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15.騎士の誓い
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無言でお互い天井を見ていた。
「タロウが可愛くて。がっつきました。辛くないですか?」
俺はリーンハルトの手を握って力を込めた。
「辛い。明日からリーンがいない。なのにリーンが乳首とちんこばかり夢中になって、キスしてくれなくて辛い」
リーンハルトはガバリと起き上がると、俺に覆いかぶさった。
「良いんですか?」
唇を尖らせてそっぽを向いた。我ながら子供っぽい仕草だ。
「いまさら? リーンはキスしたくないの?」
「……したい」
顎をとられ上を向かされる。リーンハルトの綺麗な目が薄闇の中でも青く輝いて見えるようだった。そうか、リーンハルトの目ってこんなに綺麗な青色だったんだ。
そのまま、ふにゅりと柔らかく唇が押し付けられた。手を握るのと変わらない。体の一部と一部の接触でしかないのに、なんでこんなに心が震えるんだろう。
目を閉じると、また、ふにゅりと唇が合わさる。目の裏にはリーンハルトの青が見える。
薄く口を開けると、リーンハルトがおずおずと舌を伸ばして侵入してきた。口内に感じる初めての柔らかさ。舌でチロチロとくすぐっていたかと思うと、だんだんと大胆に動き出した。ズクリと下半身が震えた。
唇を離したので目を開けると、リーンハルトの目からは涙がぼろぼろと流れていた。
「泣きたいのは俺だろ」
「ええ、今度はもっと鳴かせます」
いや、ギラギラすんな。
「俺のファーストキスだ。リーン。ケガすんなよ。さっさと帰って来いよ」
リーンハルトは俺の目尻をペロリと舐めた。
「ええ、あなたの為に戦います。私はあなたの剣となり、盾となりあなたを守ります。私はあなたに忠誠を誓います。一生をかけてあなたの側で尽くします」
「……おおげさだな」
「騎士の誓いです、ほんとはもっとちゃんとするんですが、魔獣討伐から帰ってきたら正式にタロウに誓いますから。覚悟しておいてください」
ってかそういうのフラグを立てるって言うんだぜ?って言おうとして言えなかった。俺は涙にのみこまれた。
ここに住み始めて1年。
なのに明日からリーンハルトがいなくなる1週間の方が長く感じそうだ。
どうせなら、胸のわだかまりを意識させないでほしかった。寂しさがましてしまう。
「そんな、顔されたらもっと触りたくなるのでやめてもらえませんか?」
「……うっせ、バカリーン」
リーンハルトはもぞもぞと体を寄せて、オレを抱きしめてくる。言葉とは裏腹に上下する手が優しくて、また涙が出そうになった。
「もう一度キスしていいですか?」
「聞くな、バカ……」
「では遠慮なく……タロウ」
「んっ……」
触れあっているのは唇だけなのに、なんでこんなにふわふわと心が動くのだろう。
翌朝、リーンハルトは山を下りて行った。持ち込まれていた荷物は預かることにした。布団も枕も枯れ草の匂いがして手放せない。それはリーンハルトの匂いだから。この匂いが消えてしまう前に帰ってきてほしい。
「タロウが可愛くて。がっつきました。辛くないですか?」
俺はリーンハルトの手を握って力を込めた。
「辛い。明日からリーンがいない。なのにリーンが乳首とちんこばかり夢中になって、キスしてくれなくて辛い」
リーンハルトはガバリと起き上がると、俺に覆いかぶさった。
「良いんですか?」
唇を尖らせてそっぽを向いた。我ながら子供っぽい仕草だ。
「いまさら? リーンはキスしたくないの?」
「……したい」
顎をとられ上を向かされる。リーンハルトの綺麗な目が薄闇の中でも青く輝いて見えるようだった。そうか、リーンハルトの目ってこんなに綺麗な青色だったんだ。
そのまま、ふにゅりと柔らかく唇が押し付けられた。手を握るのと変わらない。体の一部と一部の接触でしかないのに、なんでこんなに心が震えるんだろう。
目を閉じると、また、ふにゅりと唇が合わさる。目の裏にはリーンハルトの青が見える。
薄く口を開けると、リーンハルトがおずおずと舌を伸ばして侵入してきた。口内に感じる初めての柔らかさ。舌でチロチロとくすぐっていたかと思うと、だんだんと大胆に動き出した。ズクリと下半身が震えた。
唇を離したので目を開けると、リーンハルトの目からは涙がぼろぼろと流れていた。
「泣きたいのは俺だろ」
「ええ、今度はもっと鳴かせます」
いや、ギラギラすんな。
「俺のファーストキスだ。リーン。ケガすんなよ。さっさと帰って来いよ」
リーンハルトは俺の目尻をペロリと舐めた。
「ええ、あなたの為に戦います。私はあなたの剣となり、盾となりあなたを守ります。私はあなたに忠誠を誓います。一生をかけてあなたの側で尽くします」
「……おおげさだな」
「騎士の誓いです、ほんとはもっとちゃんとするんですが、魔獣討伐から帰ってきたら正式にタロウに誓いますから。覚悟しておいてください」
ってかそういうのフラグを立てるって言うんだぜ?って言おうとして言えなかった。俺は涙にのみこまれた。
ここに住み始めて1年。
なのに明日からリーンハルトがいなくなる1週間の方が長く感じそうだ。
どうせなら、胸のわだかまりを意識させないでほしかった。寂しさがましてしまう。
「そんな、顔されたらもっと触りたくなるのでやめてもらえませんか?」
「……うっせ、バカリーン」
リーンハルトはもぞもぞと体を寄せて、オレを抱きしめてくる。言葉とは裏腹に上下する手が優しくて、また涙が出そうになった。
「もう一度キスしていいですか?」
「聞くな、バカ……」
「では遠慮なく……タロウ」
「んっ……」
触れあっているのは唇だけなのに、なんでこんなにふわふわと心が動くのだろう。
翌朝、リーンハルトは山を下りて行った。持ち込まれていた荷物は預かることにした。布団も枕も枯れ草の匂いがして手放せない。それはリーンハルトの匂いだから。この匂いが消えてしまう前に帰ってきてほしい。
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