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ナミルは俺を抱きかかえたまま立ちあがり湯桶の方へ進んだ。アーリムさんの手で綺麗に整えられた湯桶の中には来た日に見た花びらが浮かんでいる。
俺は儀式の前にアーリムさんが綺麗にしてくれたから汗を流すだけにした。ナミルもそうだったみたいで二人してお湯かけっこをして湯桶につかる。
ナミルは俺の腰を抱いて肩をあむあむ、かじってくる。たまに歯が当たるからドキリとする。こういうじゃれる仕草は獣人だからかなとか思いながらもされるがままにしていた。
「ふあるは…」
俺がつぶやくとナミルの耳がピクリと動く。
「ふぁるは…」
後ろから抱きしめられる腕に力がこもった。
「ファルハ…」
今の発音はうまかったんじゃないだろうか。振り返ってナミルを見るとナミルはもう獣そのものだった。ナミルにあごを取られキスをされた。魔力が混じる濃厚なキスだ。ナミルの舌はザラザラで扱くように絡められると熱と快感が背筋を走って力が抜ける。
「もう俺のだ。マナトは俺のファルハだ」
俺を抱えて桶から出ると体を拭くのも逸るみたいに雑に拭われてあの敷布でできた巣のところへ下ろされる。俺はうつぶせにされて四つ這いのまま太ももを抱えられた。あまりの恥ずかしい格好に逃げようと腕に力を込めるがナミルの力が強くて逃げられない。むしろ、俺が逃げようとしたことを感じ取ったナミルがグルッと喉を鳴らして逃げられないように足にしっぽを巻き付けた。ナミルは覆いかぶさるように俺を抱きしめて耳を食んだ。びくりと肩を跳ねさせるとナミルはさらに執拗に耳をかじる。
「ひゃっ」
「耳が良いのは落ち人も一緒んなんだな」
ナミルが耳元で小さく笑う。良い…耳を舐められて感じたのはくすぐったさと甘い痺れ。これが良いってことなのかな。
「……良いみたい?」
ナミルは俺の言葉を聞くとさらに執拗に耳を食む。俺のお腹を支えていた手が探る様にゆっくりと這って俺の乳首を掠った。ナミルはそれを確認する様に手でさわさわと触る。
「な…ナミル」
「ここも良いだろ」
指の腹でコスコスと擦られるとじぃんと痺れが走る。
「……いい」
俺の言葉を聞いてつまむように扱いた。
「……あッ」
思わず漏れた声が甘くて口を押えるとナミルが不機嫌にグルッと鳴く。俺を仰向けにひっくり返すと耳から顎へ喉から鎖骨へと唇と舌を這わす。時折ツキリと歯を立てられて痕を残していった。乳首に歯をたてられた、背中を撫ぜるように痺れが走った。思わず身をくねらせたがナミルが太ももで俺を挟んで動けなくした。
「逃げないで……」
ナミルの瞳の奥に欲情の光が灯る。俺は小さくコクリとうなずいてナミルの肩に手を回した。また、ナミルの舌が乳首を嬲る。ナミルの立てる水音に自分の甘く染まった声が混じる。ナミルは実直に左右を交互に嬲っていく。舌を使わない方は指で翻弄されてじんじんと熱を溜めている。乳首をいじられているのに腹の奥がきゅう絞られる感覚があるのはなんでだろう。
そう思っているとナミルのしっぽが俺のヘソを撫で始めた。わき腹や腰骨をナミルのしっぽがくすぐっていく。そして、しっぽが俺のちいさなちんこをふわふわと擦っていく。
「あぁッ……そこは……」
「濡れてる…気持ちいい?」
俺はコクコクとうなずいた。初めてだけど、丁寧に体を這う手と唇に体が絆されていることは分かる。
ふと幕の外を見た。……人影……。
「……アーリムさん!」
あまりの事態に全身が湯気を立てて羞恥に染まる。
「言っただろ、立会人だと……」
ナミルは当たり前に言うが俺の知っている常識では聞かない。
「七日夜での事故を防ぐためです。と言っても立会いは今日だけですが。私のことは置き物くらいに思ってください」
アーリムさんはしょぼんとつぶやいた。
今日だけってどういうことだ?なにもかもが……異世界だ。
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