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SS 新しい家族

R18 宝を囲い守は龍故に 2

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 散々カムイとサリューンは都に熱情を放ったが、都はただそれを受け止める事に精一杯で、本人が満たされる事は無かった。そして12時の鐘が鳴った頃、アガット達が流石に遅すぎると部屋をノックした。

「んあ?アガット達か?」

何だよー!混ざるならもっと早くに来いよなー!都ちゃんのドロドロで可愛い姿見逃してんじゃーん!
るんるんとして、ベッドからカムイは飛び降りるとドアを開けた。

「なっ!都‼︎」

「陛下!なんて事を!」

 薄暗い部屋の中、ぐったりと項垂れる都をただひたすら抱き潰すサリューンを目にして2人は慌てて部屋に押し入った。サリューンは驚き都を抱き締めると「何事か!」と叫んだが、アガットは都を抱え上げると頬をぺちぺちと叩いた。

「都?おいっ、大丈夫か⁉︎」

「はぁっ、はぁっ、もう我慢出来ない。痛い、出したい……兄さん、これ解いてぇ」

 泣きながら、都は半身に手を伸ばすと膨張し、真っ赤に腫れ上がった物の付け根をそっと触れた。

「あぁっ、何でこんな事!待ってろ解いてやる」

「カムイ様!あれ程ご注意下さいと言ったではありませんか!」

 いや、俺ちゃんと様子見ながらしてたし。腹の様子も見てたから大丈夫だってのに。心配性だなぁ。

「ちょっとアガット!俺達で楽しんでたんだ。最後の楽しみを持ってくなよ!」

「カムイ!良い加減にしろ!忘れてるのか?都の腹には子供が居るんだぞ!」

「分かってるよ。だから縛ってんじゃねぇか」

「は?」

 カムイは性行為後の吐精が如何に胎児に影響があるのかを学んだと言った。そして元に戻す為にこのまま出させず落ち着かせるのだと言い、ラファエラと共に譲り受けた幾つかの権能の中から巻き戻しの権能を使った。

「ほーら。元通り!出ちまうと元々の魔粒子量と差異が出っから。それに体に傷はつけてねぇよ。都はただイキ過ぎてヘロヘロなだけ!」

「馬鹿もん!そう言う問題か!何の為にお前達は肌を重ねる。唯の性欲の吐き捨てならば他所でしろ!都と愛し合う為ではなかったのですか?陛下!」

 我に返ったサリューンは顔面蒼白となり、駆け寄り都を抱きしめると、2人の姿に煽られ欲望のままに抱いてしまった、後悔してもし切れないと謝罪した。

「サリューン、こっちに来てくれよ。大丈夫、ちゃんと気持ち良かったし、嬉しかった。なのに後悔なんかされたら俺、次どうやってサリューンを誘えば良いか分かんないよ。ねぇ、月に2回しか夜を過ごせないのは辛いよ。仕事が終わったら家に帰っておいで……サリューンだって俺の夫なんだから、側に居てよ」

 あぁ、私は何と愚かなことをしたんだ!守ると決めたのに。獣体で抱くなんてありえない!どうするべきか。医務官を呼ぶべきだろうか!

「都!もう2度とあんな薬は飲みません!それにビクトラ殿の提案にも乗らない。許してください!今すぐ医務官を呼びますから」

「薬?何だよサリューン、薬って」

「それが……」

 諸々の事情を聞いたリャーレは憤慨し、アガットは無言で都の体に絡みついた鎖や縛を解いた。

「ふぁっ、兄さん!あっち向いてて!皆んなちょっと向こう行ってて!トイレ出ちゃう!立たせて!」

「都、俺はお前の兄だ。気にしなくていい、このまま抱きしめて居てやるから出せ」

「む、無理だよ!」

「私が」

 都様とて1人の人間。それにこんなになるまで無心で攻め立てたのは私だ。責任は私が負う!
 サリューンは都に肩を貸すと立たせ、抱き上げると浴室に向かった。

「ありがとうサリューン、出てて」

「今まで縛っていたのです。出せぬのでは?」

「う、うん」

「お任せを」

 そっと指を入れ、膀胱を摩って差し上げれば出せるでしょう。ゆっくり、あぁ、ここに子供が。なのに私は何という事を!

「出せませんか?」

「んんっ、何か変な気分になっちゃった」

「では私が口で」

「え?ちょっ!駄目だよ!」

 都様の物で汚い物など何一つ無い。全てを飲んでも嫌悪など抱く事もない。

「あっ、んんっ駄目!サリューン!お願い、サリューンのでして」

「では最後はゆっくり愛を込めましょう」

 ゆっくりと挿入し、膀胱を押し付ける様に刺激を与えて、キスをする。都もやっと満たされたのか、この男の前では全てを見せてやりたい気持ちになって体の力を抜いた。

「出ましたね。ですが射精までは至って無い様ですが」

「うん。もう中でイク癖ついちゃって……さっきまでは出したかったのにカムイの権能の所為で落ち着いちゃった。あぁ、でも気持ちいい。サリューンの太くて長いの凄く気持ちいいよ?またしたくなっちゃった」

「何度でも差し上げます。私の全てを」

「最後に出して、お腹空いた」

「はぁ、何と甘美で愛おしい方だ」

 あぁ、何と暖かく柔らかいのか。ずっとこの中に居たい、愛おしい気持ちが溢れて抱きしめこの腕の中から離したくない。

「おーい!何やってんだよ?まだションベン出ねえの?」

「もーすこしっ!んんっ、はぁっ」

「やってんのかよ!」

「だって、上手く出せなくて」

 カムイは舌打ちすると「俺もしたい」とダダを捏ねたが、アガットに説教だと連れて行かれた。サリューンは都の首元に頭を預け縋る様に呟いた。

「明日、家に帰っても良いですか?」

「今晩一緒に戻りますか?」

「いえ、ゆっくり休んでください。はぁ、出しますっ」

「サリューン、おいで。愛しい龍の子」

 宵闇の神である都様、だが生まれ変わって得た肉体は白く、受肉を果たしても瞳までは黒くならなかった。だが、月の光の様な金の瞳が私の心を照らす。満たされるのに満たされない。貴方を独占出来たら良いのに。

「はぁっ!あったかい……沢山でたね」

「はっ、はっ、はい。ふっ、ふっ、想いの分だけ愛しました。でも足りない」

「なら家に帰っておいで、待ってるから」

「はい、帰ります。貴方の元に」

 結局ドロドロになるまで抱き合った2人はシャワーを浴びて出て来た。既に1時を回っていて、都とアガット、リャーレはポータルで家に帰る事になった。

「ポータル楽だけど、子供にどう影響出るか分からないから避けたかったんだよな」

「1、2回の白魔粒子の影響で胎児に問題はありませんよ。ですが、次回以降は馬車で帰りましょう、都様」

 リャーレは都を抱き上げるとポータルの上に立ち、カムイには明日戻り次第、ビクトラと共にお説教ですと言って起動させた。

「都、またやろうなー」

「やだよ!ぜんっぜん優しく無いんだもん!もーカムイとはしない!サリューン、明日ちゃんと帰ってくるんだよ?」

「……はい」

手を振り2人と別れた都達。ポータルの設置された玄関に着くと、そこには鬼の形相で立つルーナとサリザンド、コルが待っていた。

「「遅い!」」






「で?俺とサリザンド居ないのに好き勝手させたの?都!」

「はぁ、ごめん。だってカムイが煽るから」

「都、お前も後で説教だ」

「うっ!」

 アガットは都の頭を撫でるとホットミルクを差し出した。そしてサリザンドに今日はかなり疲れているから休ませてやれと言い、診察をして各々自室に戻って行った。

「はぁ、!俺も甘いよな。だってサリューンはずっと1人で頑張ってる。俺は何もしてやれないし、偶に甘やかしてやりたいっておもうんだよな」

 皇帝と言う立場、伴侶として最後に加わったと言う敗北感。このことがサリューンを卑屈にさせているのでは無いか。俺はそこが一番きになっていた。みんなはこれ以上はと言うけれど、サリューンと俺は唯一結婚式を挙げた夫夫で、俺には皇妃という立場もある。けれど、その全てをサリューンが行ってる。それは酷く残酷な事だと思った。
 皇妃と言う立場なのに、一緒に暮らさず政務は丸投げ、そして第一子は彼の子では無いかも知れないと言う事。計算が間違ってなければ、ルーナかサリューンだけど、多分ルーナだ。あの日初めてルーナとサリューンと3人で寝た。殆どサリューンは俺の前に居て、たった一度交わっただけ。だとしたら可哀想でならない。

「都、いいか」

「何?サリー」

「疲れただろ、体ほぐしてやるから寝ろ」

「ん、それより話をしたい」

「なんだ」

 サリーは俺の横に座って膝枕をしつつ腰を摩ってくれた。暖かい手に少しづつ強張っていた体から力が抜けていく。

「ねぇ、サリューンも一緒に暮らしたら駄目?」

「俺は構わんが、部屋の空きが無い」

「あぁ、そうか。なら引っ越す?」

「産後にしろ。どうしてもと言うなら俺の部屋を空けよう」

「サリーはどうするの?」

「ここに移る」

「ルーナ達の共寝の日はどうするのさ」

「俺がルーナの部屋に行く」

「はぁ、それも面倒だね。いっその事俺とカムイが同じ部屋になる?」

「馬鹿言え、お前寝かして貰えんぞ」

「やっぱり?」

「ならば都が一週間城に泊まればいい」

「うーん」

「嫌なのか?」

「家事を疎かにしたく無いし、一週間経ったら家に帰るのが寂しくなりそう」

「なら全員で城に住むか?」

「ビクトラさん的に無理でしょ。ただでさえサリューンとの関係が近くて周囲に色々言われてるんだから」

「はぁ。ならどうする」

「どうしようか、庭に別棟建てる?そこにポータル付ければサリューンはいつでも行き来出来るでしょ?」

「まぁ、それが現実的だな。明日皆に話してみると良い」

 やっぱりサリーは頼もしくて優しい。俺の事を分かってるから、否定はしない、妥協案や対応できる事を考えてくれる。

「サリー大好き!」

「子供みたいな事を言う。ほら寝るぞ」

「うん。サリー獣体になって、モフモフして寝たい」

「……好き物だな」

ばさりと羽を広げ、サリザンドは都を包むと抱きしめた。柔らかな羽毛に包まれて、都はあっという間に眠りに着いた。


 一方王城では。爛れまくった夜の終わりは遠く、1人ショックを受けていたサリューンをカムイが癒していた。

「どうよ?抱かれる側は」

「はぁっ、ぐっ、痛いっ、です!」

「だーいジョーブ、俺様が直ぐに気持ちよくしてやっから!」

 太陽と月をいだいだかれ、後悔を忘れる殆どサリューンは鳴いた。

 龍が宝を囲ったのか、はたまた囲われたのか。愛欲の日々はまだまだ続く。
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