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東のガーライドナイト領

下世話な探り

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 騎士隊教会のポータルからガーライドナイト領、領主館の専用

ポータルへ移動し、まずは領主ピッヒ•ガーライドナイトへ挨拶する事

になった。

「宵闇の神の御来光お待ちしておりました。さぁ、こちらに。」

ポータルに降り立った瞬間、目の前にはピッヒを含め30名程の領主や

領管理を行う者達が跪いて到着を待っていた。

ピッヒは200歳という地球ならば50過ぎの人狼族で、濃い灰色の髪に

蒼い瞳を持つロマンスグレーだ。しかし、一筋縄ではいかない、そんな

腹黒さも見てとれる人物で、グレースは気を引き締めた。

「お迎えご苦労様です。早速領地の調和を行うための調査を行わせて

頂きます。」

その言葉にピッヒは慌てて立ち上がり、家令を呼ぶ。

「本日は、皆様をお迎えする為にささやかではありますが、食事や地酒をご用意致しておりますので、明日よりの調査は如何でしょう?」

グレースは、溜息をついてサリザンドに聞いた。

「神殿跡の状態は?まだ大丈夫そうなの?」

「魔粒子量に問題はありません。それよりも地下の状態が気になります。こちらはグレース様の権能頼りなのでなんとも。」

——— グレース、今日は宴に参加して神殿の事や鉱山について聞いてみたら?

「分かりました。明日の朝一番で領地の視察に行きます。では、お世話になります。」

そう言って頭を下げた。

ピッヒは、ホッと胸を撫で下ろし皆をまずは部屋へ案内した。

「グレース、我と今日は共寝の日であろう?羽をフカフカにしておいたのだ!触るといい!」

グレースは朱雀を愛おしそうに見つめて、背中や頭を撫で微笑む。

「そうだったね。朱雀、今日も良い子だ。夜が楽しみだね。」

朱雀と腕を組んで歩く姿をピッヒは眉を顰めて後ろから見ていた。

最後尾を歩くルーナをピッヒが捕まえ耳打ちして聞いた。

「ルーナ医務次官。少し宜しいか?」

ルーナは急に呼び止められ、振り向くとピッヒが苦々しい顔を

している。

「どうしました?」

ルーナはチラリとグレース達を目で追ったが、既に角を曲がり

ピロティのある母家へ向かっている。

あぁ、遅れてしまう!なんだって言うんだ話して欲しい!

「あの、グレース様のお側に向かいたいのですが。」

ピッヒはルーナの腕を掴んで離さず、変わらず眉間に皺を寄せ聞いた。

「その、なんだ。グレース様だが、、その。」

「何ですか?はっきりと仰って下さい。」

ルーナはイライラしながら問いただした。

「守護者の方々と、あれだ。そういう関係なのだろうか?」

は?確かに彼等はグレース様の恋人だけど、それだけじゃない。

知らない奴が勘繰りして下世話な事聞いてくるんじゃない!

ルーナは嫌悪感を隠さずに溜息を吐いて答えた。

「グレース様は神ですよ?我々の価値観で図るべきではないでしょう。それに、守護者は情人として侍っているわけではありません。グレース様の肉体を維持する責があります。オルポーツ様の事が無ければとっくに魔粒子核も作られていたんです。あなた方の支持していた皇帝のお陰でいつも苦しんでおられるというのに。そんな下世話な事をお考えになっているのですか?」

その言葉にピッヒは口を手で押さえた。

「先程の炎鳥ですが、神界の頃からお側にいた者です。彼は神核を捨て、グレース様と共にこの世界を救う為に来た。それを下らない勘繰りで尊厳を穢すのでしたら、こちらの調査を後回しにして西へ向う様に進言しますが、どうされますか?」

流石のピッヒも慌てて謝罪した。

「いや、誠にすまない。なんせ、現人神だ。つい我々と同等に考えてしまった。心から謝罪しよう。申し訳なかった。」

ルーナは、今晩の晩餐会を不安に思った。これ以上の厄介事は勘弁してほしい。それとなく、他のメンバーにも伝えておくかとビクトラの部屋へ向かった。



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