだよ。人間を襲うなんて恐ろしいことするわけないじゃない。人間なんて一匹狩ったら大群で襲ってくるんだ信じられない」
魔獣王は大袈裟に腹をさすりながらつぶやく。人間の単位を一匹とかやめろ。
「いやでも、人さらいが出たって聞いたぞ?」
「それは人間が人間をさらって私に捧げてくるからだろ。私たちはちゃんと街に送り返してる。家に帰りたい奴はちゃんと帰ってるだろ」
ふーむ。人間をさらったことは言いふらしても、帰ってくることは言わないのか。情報操作っぽくて王国側の闇が深い。でも、何で魔獣を狩るんだ。
『魔獣は賢い生き物なので眷属契約が可能。子供のうちに攫えば簡単に眷属できます。主に騎獣などに徴用します。ちなみに、赤い流星コンキスタドールインフェルノブフォッ……も騎獣狩りで捕まりました……ふふっ』
オッケーグリモワール。新鮮じゃない牛乳探しとく。
『ひぃ』
「ここまで乗せてくれた。あのトカゲちゃんも、もしかして魔獣だった?」
魔獣王はコクンとうなずく。
「花嫁なんて送ってくれなくていいから、意に添わず連れていかれた魔獣たちを返してほしい」
どう考えたって王国側の身から出た錆ってやつだと頭をワシワシ混ぜた。冤罪による冤罪だ。逆転裁判も真っ青じゃねぇか。
ちょっとこのおじさん、かわいそうになってきた。なんか元請けに圧力かけられてる下請けの社長みたいだ。
だいたいの事情は察した。俺はおじさんの頭を撫でながら思案する。どうしたもんか。
事情は分かったがこれをどうあの国の人たちに反省させようか。
魔獣王はあきらめたようなため息を吐いた。
「私の花嫁は君で良いです。顔はタイプではないですが、人間のわりには話の分かる良い人ですよね」
魔獣王め。俺で妥協するみたいな言い方しやがって、俺にも選ぶ権利はあるぞ……って無かった。そもそも、こいつのいけにえという名の花嫁になるために来たんだ。
「花嫁にしますって決まったらどうやって人間側に伝えるんだ?」
「西の森の教会で結婚式を挙げる。その時人間側も招待して発表だ」
照れてるあなたに魔獣たちが口づけしろってはやし立てる展開な。
赤青黄色の魔獣のサンバってシュール過ぎる。
「そっか、それを利用すればいいんだよ。魔獣王と俺の結婚式なら国からはえらい奴らがいっぱい来るだろ。その時に話せばいいんだ。諸悪の根源が王国側なんだ、俺がやっつけてやるよ」
おじさんは俺の手を握って目をウルウルさせた。……可愛くない。
『魔獣は角の数で生年を知ることができます。一本50年。サーロインは4本ありますので、200歳であることが分かります。人間でいうところの二十歳なのでおじさんと呼ぶのは可愛そうです』
オッケーグリモワール。ごめん。魔獣王がまさかの同い年。
「マジュマジュ。じゃあ、さっそく結婚式の準備しよっか?」
魔獣王は困惑した顔をしたがうなずいた。急に距離を詰め過ぎちゃった。
結婚式は三日後になった。招待状は伝令鳥と言うので飛ばすらしい。
国の偉い人たち クール 熱血 ショタ アワーバック領の面々が出席に丸をして返事をくれた。
これで舞台は整った。
「もしかして、魔獣と獣魔の違いを人間が分かってないんじゃないか?」
魔獣王はハッとしてこちらを見た。そして、俺をまじまじと見て口元を抑える。
「言われてみればはじめて人間としゃべってる。君、魔獣っぽくてすぐに気づけなかった」
俺は脇腹にグーパンチを入れた。これは愛あるツッコミであって暴力ではない、コンプライアンス。
「どっからどうみても、いたいけな人間だろ。クソが」
「痛いよ。ホント人間って野蛮。ってか。そもそも、魔獣は臆病な生き物なんだよ。人間を襲うなんて恐ろしいことするわけないじゃない。人間なんて一匹狩ったら大群で襲ってくるんだ信じられない」
魔獣王は大袈裟に腹をさすりながらつぶやく。人間の単位を一匹とかやめろ。
「いやでも、人さらいが出たって聞いたぞ?」
「それは人間が人間をさらって私に捧げてくるからだろ。私たちはちゃんと街に送り返してる。家に帰りたい奴はちゃんと帰ってるだろ」
ふーむ。人間をさらったことは言いふらしても、帰ってくることは言わないのか。情報操作っぽくて王国側の闇が深い。でも、何で魔獣を狩るんだ。
『魔獣は賢い生き物なので眷属契約が可能。子供のうちに攫えば簡単に眷属できます。主に騎獣などに徴用します。ちなみに、赤い流星コンキスタドールインフェルノブフォッ……も騎獣狩りで捕まりました……ふふっ』
オッケーグリモワール。新鮮じゃない牛乳探しとく。
『ひぃ』
「ここまで乗せてくれた。あのトカゲちゃんも、もしかして魔獣だった?」
魔獣王はコクンとうなずく。
「花嫁なんて送ってくれなくていいから、意に添わず連れていかれた魔獣たちを返してほしい」
どう考えたって王国側の身から出た錆ってやつだと頭をワシワシ混ぜた。冤罪による冤罪だ。逆転裁判も真っ青じゃねぇか。
ちょっとこのおじさん、かわいそうになってきた。なんか元請けに圧力かけられてる下請けの社長みたいだ。
だいたいの事情は察した。俺はおじさんの頭を撫でながら思案する。どうしたもんか。
事情は分かったがこれをどうあの国の人たちに反省させようか。
魔獣王はあきらめたようなため息を吐いた。
「私の花嫁は君で良いです。顔はタイプではないですが、人間のわりには話の分かる良い人ですよね」
魔獣王め。俺で妥協するみたいな言い方しやがって、俺にも選ぶ権利はあるぞ……って無かった。そもそも、こいつのいけにえという名の花嫁になるために来たんだ。
「花嫁にしますって決まったらどうやって人間側に伝えるんだ?」
「西の森の教会で結婚式を挙げる。その時人間側も招待して発表だ」
照れてるあなたに魔獣たちが口づけしろってはやし立てる展開な。
赤青黄色の魔獣のサンバってシュール過ぎる。
「そっか、それを利用すればいいんだよ。魔獣王と俺の結婚式なら国からはえらい奴らがいっぱい来るだろ。その時に話せばいいんだ。諸悪の根源が王国側なんだ、俺がやっつけてやるよ」
おじさんは俺の手を握って目をウルウルさせた。……可愛くない。
『魔獣は角の数で生年を知ることができます。一本50年。サーロインは4本ありますので、200歳であることが分かります。人間でいうところの二十歳なのでおじさんと呼ぶのは可愛そうです』
オッケーグリモワール。ごめん。魔獣王がまさかの同い年。
「マジュマジュ。じゃあ、さっそく結婚式の準備しよっか?」
魔獣王は困惑した顔をしたがうなずいた。急に距離を詰め過ぎちゃった。
結婚式は三日後になった。招待状は伝令鳥と言うので飛ばすらしい。
国の偉い人たち クール 熱血 ショタ アワーバック領の面々が出席に丸をして返事をくれた。
これで舞台は整った。
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