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6.オッケーグリモワール
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彼らが檻に押し込めていた赤い塊の方を見やるとそれは羽の生えた小さな生き物だった。
「一日一善救助!」
金属の檻だったが身体強化を使えばうまい棒くらいのもろさだ。言い過ぎた黒糖かりんとうくらいだ。
赤い塊は丸まるのをやめて顔を上げた。それはトリケラトプスに羽根を付けたような小さなドラゴンだった。足には文字の描かれた鎖が繋がれ、口輪をされていた。赤い鱗や薄い皮膜の羽には細かな傷がついていた。おそるおそる開いた瞳はまるで宝石のような緑色。
こんなかわいい子にこんな仕打ち。一日一善殺生をしようか。と足元に転がっている3人を追加で一発ずつ蹴った。あれ? 4人いる。まぁ、気にしない。
ドラゴンの右上に四角い板が出てきた「ファイヤードラゴン:状態異常空腹 擦過傷」となっている。
「大丈夫、もう助けたから。君を治しても良いだろうか?」
俺が問うとドラゴンは怯えながらこちらを見上げている。
無い知恵を総動員した。確か……ドラゴンの目線の高さに目を合わせて、手を差し出す。ドラゴンがその手を嗅ぐのをじっと待って……歯を見せると威嚇だと思われるから口は閉じる。手を嗅いでくれたら仲良くなれると愛犬家が言っていた。
ドラゴンの鼻先がおそるおそる俺の握った拳に着いた。あの有名な映画を思い出した。
残念ながら自転車はこの世界にはないので前かごには載せられないけど。
おそるおそる頭を撫でると目を細めた。
鎖と口輪を外してもドラゴンはおとなしいままだった。抱き上げて全体に治癒魔法を施した。
「ファイヤードラゴン:状態異常空腹」のみになった。
「オッケーグリモワール ファイヤードラゴンの食べるもの」
満を持して最後に選んだ加護を呼び出す。言うなれば「検索先生」だ。
『ファイヤードラゴンは人と同じバランスのとれた食事をします。肉も野菜も食べさせましょう』
この音声が女神さまの声にそっくりなのが気になるが便利だ。
グリモワール ありがとう。唱えると魔導書は静かに消えた。
人と同じで良いならさっさと手土産を手に入れてサバラの家に向かおう。肉も野菜も食えるならきっとサバラの家の焼肉も食えるだろう。
何か忘れている気がしたが、腕のなかでファイヤードラゴンがぐーっとお腹を鳴らすので考えるのをやめた。この子の空腹を満たすのが先だ。
手土産はフルーツ籠にした。水色やショッキングピンクみたいな不思議な色の実だが、味はいたって平凡である。
ドアをノックするとすぐにサバラは迎えてくれた。
「早かったね!タロー」
サバラの視線は俺に大人しく抱かれている赤い塊にそそがれている。
「どうしたの、この子なに?」
俺は路地裏での出来事を話した。にゅっと頭一つ大きい男が顔を出した。サバラの父「ネック:汚喘ぎ 寝バック」だ。友達の親の性癖とか知りたくないから勘弁してほしい。
「こんなとこで話し込んでないで奥においでよ」
俺はうなずいて、手に持っていたフルーツ籠を押し付ける。
「そんなに気を遣わなくていいのに」
と言いながらも受け取ってくれた。奥にはネックの伴侶「シビレ:オネエ 寝バック」が準備をして待っていてくれていた。二人とも仲が良くて逃げたくなった。
シビレさんは笑顔を浮かべたあと、俺の腕の中に納まる赤い塊を見て驚いた顔をしている。
「どうしたのこの子」
俺は改めて、路地裏の出来事を話した。多少脚色して、助けたのはあの男にした。あぁ、そう言えば彼のことがすっかり抜けていた。まぁ大人だから大丈夫だろう。
「そっか、ドラゴンは神の使いって言われてて、大事にしなきゃダメなのにその悪党には天罰が下るね」
聞くと現代で言うところの白ヘビ様扱いだそうだ。きっと呪われるな、あの世紀末3人組。
お腹を空かせているというと、シビレさんは赤いドラゴンを抱き上げて膝に乗せる。口元にショッキングピンクの果物を持っていくとパクリと食べた。かわいい。ドラゴンは食べ終わるとまたこちらをじっと見てくる。また、果物を口元に持っていくともしゃもしゃと食べる。かわいい。際限なく構いたくなる。
俺はドラゴンを愛でつつ。すすめられるままに食事とお酒を頂いた。
「一日一善救助!」
金属の檻だったが身体強化を使えばうまい棒くらいのもろさだ。言い過ぎた黒糖かりんとうくらいだ。
赤い塊は丸まるのをやめて顔を上げた。それはトリケラトプスに羽根を付けたような小さなドラゴンだった。足には文字の描かれた鎖が繋がれ、口輪をされていた。赤い鱗や薄い皮膜の羽には細かな傷がついていた。おそるおそる開いた瞳はまるで宝石のような緑色。
こんなかわいい子にこんな仕打ち。一日一善殺生をしようか。と足元に転がっている3人を追加で一発ずつ蹴った。あれ? 4人いる。まぁ、気にしない。
ドラゴンの右上に四角い板が出てきた「ファイヤードラゴン:状態異常空腹 擦過傷」となっている。
「大丈夫、もう助けたから。君を治しても良いだろうか?」
俺が問うとドラゴンは怯えながらこちらを見上げている。
無い知恵を総動員した。確か……ドラゴンの目線の高さに目を合わせて、手を差し出す。ドラゴンがその手を嗅ぐのをじっと待って……歯を見せると威嚇だと思われるから口は閉じる。手を嗅いでくれたら仲良くなれると愛犬家が言っていた。
ドラゴンの鼻先がおそるおそる俺の握った拳に着いた。あの有名な映画を思い出した。
残念ながら自転車はこの世界にはないので前かごには載せられないけど。
おそるおそる頭を撫でると目を細めた。
鎖と口輪を外してもドラゴンはおとなしいままだった。抱き上げて全体に治癒魔法を施した。
「ファイヤードラゴン:状態異常空腹」のみになった。
「オッケーグリモワール ファイヤードラゴンの食べるもの」
満を持して最後に選んだ加護を呼び出す。言うなれば「検索先生」だ。
『ファイヤードラゴンは人と同じバランスのとれた食事をします。肉も野菜も食べさせましょう』
この音声が女神さまの声にそっくりなのが気になるが便利だ。
グリモワール ありがとう。唱えると魔導書は静かに消えた。
人と同じで良いならさっさと手土産を手に入れてサバラの家に向かおう。肉も野菜も食えるならきっとサバラの家の焼肉も食えるだろう。
何か忘れている気がしたが、腕のなかでファイヤードラゴンがぐーっとお腹を鳴らすので考えるのをやめた。この子の空腹を満たすのが先だ。
手土産はフルーツ籠にした。水色やショッキングピンクみたいな不思議な色の実だが、味はいたって平凡である。
ドアをノックするとすぐにサバラは迎えてくれた。
「早かったね!タロー」
サバラの視線は俺に大人しく抱かれている赤い塊にそそがれている。
「どうしたの、この子なに?」
俺は路地裏での出来事を話した。にゅっと頭一つ大きい男が顔を出した。サバラの父「ネック:汚喘ぎ 寝バック」だ。友達の親の性癖とか知りたくないから勘弁してほしい。
「こんなとこで話し込んでないで奥においでよ」
俺はうなずいて、手に持っていたフルーツ籠を押し付ける。
「そんなに気を遣わなくていいのに」
と言いながらも受け取ってくれた。奥にはネックの伴侶「シビレ:オネエ 寝バック」が準備をして待っていてくれていた。二人とも仲が良くて逃げたくなった。
シビレさんは笑顔を浮かべたあと、俺の腕の中に納まる赤い塊を見て驚いた顔をしている。
「どうしたのこの子」
俺は改めて、路地裏の出来事を話した。多少脚色して、助けたのはあの男にした。あぁ、そう言えば彼のことがすっかり抜けていた。まぁ大人だから大丈夫だろう。
「そっか、ドラゴンは神の使いって言われてて、大事にしなきゃダメなのにその悪党には天罰が下るね」
聞くと現代で言うところの白ヘビ様扱いだそうだ。きっと呪われるな、あの世紀末3人組。
お腹を空かせているというと、シビレさんは赤いドラゴンを抱き上げて膝に乗せる。口元にショッキングピンクの果物を持っていくとパクリと食べた。かわいい。ドラゴンは食べ終わるとまたこちらをじっと見てくる。また、果物を口元に持っていくともしゃもしゃと食べる。かわいい。際限なく構いたくなる。
俺はドラゴンを愛でつつ。すすめられるままに食事とお酒を頂いた。
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