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それから、小屋の中を案内された。部屋の中には俺が寝ていたラグ以外には大きな箱が1つテーブルが1つ。家具らしきものはそれきりだ。奥まった場所にある木の扉を開けたむこうは入ってすぐのところに甕があってそれがトイレだそうだ。さらにその奥には石を敷き詰めた床と大きな桶が置いてあった。そこから湯気が上がっている。さすがにシャワーはないがお風呂だった。
「せっかくなので湯浴みでもされてはいかがですか?準備しますよ」
「え、いいんですか? うれしい」
アーリムさんはそのまま部屋の方へ帰って行ったが、ナミルは隣に立っている。俺が首をかしげるとナミルは豪快にズボンを脱いだ。
「え?一緒に入るの?」
「マナトは俺のファルハだ。俺が世話をするのが当たり前だよ」
そう言うとそのまま抱き上げられて桶の近くまで連れて行かれた。まさか俺を洗う気か? と抱きしめてくるナミルの胸を押して距離を取ろうとした。
そこへ先ほど出て行ったアーリムさんが戻ってきた。手には何やら液体の入った瓶がいくつか入った籠を持っていた。湯の側に行き温度を確かめてから花びらを散らす。そしてこちらに良い笑顔を向けてうなずくと隅の方に立った。え? 帰らないの? 
「怪我がないか調べさせてくれ」
一緒に見守っていたナミルはアーリムさんの存在を気にした様子もなく手桶で俺に湯をかけてきた。お湯から良い匂いがして気持ちがいい。俺は背中からナミルに抱き込まれて全身を洗われた。肩から脇、腕 指から爪まで丹念にナミルの手が這う。肩を抱かれて背中から尾てい骨まで丁寧に擦られた。やばい、そこは痺れる。そして、わき腹から太ももをなぞって、内股に手が伸びてくる。俺は慌ててその手を抑えた。
「大丈夫だ、マナトを傷つけるようなことはしない」
俺が緊張で身を固くしているのを感じてナミルがなだめる様に肩を撫でる。俺は彼氏はいたがこんな風に風呂で洗われたことは無い。背中にナミルの筋肉を感じるだけで心臓が壊れそうだ。肌と肌が触れることがこんなに興奮を呼ぶなんて知らなかった。
俺の手から逃げ出したナミルの手が太ももから膝裏に回る。
「マナト、足先が洗えない曲げてくれ」
俺は言われるがままに足を曲げるとすねから足首、足の甲や指に手が這った。丁寧に労わられている気がする。うっとりと背中に体重を預けるとナミルがクスリッと笑うのを感じた。
「あぁ、やっぱり。足の裏も傷ついている……アーリム、あれを持って来てくれ…」
そう言うと、隅に控えていたアーリムさんが籠から瓶を取り出してナミルに手渡した。あぁ、そういえばずっといた…めっちゃ見られてた。だが、アーリムさんは気にした様子もなくまた部屋の隅に立った。
ナミルは瓶から掬い取ったそれを俺の足の裏に塗り付ける。ポカポカと熱くなって足の裏に感じていた小さな痛みが引いていくのを感じる。
「すごい、痛くないよ」
「あぁ、薬液に魔力を付与した」
すごい、魔力って万能だ。俺がキラキラと見上げるとナミルが得意げに笑う。
「マナトには魔力はないが、魔力を感じることはできるぞ。許可をくれ」
そう言うと指をからませて恋人つなぎのように繋いでくる。俺は好奇心には逆らえなかった。
「分かった、俺に魔力を感じさせて」
すると手から温かいものがゆっくりと肘、肩、胸へと伝ってくる。それがお腹でぐるぐると渦を巻きだした。指でさわさわと全身を撫でられているようだ。
「どうだ?俺の魔力だ」
どうだって? ……ヤバイ……エロい。そう思った時にはもう、俺の乳首は健気に立ち上がり。ちんこもふるふると起き上がり始めていた。
「……あっ……ナミル……だめ」
「魔力は相性が良ければよいほど体に馴染む」
腹で渦巻いた魔力が足の先まで満たす感覚がある。嫌ではない。むしろ温かくて気持ち良いとすら思う。だが、これ以上の気持ちいいは危険だ。ちんこが勃ってしまう。だがそれよりも疑いたくなるものが腹にできていた。ナミルと同じ紺の蔦模様が出来上がっていた。模様が現れた場所が熱い。混乱する思考でナミルを見上げるとなにかに耐えるような泣きそうな顔だった。
どうしてそんな表情をするのかわからないけど。ナミルの魔力は優しくて心地いい。
「ねぇ、この模様は何?」
「マナトをこの世界に馴染ませて、俺が守るという宣言みたいなものだ」
ナミルが俺を守ってくれるのは素直に嬉しい。
「マナト、ココが窮屈そうだが触ろうか?」
そう言って俺のちんこにナミルの手が伸びた。俺は青ざめてその手を止めたが、ナミルが首をかしげてなぜという顔をする。俺は手で隠したちんこをぎゅっと握る。
「恋人にも見せたことなかったんだ」
ナミルのこめかみがピクリとひきつる。
「マナトには恋人がいるのか?」
「いや、浮気されて別れたよ。俺がいつまでも決心できなかったから」
俺は思い出して悲しくなる。俺は体毛が薄くてちんこがちっちゃかった。子供みたいな下半身を恋人に見られるのが嫌でセックスから逃げた。そのせいでギクシャクするようになって。恋人には新しい好きな人ができてしまった。
「俺はこの子どもみたいなちんこをあいつに見せるのが恥ずかしくて逃げたんだ」
ナミルはうつむく俺の肩を撫でてくれた。そして、俺の手の上からちんこを撫でる。
「マナト、それはマナトの個性だ」
俺のちんこはナミルから与えられた刺激で立ち上がりピンクの頭をのぞかせた。
「綺麗だな、感動しているぞ。すごく綺麗だ」
俺は恥ずかしくて手で顔を覆う。ナミルってバカなのかな。初対面の人のちんこを綺麗だと褒めるなんて…。でも、はじめてそこを褒められたのがこそばゆい。
ナミルの大きな手がぎゅむぎゅむとちんこ揉んで、俺はその刺激に高まってくる。ナミルから流された魔力がまた渦を巻いてお腹がぎゅっとする。初めて他人の手でちんこを扱かれている。人のペースで高められることに倒錯してしまう。

「あぁっ……!!あっ!!」

ナミルの手に白濁をこぼした。俺はナミルの胸に抱き着いておでこをぐりぐりと押し付けた。褐色の滑らかな胸は程よい弾力があって気持ち良い。

そこへ、隅に控えていたアーリムさんが真っ白な布巾をナミルに渡した。ちょいちょい忘れがちになるがいたんだ。全部見られていた。また恥ずかしくて唸る。

「ぼっちゃん、ではその布巾は私が外に持っていきますから。マナト様を湯に」

俺の精子が染みた布巾はアーリムさんがさっさと回収して持っていってしまった。ナミルはアーリムさんに言われた通り、俺を抱き上げて湯の張った桶に入る。かなり、放置していたからぬるくなっているのかと思ったが熱いくらいのちょうどいい温度だ。俺がほぅと息を吐いていると。突然、外から男たちの野太い声が聞こえてきた。
「え? なに? 今の声」
「あぁ、落ち人が現れたのを皆に知らせたんだろう」
こちらの世界で会ったのはナミルとアーリムさんだけだったがもっと人はいるだろう。外って俺寝ちゃってたから見てなかったな。どんなところなんだろう。
「安心しろ、準備が整えば外に出ても大丈夫になるから」
ナミルが俺の腹の模様を撫でてにっこり笑うので俺はなんとなくうなずいた。
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