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東のガーライドナイト領

蘇る泉

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 神殿入り口右手側に鉱山があり、その山肌からも色のついた魔粒子

や、白、黒の魔粒子が大量に漏れていた。途中合流したルーナとソレ

ス、朱雀はグレースをマルスに任せてそちらを調べている。

『ルーナ、今どこだ。』

耳に着けた通信機からビクトラの呼び掛けが聞こえた。

「神殿横の鉱山です。どうしました?」

『都様がまた、神核に籠られた。急ぎサリザンドと部屋で待機してくれ。グレースが今神殿にいるが待機命令だ。』

ルーナは背後の神殿に振り返り、神殿に入るか悩んだがグレースがそう

指示をしたという事は『此方へは来るな』という事なんだろうと

理解した。

「了解です。ソレスと朱雀も帰還で大丈夫ですか?」

『いや、二人は神殿と、鉱山周辺の調査を継続してくれ』

「了解」

ルーナは事情を話して戻る事にした。

早く戻らなくては。ルーナは換装して駆け出す。




「とりあえず、都みたいに出来るか分かんないけどやっとくか」

グレースは泉に入り白魔粒子を取り込み色をつけ、黒魔粒子と共に泉を

満たした。調和され、浄化した泉の水は吸い込まれるように水路へと

流れ、泉の底からは淀と黒魔粒子が湧き出した。澱みを取り込み神核で

浄化させ黒魔粒子として泉に戻す。それを何度も繰り返して、ようやく

泉からは澱みの無い魔粒子が湧き出る様になった。

「はぁっ、はあっ、はあっ。周りの植物も復活して来てるみたいだし、これで此処から全土に、調和が、はぁっは、始まる。もう、大丈夫なはずだ。トラップもある程度はこれで意味が無くなる。」

ベシャリと地面に倒れ、荒い呼吸を整えながらグレースは都に声を

かけ続ける。

——— 都、ほら大丈夫だろ?黒魔粒子がちゃんと出てきた。

——— ごめん、グレース。ごめんね?

——— いいさ、ダンス。楽しかったから。またやろう?

——— 嫌だよ。もうしない。

——— 黒魔粒子と白魔粒子がきちんと調和したら、大丈夫。今日は黒魔粒子足りなくて泉に吸い寄せられただけだからさ。

——— 、、、グレースは私から離れたい?

「いや、俺の身体が得られるとしてもこの身体で都と居たいよ。」

「都に俺が必要な様に、俺にも都が必要だから。都も俺を追い出すなよ?」

——— 分かった。ありがとう。大好きグレース。

「俺もだよ。」

「部屋にサリザンドとルーナ呼んでるから。補給して。もう動けない」

「マルス、悪いんだけどさ、、俺を屋敷に連れてってくんない?」

マルスは慌てて近寄り様子を伺った。グレースのぐったりとして

青白くなった顔、微かに震える指先に意を決して抱き上げる事に

した。

「畏まりました。では、失礼致します。」

グレースの伸ばした腕を掴んで身体を抱き寄せて抱え上げるも、

力は抜けきり身体の重さがぐっとのし掛かる。マルスは横抱きに

抱え直して歩き出した。静かに歩くその揺れの心地良さと、神官にして

はしっかりとした腕。密着した肌からマルスの澄んだ魔粒子がグレース

に纏わりつく。その心地良さに無意識に抱きつき頬擦りをした。

「あんたが欲しいのはどっちだ?俺か、都か。」

耳に甘く響く声にもマルスは動揺せず、ただ黙って屋敷に向かう。

「そろそろ決めておいた方がいい。あんたの心が軋む音がする」

まるで悪魔の囁きだな、そうマルスは心で溜息をついた。

「グレース様、私が求めるのは神であり、御二方ではございません。」

「それに、都様は私の信仰は要らぬと仰せでした。」

その言葉にグレースは掠れた声で嗤う。

「冗談も大概にしとけよ。神を求めているのに俺達自身は求めないのか?」

「お前にとって神は誰で何だ。宵闇の神か、闇に落ちた太陽神か。」

「ただ縋り先を求めてるんだろ。なんなら命令してやるよ。」

「俺と都を信仰しろ。お前の唯一神だ。腹を決めろよ、似非神官。」

マルスはその薄い唇を噛み締めただ前を見て歩く。

歩くその一歩が重く沈む様にも思えた。

泉が浄化されたのに、その澱みを流し込まれたみたいだとマルスは

グレースと関わった事に後悔をした。























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