ぽっちゃり悪役令息はテンプレを邁進する

大島Q太

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悪役王子の結末 ※

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エンツはズンズンと歩き出して二人の寝室に向かう。
「ブリー…あなたのすべてを愛させてください」
「まだ、お昼だよ。エンツ」
「私は毎日、昼夜関係なくあなたを抱きたいと思っています」
「急に……!」
「火を付けたのはあなたです。ブリー」

自室の横にある、風呂場にオーブリーを連れて行くと手早い動きでエンツは脱いでいく。オーブリーはそのあとに続いておずおずと脱いでいると、しびれを切らしたエンツにテキパキと脱がされた。昨夜に付けた痕がいまだに残る肌にエンツは指を滑らせる。オーブリーはエンツの顔を両手でつかむと唇を合わせた。
それはすぐに舌をからませる深いものに変わっていった。息継ぎのタイミングもこの2年で合うようになった。どこをくすぐればオーブリーが悦ぶかをエンツは分かっている。そこを攻めれば抱きしめる身体がブルブルと震えることも。

エンツは風呂椅子に座ると膝にオーブリーをのせた。背中にまわした手に力を入れて抱き寄せるとその体温を移すように密着させる。白い肌に唇を寄せて吸うと赤い痕が付いた。
「エンツはキスが好きだな」
「…この肌に俺の痕をつけられるのが好きだ」
執着をにじませたエンツの言葉にゾクリとした。エンツはオーブリーの胸の尖りに舌を伸ばす、チラチラと嬲れば色付いてピンと立ってくる。さらにしつこく嬲ればプルプルと震えてくるのが可愛い。代わる代わる夢中で咥えているとオーブリーの腰が揺れてきた。指を背骨から尾てい骨へとつぅーと動かすと胸を押し付けるように腕に力が入る。
「んあっ…エンツ…」
エンツがオーブリーの尻たぶを柔らかく揉む。
「エンツ…準備するからっ……」
エンツは返事の代わりにブリーのあごにキスをした。ハァハァと息を弾ませてエンツがから下りると後ろからまた抱き着かれた。
「エンツ…待てって」
「ブリー……見てても良いですか?」
オーブリーは羞恥に顔を真っ赤にした。だが、エンツの目を見ると嫌とは言えなかった。コクリとうなずくとトイレに向かった。エンツはその間に石鹸を泡立てて体を洗った。なみなみと張ってある湯につかり顔を洗う。そこへ耳まで赤くして帰ってきたオーブリーが帰ってきた。

オーブリーは床にぺたりと座るとほんとうにするのか? という問いかけるような目でエンツを見た。エンツはごくりと喉を鳴らして、その羞恥に染まる肌を見た。
諦めたオーブリーは膝を立てて座る。手に潤滑剤を纏わせてすでにがちがちに勃っている陰茎に手を這わせる。
「んっ」
オーブリーは目をつむっていた。赤く濡れた唇が震えている。胸の尖りはさんざん嬲られた後だから赤くピンと立っていた。真っ白な肌はエンツがつけた赤い痕がついている。陰毛は濡れて張り付いているために陰茎の形がはっきりと分かる。そして、慎ましやかな後ろの孔は少し桃色がかっていて膨らんでいる。そろそろと降りてきたオーブリーの白く嫋やかな指がそこに触れる。ひくりと蠢いたのが見て取れた。
エンツはその煽情的な様子に内から震えるほどの欲を感じた。
オーブリーの中指が己の後孔を撫で、そして、つぷりと入っていった。小さく「あっ」と声を出して、力いっぱい目をつむっている。中指が淫らに後孔に出入りをしている。緩やかな動きだがオーブリーは真っ赤になってそれを感じ取っていた。
指が2本に増え。浴室にオーブリーの息遣いが響く。指使いが時折り広げるような動きに変わる。そうすると、中の赤い肉がちらちらと見えた。先走りに濡れた陰茎がピクリと痙攣している。
「…ブリー…気持ちよさそうですね」
エンツが声をかけると。オーブリーが目を開き、驚きと羞恥の顔を混ぜたような顔でエンツを見た。エンツは浴槽から出るとオーブリーの後ろから囲い込むように抱きしめた。
後孔をいじるオーブリーの手にエンツの手を重ね指を挿入した。
ブリーは足を突っぱねてびくりと震えた。エンツはオーブリーの柔らかな中を指で感じる。そして、先ほどから痛いほど勃ちあがる陰茎をオーブリーに押し付けた。オーブリーの陰茎に手を伸ばすと手早く動かして射精を促す。
「エンツ…だめっ…エンツのじゃなきゃいきたくないっ」
太ももは期待にビクビク震えるのに頂天まで登れない、オーブリーは悲し気にまつげを震わせてエンツを見上げた。
「…っ…ブリー…上手に解せましたね。続きはベッドでしましょう」
オーブリーは場違いなほど幼い顔で笑って見せた。エンツに向き直ると首に腕を回す。エンツは片手でオーブリーを支えるとそのまま立ち上がる。そのまま雑に浴槽にジャブリと入ると、オーブリーの体を浴槽の中で洗った。

髪も濡れたままで、体からも滴が垂れているがお構いなしに二人してもつれるようにベッドに倒れこんだ。腕を回して抱きあい何度も唇を重ねる。
エンツはキスの合間にオーブリーの目を覗き込みながら囁く。
「ブリー…あなたはほんとうに綺麗です」
「エンツは逞しくなった。男らしくて優しくてドキドキするよ」
そして、また唇を合わせた。寝かされたオーブリーはまわしていた腕を解くとエンツの陰茎に指を這わす。太く力強いそれを撫でると「うっ…」とエンツがいら立った顔をする、その男くさい表情が好きでオーブリーはいたずらをする。エンツはたしなめるように手を取り指をからませる。オーブリーの太ももの間にエンツが膝を進める。オーブリーが目元を潤ませた目で見上げてきた。絡ませた指をシーツに押し付けてキスを落とす。
「エンツ…キスは良いから…早くっ」
エンツは起き上がって自分の陰茎を一擦りする。それをオーブリーのぴくぴくと震える後孔にあてた。
「はあ…エンツ…きて」
その言葉を合図にぐっと腰を進めた。ぎゅっと絞られながら進むと柔らかなところに包まれる。
「あぁ…ブリー…最高です」
エンツはオーブリーを囲い込むように抱きしめると腰を揺らす。オーブリーの中は蠢いてピクリと疼いたり、ぎゅうっと絞られたりとエンツを天頂に誘う。ずっと中にいたいエンツはゆらゆらと揺れてイタズラする様に感じる部分に押し付けてくる。
「俺の…ブリー…俺の」
ゆさゆさと揺れるエンツの腰に足をかけてオーブリーは全身でエンツを抱きしめた。
「あぁ…俺はエンツのもので。エンツは俺のものだ」
ぎゅっと後孔に力が入る。エンツの腹筋がピクリと震えた。
「昼も良いですね…ブリーが良く見える…」
エンツは起き上がってオーブリーの胸をまさぐった。ピンと立った乳首を指がかすめて甘い声が上がる。
「どんなに乱れてもあなたは綺麗だ」
エンツは腰を打ち付けるように動かし始めた。オーブリーの赤い唇からは高い声が洩れる。小さな快感の波が大きくなるのを感じている。胸の尖りをエンツが指で擦る。自分の意志ではどうにもならないくらい腹に力がこもって腰がぶるぶると震えた。目をつむっても開いても小さな星が飛んでいた。
「あぁ…ブリー…イキそうだろ」
オーブリーはコクコクと首を振ってハァハァと息を吐く。赤い舌がチロチロと口のまわりを舐めている。さらにエンツは攻めたてを早くした。遠慮なく腰の快感に任せて振りたくる。オーブリーの内にぎゅうぎゅうと締め付けられて絞り取られるかのようだ。ひときわ強く打ち付けるとオーブリーは目を見開いて震えた。
内襞はドクドクと脈打つかのように感じぎゅうぎゅうと蠢動している。エンツもたまらず欲を中にぶちまけた。
エンツはゆっくりと体を離す。オーブリーの胸が上下に動いている。
赤い胸の尖り、焦点の合わない呆けた瞳、赤い頬。まだへそのあたりがぴくぴくと痙攣していた。
後孔からはエンツが出したものと潤滑剤がコプリと溢れてらてらと光っていた。
ごくりと喉を鳴らすとオーブリーと目が合う。怯えたように眇められエンツの中心にまた熱が点った。
「あぁ…エンツ…あなたって人は…」
エンツの欲に気付いたオーブリーが手で顔を覆う。その手にキスを落としてエンツはオーブリーを抱き起して膝に乗せた。
体の間で育っているエンツの熱にオーブリーは観念した。
「エンツはこういう時だけ遠慮が無いな」
オーブリーが苦々しく吐くと、エンツはギラギラとした目をオーブリーに投げかける。
「……あなたがそうさせるんですよ」
そう言うとオーブリーを傾けてゆっくりと後孔に熱を埋めた。自重で先ほどよりも深くつながりオーブリーはまた、星の瞬きを目の裏に感じた。腰をつかむエンツの手は痛いほどで揺すぶられるたびに背中にゾクゾクとした悦びが這う。首に腕を回してエンツの唇に吸い付いた。すぐさま熱い舌が出迎えてくれる。べろべろと犬のように口のまわりを這いまわり、口の中を這いまわりそれをたしなめるように舌を出せば。甘噛みされ唇で扱かれる。
「あぁ…ブリーは甘い…」
エンツの声が腹に響く。オーブリーは気持ち良いところに当たる様に腰を揺らめかせた。
「きもちいいよ。エンツ…エンツ…」
エンツと名を呼べば、中にあるエンツの熱がピクリと蠢く。エンツが白濁に塗れたオーブリーの陰茎に手を添える。ゆっくりと上下に扱かれた直接的な愉悦が腰を痺れさせた。
そして、次に来る快感をごくりと唾をのんで待った。それを察してエンツが丸い先端に親指を這わす…。
ハッ、ハッと息を整えながら期待に目をつむった。
エンツの親指がオーブリーの陰茎の穴をほじる。
そこから湧き上がるような震えがおこった。オーブリーの陰茎からはぷしゅっと透明な液体が溢れ。内襞が淫らに震えてエンツを締め付ける。意思なく腿が震えた。
「あ゛ぁ…あ゛…っ、すごい」
エンツの低いうめき声が耳元で響いて、肩に噛みつかれた。内にじんわりと熱が広がるのを感じる。オーブリーはエンツの首に腕を回して何とか体を支えている。
「…ふっ…ブリーあなたに振り回されるのはたまらないな」
「……エンツのばか」
そろりと抱き上げてオーブリーを寝かせると。エンツは手拭いでざっくりと二人を拭いた。そしてオーブリーを優しく抱き込むと髪に鼻をうずめる。

「あなたが幸せだと言ってくれたこと。俺は一生忘れません」

オーブリーはここに来て、エンツに支えられ。幸せであったが、それを伝えたことがなかったとに思い至った。エンツはなにくれとなく言葉をくれるのに自分は返せてなかったのか。

「エンツ…俺はエンツに褒められるのが嬉しかった。君に愛されて特別にしてもらって私は満たされたよ。俺の言葉が足りないせいであなたが不安だったなんて申し訳なかった。一緒に暮らして、ご飯を食べて寝て。家族みたいに過ごす中で勝手に伝わってると思ってたんだ。ごめんね。今度からは気付いたら言葉でたしなめてくれ」

オーブリーが恥ずかし気にエンツを見上げた。エンツは今見ているオーブリーの瞳の色が今までで一番美しいと思った。

「ブリー、家族になりませんか?」

オーブリーは目を瞬かせて口を開く。パクパクと動くものの音は出ない。そのうち、紫の瞳からは大粒の涙があふれた。

「……今が一番幸せだ」

オーブリーの涙はどんどん加速して子供のように泣き始めた。その背中をエンツは泣き止むまで優しく撫でた。頭の中ではこれからオーブリーを家族にするまでに途方もない努力と手続きがあることがよぎるが、それでも、この不器用でかわいらしい元王子を自分が大切にしたいそう思った。


夜の晩餐会はあえなく中止となった。お互い中止を申し入れたからうすうす理由は分かっている。

そして次の日の朝。お互いつやつやとした顔を突き合わせながら朝食を共にする。
西の領土は魚が豊富だ。ケトラはおいしそうにパクパクと皆の分まで食べる勢いで食べている。よほど、お腹を空かせていたみたいだ。クレインはそれを優しい目で見守っていた。

それから3泊ほどして領土を見た後、ケトラたちは帰って行った。

領を見下ろせる丘からエンツと二人。ケトラたちが黒い点になるまで見送った。温かな海風が丘を昇りオーブリーの髪を揺らす。
「ケトラが幸せそうで安心した」
思わずオーブリーがこぼすと。
「クレインから聞きましたが、ケトラ殿も同じことを言っておられたそうですよ」
オーブリーは晴れやかな笑顔を浮かべる。
「エンツがいるのに俺が幸せじゃないはずがないじゃないか」
エンツはオーブリーの言い草に笑ってしまった。この前までこの手のことを口にしなかった男があの日から毎日言葉にするようになった。「幸せだ」「愛してる」不器用だが生真面目な人。エンツはオーブリーの指に指をからませて手を繋ぐ。二人の腕にはお互いの目の色の石を付けたブレスレットが光る。
「それは俺も言いたい。ブリーがいるのに幸せじゃないはずがない」
オーブリーは目元を赤らめてにっこりと笑った。
「エンツ…家族になれたら、今度は俺達がケトラのところに旅しような」

エンツはうなずくと飛び切り甘いキスで返事をした。
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