神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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神話編

流刑地

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 初代皇帝カイリの肉体を得た都だったが、カイリの肉体の記憶に

引きずられる形で魅了の加護が発動してしまい、ソレスと四聖獣の依代

となったグレースの肉体のコピーが魅了に当てられてしまった。

倒れている二人をどうすべきか都とジジは、思い付く術を手当たり

次第に試すも解除出来ずに途方に暮れる。


「ねぇ、ジジさんの制約をソレス達に掛けてもダメなわけ?」

「…最初が肝心というかな。掛かった後では意味がない」


泉の状態も調べたいのに…足手纏いが二人。どうするか…。


「なぁ、二人を置いて俺達で調査に行きたいんだけど、手伝ってくれないか?解決策も今の所ないしさ。」


まだ意識を取り戻せない二人をベットに寝かせ、ジジと都はお茶を

飲みながらこれからの事を考えていた。



「それは構わんが…フレ湖が淀みと繋がっていて、玄武が結界の役割をしていたのか…けどなんで四聖獣達はわざわざお前の身体を依代にこっちに来たんだ?」

「さぁ?もしかしたらジジさんの結界に入った事でラファエラとの繋がりが切れたから心配して寄越したのかも」



それなんだよな。もしかして、グレースの身に何か起きたのか?

それか帝都がヤバいのかもしれない。結局ラファエラの予言だって

大した数じゃ無いし、エルザードお得意の謎かけみたいな物ばかりだっ

た。最初に読んだ時は予言の内容が抽象的過ぎて、占いかよ!って

ツッこんじゃった。


「けど、今お前の肉体には魂がある。連絡はつかないのか?」

「うん、試してんだけどさ全然ダメ。俺とグレースの繋がりも切れたのかな?アイツも俺も一緒に居ないと駄目なんだよ」

「…落ち着かないし、なんか迷子になった気分なんだ」

「神核は持っているのか?」

「あぁ、神核はグレースの本体にある。隷属も真名縛りもしてないからな、この身体」

「一度合流したらどうだ?」

「どうやって?帝都まで戻るには二ヶ月はかかるだろ?ポータルもここじゃ機能しないって聞いてるし」

「村の外で簡易ポータルを繋げてやるよ」

「マジ?それ助かる‼︎…でも、今淀が溢れたらここら一帯は淀みに覆われちまう。なんで大国主は何も教えてくれなかったんだろう…」

「はぁ、今天界とも連絡つかないし、俺大丈夫かなぁ。死にたくない…それに良いように使われるのもなんかムカつくし…黙って調和しろって事なのかな…社会人時代を思い出すよ」

溜息ばかり吐く都を見ながらジジは笑い出した。

「何?」

「いや、本当に何も知らずにこの世界に来たんだなと思ってな」

「そうだよ。何にも分からない状態でこの世界に連れてこられて、受肉だってつい最近なんだよ。力も使えない、肉体維持もままならない、でも崩壊まで時間もないで毎日俺は恐怖してるよ」

「いや、この世界と神の事だよ」

「どう言うこと?」

「この星はな、神々の流刑地みたいなもんなんだよ。天界で禁忌を犯した神、寿命が尽きた神、邪神になった神とかな…そんな神々がこの星には捕らえられてる。この星の力が強い理由はそれだ。魔粒子って結局なんだと思う?」

「え?それって普通に空気とか水とかと同じで自然発生するものじゃないのか?」

「神々の欠片だよ」

「……それってどう言う事?」

「神だって永遠じゃない。信仰を失い、神としての役割を放棄すれば神とて罰を受け死ぬ。神核も、引き継がられなければ神力が大地に流れて唯の魔石になる。そうやって、この星では消えた神々の力が大地や空を巡り命を育んでいる。」

「この星は神の墓場って事…?」

「言い得て妙だな、その通りだ。テュルケットはその看守の様な存在だな…狂った神の抜け殻相手にアイツ自身もおかしくなったんだろ、だから生き物を作り出し文明を作ったんだと俺は思っている。テュルケットがあんなに神力が強かったのもここに堕ちた神の神核を取り込んだからだ。アイツ、今どこにいるんだ?」

「テュルケットは…淀みにいるよ。神力使い果たしたからかな?アマルマと一緒に居たよ…ジジさんは、その知識をどうやって得たの?それって常識なのか?」

「そうか…ついに!あのクソ野朗も堕ちたか!ハハハッ!愉快だ!」

ひとしきり笑い、テーブルを叩きカイリの名を呼び続けた。

「はぁ、スッキリした…で、知識だったか?」

「あぁ…」

怖っ!マッド入ってるなこの人も。サリーと同じ匂いがする…

「これらの事はテュルケットによって秘匿されてきた。この世界が流刑地と知れば誰も良い気はせんだろ?」

「神々の事や、成り立ちなんかの大まかな事はカイリが教えてくれた。それ以外は、この星に堕ちた神々が残したは石碑などを読み解いて分かった事だ」

「石碑‼︎それってまだあるのか?俺はその石碑も見たかったんだ」

「500年前、魔獣のスタンピートが起こって、この地の物は破壊されたから今はもう無い、だが一部記録している。」

「石碑には結界や淀みの事は書かれていなかったのか?」

「石碑は神話を残すだけだ。それに、昔敷かれた結界と今敷かれている結界は意味が違うのかもしれん」

ジジは席を立つと薬品棚の奥にある本棚から、一冊の分厚いノートを

取り出しテーブルに広げた。

「この世界の文字は読めるか?」

「あぁ、大丈夫だ。」

ノートをパラパラと捲り、ジジは目当ての物が記載されているページを

都に見せた。

手垢まみれのページには、殴り書きされた石碑の文言が書かれていた。


 定まりし星を支える玄武は天より降る咎者を慰め、

始まりの鐘を鳴らす青龍は神託を下す

流浪の咎者の恐怖はここから始まり黄龍による断罪を待つ

業を知り、鎮めの白虎は咎を喰い、穢れを祓う

咎者は死して尚、大地とこんに身を削られ罪を贖い

四聖の獄、地上に極まりて神域といふ


天の星、流れ落ち獄門の主人が降り立ち光を降らす

哀れ咎者は魔となり獄の者となる

天と獄に分かれし世界の中世界に地上は生まれ、人の子は

この地の史を葬った 全てを地に還す程の我等が咎は

何処にあらんや



「うーん、この当時は四聖獣?が裁判官や執行官、刑務官的な役割を持っていた…今の様な結界を守る事はしていなかった…って事かな?」

当時はまだ淀みの様なものは無かった…もしくは結界で押さえつける程

影響は無かったのか?

ジジは本を閉じると眉間を押さえながら溜息を漏らした。

「だから、今ここに黄竜以外の四聖獣がいる事に俺は不安しか無い…守りが無くなれば、お前の言う淀みの解放も間近かもしれん。しかも初めて朱雀の神核を見た…」

「あぁ、原始の朱雀は神核を捨てて今帝都に居るよ、、って事は二代目⁉︎やっぱり天界でもなんか起きてるのかな…」

「まぁとりあえずの所、大地の調和と浄化は始まってる。だから地殻の黒魔粒子の放出阻害は受けない筈だ、問題は淀み…」

「俺さ、一度淀みに入ったことがあるんだ。その時は調和で抜け出せたんだけど、俺とグレースしか出れなかった」

「お前、マジか…淀みはどんな世界だったんだ?」

思い出すだけでもゾッとする…何もない。本当に何もないんだ、ただ

暗闇が続く世界。戻れたのは本当に運が良かったんだ…グレース、

今何してるかな?

「都?」

ぼーっとテーブルを眺める都にジジはそっと肩を揺すった。

「あ、あぁ。悪い…うん、ただ暗闇が広がっていて、孤独に飲み込まれて頭がおかしくなる様な世界だったよ。出来ればあんな所、二度と行きたくない」

「そ、そうか。なぁ…どうする、帝都に向かうか?」

「そうだな…その前に泉を見たい。結界の状態も知っておきたいんだ」




 ジジと都は、現状把握の為にソレス達を家に残してフレ湖へと向

かった。フレ湖に近づくと、ジジの存在に反応して結界がビリビリと

揺れながら現れた。

「ここから淀みに繋がっているのか…」

「大分結界が薄くなっているな…だが、直ぐに壊れてどうとなる様な物でもなさそうだな」

結界に手を翳し、ジジは状態を探っている。


「そうか…なら一度帝都に戻っても良いのかな…」

「俺もこの結界の周りに結界を張って補強しておこう」

こうして、とりあえずの現状把握をすると、ジジと都は家へ戻り

ソレスとグレースのコピーを台車に乗せてポータルへと向かった。

「戻った途端に皆が魅了にかかったり…しないよな?」

「……まずは俺が行く。そして準備をしてお前を迎えにこよう」

「お、頭良い!頼むよ」

はぁ。と大きくため息を吐くジジに手を合わせ、都はそれまで

ジジの家で待機となった。

















































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