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第一幕 道化達の即興劇
エリアリスの幸せ
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ガヴァネスとして、公爵家でお世話となる事となってから早いもので2週間が過ぎました。やはり同じ貴族とあっても、生活習慣の何から何までが実家とは違う事に未だ戸惑う事ばかりでございます。ですが、この2週間でかなり成長したと思うのです。聞いていただけますか?
何が変わったかと申しますと、まず身支度です!市井では当たり前の事だと聞きますが、私はそれまで侍女が全ての手筈や準備を行っていてくれましたので、大変戸惑いました。ですが、今や私も立派に起床から身支度までを自分一人で行えるようになったのです。
1人で身支度を整える。
皆様からしてみたら、何を当たり前の事を?そう思われるでしょう。ですが、これまでの私は、立って歩く事、食事を食べる事、手紙を認める事。大凡これらの事以外は全て侍女や執事、メイドに従僕の手を借りておりました。それを当然としてもいたのです。
貴族の子女として彼等の手を借りる事はマナーでもありましたので、それを恥ずかしく思った事などございません。ですが、ガヴァネスとしての生活の中で、これらの【当たり前】が【当たり前では無い】生活に、私はある種の喜びを感じる様になったのでございます。
私は今、全ての事を私が決めて行動している。
この事が、どれ程私に喜びを与えているかなど……皆様にはご理解頂けないかも知れません。ですが、確かに私は幸せを感じているのです。この様な機会を与えて下さったメルロート公爵家の皆様には、どれだけの礼を尽くしても尽くしきれない程なのでございます。
さぁ、公爵家にお部屋を頂きました日より日課としておりますご挨拶を致しましょう。
「ミレイヤ様。本日もこの様な幸せを与えて下さいます御当主様、レナウス様、アナスタシア様、メリー様にしっかりとお仕え致します。どうぞお見守り下さい」
部屋の奥に置かれた真っ白な机に向かい、エリアリスは両膝を着くと手を組み今は亡き先代公爵夫人に祈りと挨拶を捧げた。
だが、そこに彼女を見守る者など誰も居ない。2度目であるが、言わせて頂こう。この部屋は彼女の為に設えられた部屋なのであって、ミレイヤの部屋では無いのである。だが、純粋なエリアリスはメイドのノックが聞こえるまで祈りを捧げていた。
きっと、当のミレイヤは草葉の陰で逆に頭を下げて泣いている事であろう。『ごめんなさいね?ウチの子達が馬鹿で……恥ずかしいわ』そんな声が今にもベランダから聞こえそうである。
⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘
「おはよう、エリアリス殿。良く眠れたかな?」
「「おはようございます先生!」」
普通なら、食客であるエリアリスが当主やその家族よりも遅く席に着く事はマナー違反である。だが、それを何度となく諌めるも公爵家の面々は頑なに受け入れてはくれなかった。
「私、色々と慣れてきたかと思っておりますが、どうにも皆様の後に席に着く……これには馴れそうにありませんわ」
エリアリスは、ナプキンを膝に置きながら困り顔でニコリとアナスタシアに微笑んだ。この2人、他者の感情に然程興味が無い……という、貴族としてどうかと思われる所が良く似ていた。だからなのか、授業が終わると2人は、よく中庭でお茶をする程仲が良くなっていた。
「先生、マナー違反かも知れませんけど、出来ればメイド達がお呼びするまで待っていて欲しいんです」
「えぇ、分かっていますわアナスタシア様。皆様の朝の打ち合わせがあるのでしたわよね?」
「そうなんです!公爵家の習慣なんですけど、流石に恥ずかしいので終わるまでお部屋で待っていて下さいね?」
一体どの様な打ち合わせを皆様なさっているのでしょうか?想像致しますに、ウィリアム様は食後直ぐにお仕事へとお出掛けになり、夜遅くにお戻りですから、きっとご不在の間の事などをお話になっているのでしょう。
「2人とも、その辺にして朝食を食べよう」
ウィリアムはコーヒーカップを片手に2人に笑って見せた。
最近では笑顔が板に着き、自然な笑顔を作る事ができる様になったウィリアムは、魅惑的な笑窪を頬に作りエリアリスに目配せをした。
「はい。ウィリアム様」
こんな素敵な朝食を毎朝頂いている私は、もしかしたら前世でかなりの徳を積んでいたのかも知れません。お優しいご当主に、素直で愛らしいレナウス様にアナスタシア様。そして、すでに立派なレディーであるメリー様。お仕事を頂いておりますのに、私だけが得をしている……そんな気分になります。
そして、うっとりと朝の幸せな一時を噛み締めておりますと、メリー様がお聞きになりました。
「エリアリス様、そういえば……第二皇子とのご婚約が破断となられたのは聞き及んでいるのですが、それ以降どなたからもお声が掛かったりなさらなかったのかしら?」
私はその質問の意味が一瞬分かりませんでしたが、他に縁談は無かったのか?という質問なのだと気付き、些か困惑致しました。流石に婚約破棄となってたった2か月でどなたからかお声が掛かる事などございませんし、そもそも婚約破棄というのは男性にとっては大した事ではなくとも、女性にとっては醜聞でしかございません。しかも、当家は放っておけば没落する以外に道が無い事は、耳敏く他家の情報収集に余念の無い貴族の皆様には既に伝わっている事です。そんな泥船と化した当家と、貴族のどなたがお声を掛けて下さるというのでしょうか?
「いえ、陛下より今回の婚約は解消となった事を告げられ……それから着の身着のまま領地に戻りましてからは…皆様色々とお気遣い頂いたのか、お茶会のお誘いもございませんでしたから。ご縁を頂く事はございませんでしたね」
とは言え、私にとっては幸いでございました。政略的、家の為以外に高位貴族の子女に幸せな結婚などはあり得ない……逃れたい等と思う事は【端ない】事なのだと私が一番良く分かっていた事ですから。ですが、婚約破棄という希望の光を見てしまった私は、平民となるという夢を思い描いてしまったのを思い出しました。
「それは……幸いと申し上げてよろしいのかしら?」
メリー様は、私に気遣い優しい微笑みを向けてくださいましたが、えぇ。この上なく幸いでした。
「そうでございますね。本来ならば自身の、当家の行く末を案じ不安に眠れぬ夜を過ごさなくてはならない所でございますが……皆様のお陰で日々、心穏やかに過ごさせて頂いておりますわ」
「そ、そうですか!それは良かったですわ!良いですか、エリアリス様。私達、エリアリス様の事が大好きになりましたの、ですので……縁談があっても今暫くはお断り頂きたいですわ!なんでしたらずっとここに住んで頂きたい程ですわ!」
メリー様のお言葉は、社交辞令なのかもしれませんがパン屋さんで働くという夢を失った私にとって、新たなを夢を抱かせてくださるきっかけとなりました。
「メリー様ったら!ですが……ありがとうございます。願わくば、メリー様とウィリアム様のお子様が生まれましたら、私が色々な事をお教えしたい物でございます」
この言葉は私の本心でございました。ですが、何故でしょうか……メリー様やウィリアム様のお顔が引きつっておられます。あぁ!私ったら、皆様の優しさに甘えて何という事を申し上げたのでしょうか!恥ずかしすぎて、穴があったら入りたいというのはこういう事なのだと……初めて知ったのでした。
「兄様、とりあえずトンビはまだ来ておりませんわね。このご様子ですと、今の所横取りされる気配はありませんが……盛大な勘違いを早々に解消する為にそろそろ恋愛指南と行きませんと」
「あ、あぁ……流石の私も従姉妹殿との子供など想像するだけで恐ろしいぞ」
「言ってくれますわね。私だって兄様の様な唐変木は勘弁ですわ」
「「……」」
こそこそとテーブルの下で、額がくっつく程顔を寄せあい二人は状況把握をすべく話し合った。
そして、今夜から男女の恋愛とはどの様な物なのか?それを教える為の作戦を実行する事をウィリアムとメリーは決めた。
さて、この日の夜から開演される道化達の恋愛指南劇。
純粋で無知、無欲で自立心旺盛なエリアリスに【恋心】を抱かせる事は出来るのか?
その結果は神のみぞ知る所である。
何が変わったかと申しますと、まず身支度です!市井では当たり前の事だと聞きますが、私はそれまで侍女が全ての手筈や準備を行っていてくれましたので、大変戸惑いました。ですが、今や私も立派に起床から身支度までを自分一人で行えるようになったのです。
1人で身支度を整える。
皆様からしてみたら、何を当たり前の事を?そう思われるでしょう。ですが、これまでの私は、立って歩く事、食事を食べる事、手紙を認める事。大凡これらの事以外は全て侍女や執事、メイドに従僕の手を借りておりました。それを当然としてもいたのです。
貴族の子女として彼等の手を借りる事はマナーでもありましたので、それを恥ずかしく思った事などございません。ですが、ガヴァネスとしての生活の中で、これらの【当たり前】が【当たり前では無い】生活に、私はある種の喜びを感じる様になったのでございます。
私は今、全ての事を私が決めて行動している。
この事が、どれ程私に喜びを与えているかなど……皆様にはご理解頂けないかも知れません。ですが、確かに私は幸せを感じているのです。この様な機会を与えて下さったメルロート公爵家の皆様には、どれだけの礼を尽くしても尽くしきれない程なのでございます。
さぁ、公爵家にお部屋を頂きました日より日課としておりますご挨拶を致しましょう。
「ミレイヤ様。本日もこの様な幸せを与えて下さいます御当主様、レナウス様、アナスタシア様、メリー様にしっかりとお仕え致します。どうぞお見守り下さい」
部屋の奥に置かれた真っ白な机に向かい、エリアリスは両膝を着くと手を組み今は亡き先代公爵夫人に祈りと挨拶を捧げた。
だが、そこに彼女を見守る者など誰も居ない。2度目であるが、言わせて頂こう。この部屋は彼女の為に設えられた部屋なのであって、ミレイヤの部屋では無いのである。だが、純粋なエリアリスはメイドのノックが聞こえるまで祈りを捧げていた。
きっと、当のミレイヤは草葉の陰で逆に頭を下げて泣いている事であろう。『ごめんなさいね?ウチの子達が馬鹿で……恥ずかしいわ』そんな声が今にもベランダから聞こえそうである。
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「おはよう、エリアリス殿。良く眠れたかな?」
「「おはようございます先生!」」
普通なら、食客であるエリアリスが当主やその家族よりも遅く席に着く事はマナー違反である。だが、それを何度となく諌めるも公爵家の面々は頑なに受け入れてはくれなかった。
「私、色々と慣れてきたかと思っておりますが、どうにも皆様の後に席に着く……これには馴れそうにありませんわ」
エリアリスは、ナプキンを膝に置きながら困り顔でニコリとアナスタシアに微笑んだ。この2人、他者の感情に然程興味が無い……という、貴族としてどうかと思われる所が良く似ていた。だからなのか、授業が終わると2人は、よく中庭でお茶をする程仲が良くなっていた。
「先生、マナー違反かも知れませんけど、出来ればメイド達がお呼びするまで待っていて欲しいんです」
「えぇ、分かっていますわアナスタシア様。皆様の朝の打ち合わせがあるのでしたわよね?」
「そうなんです!公爵家の習慣なんですけど、流石に恥ずかしいので終わるまでお部屋で待っていて下さいね?」
一体どの様な打ち合わせを皆様なさっているのでしょうか?想像致しますに、ウィリアム様は食後直ぐにお仕事へとお出掛けになり、夜遅くにお戻りですから、きっとご不在の間の事などをお話になっているのでしょう。
「2人とも、その辺にして朝食を食べよう」
ウィリアムはコーヒーカップを片手に2人に笑って見せた。
最近では笑顔が板に着き、自然な笑顔を作る事ができる様になったウィリアムは、魅惑的な笑窪を頬に作りエリアリスに目配せをした。
「はい。ウィリアム様」
こんな素敵な朝食を毎朝頂いている私は、もしかしたら前世でかなりの徳を積んでいたのかも知れません。お優しいご当主に、素直で愛らしいレナウス様にアナスタシア様。そして、すでに立派なレディーであるメリー様。お仕事を頂いておりますのに、私だけが得をしている……そんな気分になります。
そして、うっとりと朝の幸せな一時を噛み締めておりますと、メリー様がお聞きになりました。
「エリアリス様、そういえば……第二皇子とのご婚約が破断となられたのは聞き及んでいるのですが、それ以降どなたからもお声が掛かったりなさらなかったのかしら?」
私はその質問の意味が一瞬分かりませんでしたが、他に縁談は無かったのか?という質問なのだと気付き、些か困惑致しました。流石に婚約破棄となってたった2か月でどなたからかお声が掛かる事などございませんし、そもそも婚約破棄というのは男性にとっては大した事ではなくとも、女性にとっては醜聞でしかございません。しかも、当家は放っておけば没落する以外に道が無い事は、耳敏く他家の情報収集に余念の無い貴族の皆様には既に伝わっている事です。そんな泥船と化した当家と、貴族のどなたがお声を掛けて下さるというのでしょうか?
「いえ、陛下より今回の婚約は解消となった事を告げられ……それから着の身着のまま領地に戻りましてからは…皆様色々とお気遣い頂いたのか、お茶会のお誘いもございませんでしたから。ご縁を頂く事はございませんでしたね」
とは言え、私にとっては幸いでございました。政略的、家の為以外に高位貴族の子女に幸せな結婚などはあり得ない……逃れたい等と思う事は【端ない】事なのだと私が一番良く分かっていた事ですから。ですが、婚約破棄という希望の光を見てしまった私は、平民となるという夢を思い描いてしまったのを思い出しました。
「それは……幸いと申し上げてよろしいのかしら?」
メリー様は、私に気遣い優しい微笑みを向けてくださいましたが、えぇ。この上なく幸いでした。
「そうでございますね。本来ならば自身の、当家の行く末を案じ不安に眠れぬ夜を過ごさなくてはならない所でございますが……皆様のお陰で日々、心穏やかに過ごさせて頂いておりますわ」
「そ、そうですか!それは良かったですわ!良いですか、エリアリス様。私達、エリアリス様の事が大好きになりましたの、ですので……縁談があっても今暫くはお断り頂きたいですわ!なんでしたらずっとここに住んで頂きたい程ですわ!」
メリー様のお言葉は、社交辞令なのかもしれませんがパン屋さんで働くという夢を失った私にとって、新たなを夢を抱かせてくださるきっかけとなりました。
「メリー様ったら!ですが……ありがとうございます。願わくば、メリー様とウィリアム様のお子様が生まれましたら、私が色々な事をお教えしたい物でございます」
この言葉は私の本心でございました。ですが、何故でしょうか……メリー様やウィリアム様のお顔が引きつっておられます。あぁ!私ったら、皆様の優しさに甘えて何という事を申し上げたのでしょうか!恥ずかしすぎて、穴があったら入りたいというのはこういう事なのだと……初めて知ったのでした。
「兄様、とりあえずトンビはまだ来ておりませんわね。このご様子ですと、今の所横取りされる気配はありませんが……盛大な勘違いを早々に解消する為にそろそろ恋愛指南と行きませんと」
「あ、あぁ……流石の私も従姉妹殿との子供など想像するだけで恐ろしいぞ」
「言ってくれますわね。私だって兄様の様な唐変木は勘弁ですわ」
「「……」」
こそこそとテーブルの下で、額がくっつく程顔を寄せあい二人は状況把握をすべく話し合った。
そして、今夜から男女の恋愛とはどの様な物なのか?それを教える為の作戦を実行する事をウィリアムとメリーは決めた。
さて、この日の夜から開演される道化達の恋愛指南劇。
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